typeKIDS Report

活字書体を使う人のための勉強会

「typeKIDS−活字は踊る」報告

2017年07月09日 | typeKIDS_News
7月5日に開催されたFONTPLUS DAY セミナーにおいて、 Vol.9 「typeKIDS-活字は踊る」という演題でお話しさせていただきました。講演の内容は公式レポートが公開されますので、ポイントだけ簡単にまとめておくことにします。

typeKIDS seminar
中学校の国語の教科書には「コンピュータの文字」とだけ書かれているけど、碑刻・木版印刷・活字版印刷の、それぞれの時代の書物から誕生した多くの書体が現代に継承されてきたこと。
(今回は漢字書体に絞りました。和字書体、欧字書体は割愛しました)

typeKIDS workshop
タイプフェイスは原字をデザインするだけではなんの役にも立たない。製本まで含めた「本づくり」の一工程として捉え、3Dプリンターで樹脂活字を作ったり、写植の簡易文字盤を作ったりしたこと。







typeKIDS library
サイン、ディスプレー、パッケージ、広告、ブランディング、そしてウェブなどへと用途は広がっているけど、その中心はやはり書物の本文に置くべきだと考えていること。
(今回は時間の関係で詳しい話は割愛しました)


そして、typeKIDS以後のこと。
個人的にはこれが本当の主題だと思っています。それは、絵画におけるデッサン、書道における臨書に相当することをタイプフェイスデザインでやってみたいということです。「活字は踊る」プロジェクト発進の宣言です。
具体的には、デジタルタイプの和字書体「ときわぎ」、漢字書体「白澤」、欧字書体「Vrijheid」を素材にした『タイプフェイスデザインの手引書』を作りたいと考えています。




追記(2017年10月14日)
『タイプフェイスデザインの手引書』目次(案)




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FONTPLUS DAYセミナーVol.9[typeKIDS—活字は踊る]

2017年06月13日 | typeKIDS_News
FONTPLUS DAYセミナーVol.9(主催:ソフトバンク・テクノロジー株式会社、AZM Design)において、[typeKIDS—活字は踊る]という演題でtypeKIDSのことをお話しすることになりました。
FONTPLUS DAYセミナーは、Webに関わるすべての人を対象とした「書体とデザイン」にまつわる講演イベントです。
※「typeKIDS」については『もじ部』(雪朱里+グラフィック社編集部編、グラフィック社、2015年12月)に記事が掲載されています。


詳細はこちらへ

日時
2017年7月5日水曜 19:00 - 21:00(受付開始 18:30)

会場
ソフトバンク・テクノロジー株式会社新宿オフィス(本社)セミナールーム
東京都新宿区新宿6-27-30 新宿イーストサイドスクエア17階(東新宿駅 A3出口直結)

スケジュール
・開場 18:30
・オープニング 19:00—
・セッション1 19:10—
  typeKIDS seminar 漢字書体と和字書体と欧字書体と
・休憩 19:50—
・セッション2 20:00—
  typeKIDS workshop 樹脂活字と四葉文字盤と





・セッション3
  typeKIDS library|童話集をつくろう!
・質問タイム
・エンディング 20:50—
・閉場 21:00



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特別セミナー「欧字書体のSuccession」報告

2016年07月19日 | typeKIDS_News
特別セミナー「欧字書体のSuccession」報告
話者:今田欣一
日時:2016年7月2日(日)13:00−17:00
場所:東京芸術劇場ミーティングルーム1

今回の会場は、東京芸術劇場(Tokyo Metropolitan Theatre)の5階の奥にあるミーティングルーム1(Meeting Room 1)です。typeKIDSで団体登録してあり、以前はここでtypeKIDSの定例会をやっていました。いつもの榎町地域センターにはプロジェクターがないので、久しぶりにこの会場でおこなうことにしました。



欧字書体をテーマとしたセミナーは初めてのことですが、いつものメンバーという安心感もあって、気がつけば2時間ちかくになっていました。
50枚余のスライドを使って話したのですが、そのまとめは別の機会に譲ることにして、ここではこのセミナーで参考にした3冊の書物について記しておきたいと思います。





『西洋活字の歴史:グーテンベルグからウィリアム・モリスへ』(スタン・ナイト著、高宮利行監修・翻訳、安形麻里翻訳、慶應義塾大学出版会、2014年)
この『西洋活字の歴史:グーテンベルグからウィリアム・モリスへ』は、活版印刷の誕生から20世紀初頭までのすぐれた活字書体を、その活字が使われた書物の図版と解説で時代順に紹介しています。西洋活字の造形と歴史がわかりやすくまとめられています。
欣喜堂で制作している欧字書体(12書体プラス1書体)には、それぞれに複数の復刻書体があり、また世界的に定番となっている書体ばかりです。この書物と同じように、それぞれのオリジナルの活字が使われた書物の図版と欣喜堂欧字書体(12書体プラス1書体)をならべて、その選択の理由などを話しました。



『もっと知りたいカリグラフィー―絵と写真で見る歴史と技法』(ディヴィッド・ハリス著、小田原真喜子監修、弓狩直子翻訳、雄鶏社、1997年)
和字においても、漢字においても、欧字においても、活字書体の基本は書字にあると思います。漢字の書道に相当するものとして、欧字ではカリグラフィーと言われます。この『もっと知りたいカリグラフィー―絵と写真で見る歴史と技法』は、さまざまな書体について構成要素と基礎的ストロークを豊富な図版で解説しています。
欣喜堂で制作している欧字書体について、カリグラフィーからの視点をベースにしながら、欧文書体の基礎知識について解説した『欧文書体 その背景と使い方』(小林章著、美術出版社、2005年)も参考にしながら、活字書体としてのエレメント、ハイトとライン、スペーシングなどの考え方を話しました。
世界的に定番となっている書体ばかりなので、あまり欧米の各国語に強くない者が作ることにはかなり抵抗がありました。しかしながら、漢字書体、和字書体がそれぞれ復刻した書体である以上、欧字書体のみを新規で制作することは考えられなかったのです。定番となっている代表的な書体に、あえて挑戦してみることにしたのです。



『欧文書体2 定番書体と演出法』(小林章著、嘉瑞工房監修、美術出版社、2008年)
活字書体は使われなければ意味がありません。この『欧文書体2 定番書体と演出法』では、定番書体の効果的な使い方を、海外での使用事例の写真とともに、より実践的に紹介しています。日本語書体の使い方を考える上でも参考になる書物です。
欣喜堂で制作している欧字書体は、残念なことにほとんど使われていません。力量不足を感じますが、いつの日か広く使われる日が来ることを信じて、完成度をさらに高めていきたいと思っています。




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