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typeKIDS Report

活字書体を使う人のための勉強会

typeKIDS Meeting Spring 2020 開催のお知らせ

2020年01月26日 | typeKIDS_Meeting


日時:2020年3月14日(土)13:00〜17:00
場所:東京芸術劇場5階 ミーティングルーム2
会費:無料
定員:12名
こちらのページで参加枠を予約してください。
 「参加予定」「興味あり」では参加枠が確定されません。
 参加できなくなった方は予約を取り消してください。

今回は、『日本のタイポグラフィ』(佐藤敬之輔著、紀伊國屋書店、1972年)の「文体にふさわしい書体」に挙げられている16編の文章を、現在のデジタルタイプの環境で再考してみます。
三島由紀夫著『文章読本』から、古典文学(漢文系、和文系)、現代文学(小説、評論、詩歌)を代表する文章を選び、「文体にふさわしい書体」を割り当てています。



課題図書
1『和漢朗詠集』
2『源氏物語(若菜)』
3『平家物語』
4『曾根崎心中』
5『寒山拾得』(森鷗外)
6『日本橋』(泉鏡花)
7『暗夜行路』(志賀直哉)
8『悪魔』(谷崎潤一郎)
9『花は勁し』(岡本かの子)
10『しぐれ』(川端康成)
11『モオツァルト』(小林秀雄)=評論
12『万葉集』
13『一握の砂』(石川啄木)
14『ナポレオンと田蟲』(横光利一)
15『ドルジェル伯の舞踏会』(ラディゲ/堀口大學訳)
16『学問のすすめ』(福沢諭吉)


①事前に、それぞれの文章にふさわしいと思う書体を選択してみてください。全部でなくても構いません。(テキストデータは青空文庫などで……)
②できればページレイアウト(四六判見開き)をして来てもらえればと思います。
③持ち寄った案(PDF)を見ながら、ゆるい感じで雑談します。

※当日参加できない方で、PDFだけ送付していただくというのもOKです。



※希望者には『欣喜堂立志篇 完全版』をさしあげます。




蒟蒻版(寒天版)のこと

2020年01月21日 | Circle OWN
Circle OWN Winter 2020
Report 2

夏目漱石の『坊っちゃん』に「蒟蒻版」の出てくる場面がある。蒟蒻版? 最初はなんのことだかわからなかった。
「謄写版」が一般的に使われるまでの間、「蒟蒻版」は簡便で少部数印刷という特徴のため、官庁や学校、企業などの会議資料や内部文書に広く利用されていたそうだ。
「蒟蒻版」とは平版印刷の一種で、謄写版が発明される前の明治時代初期に、西欧から日本に伝わった「ヘクトグラフ(Hektograph)」のことなのだ。
「ヘクトグラフ」は、ゼラチンにグリセリンを加えて撹拌し、固めて平板状にした版だ。その上に濃い染料インクで書いた原稿を当てて転写させてから、印刷用紙を載せて印刷する方法である。最大数十枚の複写が可能だった。日本ではゼラチンの代用として蒟蒻が使用されたことから「蒟蒻版」、あるいは寒天が使われていたことから「寒天版」と呼ばれていたという。
蒟蒻版(寒天版)は、大量印刷向きではなかった。大量印刷には、蒟蒻版(寒天版)よりも硬質の石材を利用した「石版」が利用されたということである。

科学と学習PRESENTS『紙すき&寒天印刷キット』(株式会社学研プラス、2018年)という、児童(対象年齢:6歳以上)向けの紙漉きと寒天版印刷が体験できるキットが販売されていた。印刷博物館の協力で、詳しいガイドブックが付いている。




DTPと書体のこと

2020年01月14日 | typeKIDS_Meeting
活字書体は印刷技術とともにある。デジタル化されて、伝統工芸とは真逆かとも思える現代の本づくりであるが、モノづくりの精神は継承していきたい。そんな思いを込めて、2000年以降もデジタルタイプでの紙の本を自家出版している。

1999年頃に書いていたエッセイを、株式会社ブッキング(株式会社復刊ドットコムに社名変更)の協力でオンデマンド出版した。



『タイプフェイス・デザイン事始』(2000年)
『タイプフェイス・デザイン漫遊』(2000年)
『タイプフェイス・デザイン探訪』(2000年)

これらの書物の制作には、Adobe PageMaker 6.0Jというページレイアウトソフトを使った。



下記の3冊は、Adobe InDesign CS6を使って制作した。



『欣喜堂立志篇』(初版2012年・完全版2019年)
『欣喜堂ふたむかし』(2017年)
『活字書体の履歴書[青春朱夏編]』(2018年)

同じく、



『欣喜堂書体見本帖』(初版2017年)
『欣喜堂組み見本帖』(初版2017年)
『欣喜堂活字入門帖』(2019年)



プログラムをインターネット経由でダウンロードし、その使用料金を毎月もしくは年単位で支払うことで利用できるサブスクリプション方式でのみ提供されるようになった。これから制作する予定の書物は、Adobe InDesign CCで制作することになるだろう。



『欣喜堂而立篇』
『欣喜堂四半世紀』
『活字書体の履歴書[白秋玄冬編]』


電算写植システムと書体のこと

2020年01月13日 | typeKIDS_Meeting
電算とは電子計算機の略で、コンピューターのことである。電算写植システムは、入力・編集・組版処理を行う装置と、自動電算写真植字機(出力装置)で構成される。
※筆者は技術的なことは全くわからないので、活字書体の記憶媒体を中心に記すことにする。また写研の電算写植システムについて(他社のことはよく知らないので)のみを記している。

光学式電算写真植字機(SAPTON)はガラス文字円盤に書体を収録して回転させて選字、露光する方式で、アナログタイプであるということでは手動写植機の文字盤と同じである。光学式写真植字機用として開発されたのが本蘭細明朝体である。手動写植機でのバックアップも必要とされていたので、同じ原字を用いて手動写植機用文字盤も製作された。
CRT式電算写真植字機(SAPTRON)はCRT(ブラウン管)からレンズ系を経て露光する方式である。書体はデジタルデータになり、その形式はランレングスフォント、ベクトルアウトラインフォント、曲線アウトラインフォントと変化していった。曲線アウトラインフォントということでは現在のDTPと変わらない。CRT式電算写真植字機用として本蘭明朝ファミリーが制作され、同じ原字を用いて手動写植機用文字盤も製作された。この時に本蘭細明朝体は少し調整して本蘭明朝Lとなった。
さらにレーザー式電算写真植字機(SAPLS)が開発された。レーザーの走査によって印字するもので、画像や写真の出力もできるようになった。


●レーザー式電算写真植字機および入力・編集・組版処理を行う各装置のカタログ


●レーザー式電算写真植字機SAPLSシリーズ

入力・編集・組版処理装置も、SABEBEに始まり、SAMITH、SAZANNA、SAIVERTを経て、GRAF、SAMPRAS-C、Singisなどの機器が開発された。
組処理プログラムとしてはSAPCOLが搭載されている。SAPCOLの用語や処理機能は、日本工業規格JIS X 4051「日本語文書の組版方法」にも組み込まれている。
ほかに組処理装置のRETTON、普通紙出力装置のSAGOMESなどがある。


●入力校正機GRAF-ET2N


●ページ編集機SAIVERT-H202-BN

文字入力装置では、フルキー式からシフトキー式、ペンタッチ式へと変化し、漢字かな・ローマ字変換方式へと展開した。また編集・レイアウト装置では、鑽孔テープに記録する方式から始まり、高度なバッチ処理方式になり、WYSIWYGレイアウト機能付きの編集機が開発されると複雑なフルページ組版が行えるようになった。


●電算写真植字機用書体見本帳(第1版)

手動写真植字機用文字盤用に制作されていたほとんどの書体がデジタル化され電算写植機でも使えるようになった。さらにニモニック・コードによって多書体が同時に使用できるようになった。


●本蘭ゴシック・ファミリー(電算写真植字機用書体見本帳・第5版より)

本蘭ゴシック・ファミリーはレーザー式電算写真植字機専用として制作され、もはや手動写植機用文字盤は製作されなかった。本蘭ゴシック・ファミリーとともに試作していた本蘭アンチック・ファミリーは制作されなかった。元写研大阪営業所のビルディングの「定礎」の文字にその名残をとどめているのみである。


文・今田欣一


Circle OWN Winter 2020

2020年01月07日 | Circle OWN
日時:2020年1月4日11時〜15時00分
場所:備前焼伝統産業会館/他



JR伊部駅・備前焼伝統産業会館からスタート。昨年公開された奈緒主演の映画「ハルカの陶(すえ)」の岡山・備前ロケ地マップに沿って散策した。各ロケ地にあるQRコードで映画のシーンを見ることができるようになっている。



駅前の公園・炎の里、赤煉瓦の煙突が印象的な桃蹊堂、備前焼が飾られたショーウインドウのある興楽園を経て、天津(あまつ)神社へ。狛犬、参道、屋根瓦に至るまですべて備前焼だ。





昼食は古民家レストラン・衆楽館本店で、備前カレーをいただく。映画の原作になったコミックス版「ハルカの陶」の第2巻にも、ほんの少しだけ紹介されている。以前、閑谷学校前店で食べたことがあるが、こちらはもう閉じられて、今は本店だけになった。



午後から備前市運動公園に向かう。ここからメインの撮影現場となった窯元・天人窯を臨むことができる。



再び駅前に戻り、ロケ地のひとつである備前市立備前焼ミュージアムへ。特別展「獅子十六面相」が開催されていた。とくに宇佐八幡宮(備前市指定)の宮獅子の修理過程の展示が興味深かった。

話は変わるが……



木版印刷とは、木の板に文章または絵を彫って版を作る、凸版印刷の一種である。中国では雕版印刷というそうだ。
木版印刷そのものはタイポグラフィではない。とはいえ中国では、宋朝体、元朝体、明朝体、清朝体など木版から多くの活字書体を生み出してきた。活字書体の源泉なのである。
2016年1月11日(月曜日)、午後から姜尋さんの木版印刷の工房「煮雨山房芸術文化有限公司」を訪問した。
まずは版木彫刻の現場の見学から。薄い紙に文字を書いて、それを裏返しにして貼っていた。彫刻刀で版木を彫っている作業を見せてもらった。彫り終えた行と、これから彫る行の違いがよくわかる。作業中の版木は梨だそうだ。硬い木なので彫刻するには力が要る。
この版木に墨や絵の具などを塗り、紙をあてて上から馬楝(ばれん)で摺って制作する。日本の馬楝は芯を竹の皮で包んだものだが、中国では狭く長い刷毛または櫛形刷毛で摺る。木版印刷の版木と、その印刷物を見せてもらった。彫りが深いのは、印刷部数を多くするためとのことだ。
煮雨山房で製作された木版印刷の書物のひとつ、ノーベル文学賞作家の莫言氏の著書『大風』を見せていただいた。ところどころに剪紙があしらわれている。この本の複雑な綴じ方は姜さんの創案によるものだそうだ。帙も凝りに凝っていた。姜さんは、このほかにも次々に版木や書物を出してきて説明してくれた。

銅版印刷とは、銅製の一枚板を使った凹版印刷の一種である。活字版が陽刻・凸状の版になるのにたいし、凹版は陰刻・凹状の版になる。その素材として銅が多く使われたために、凹版印刷のことを一般的には銅版印刷と呼んでいる。
金属板にじかに彫刻する方法(エングレーヴィング)での銅版印刷は1420年から1430年ごろにかけて、ドイツとイタリアではじめておこなわれた。17世紀以降には腐食銅製技法(エッチング)が主流になったが、フランス宮廷ではエングレーヴィングを銅版印刷の唯一の製作技法と認めていた。
私が「日本カリグラフィー協会CLA」(注1)の通信教育講座「カリグラフィー講座」(注2)を受講したのは、1991年頃だった。
「カリグラフィー講座」の教科書は「イタリック体」、「ブラックレター・ゴシック体」、「カッパープレート体」の3冊とガイドブックがあり、いろいろなペン先と、ペン軸2種、インク4色がセットになっていた。このうちの「カッパープレート体」というのが、銅版印刷の書体だ。
初級コースの講座の受講期間は6カ月だった。3書体それぞれに添削テストがあり、最後にまとめて認定テストを提出するシステムだ。全部で10回の課題を提出することになっていた。
 注1:現在は「日本カリグラフィースクール」(運営は株式会社カリグラフィー・ライフ・アソシエイション)になっています。
 注2:講座の内容はほぼ同じですが「本格入門コース」という講座名になっています。