ゆめ51 『飛んでゆく』

私は空を飛んでいる。
眼下に望む街並みはまるで、鮮やかな色彩のモザイクのようで遥か遠い。
一面の青の中に点々と滲んだ白雲の上を両腕を広げ飛んでゆく。
精一杯両腕を広げ飛んでゆく。
君のいる場所まで飛んでゆく私。

ゆめ50 『生命の流動』

犬のような、くらげのようなものがぷるぷると小刻みに身体を震わせている。
そう、これは生命の流動なのだ。
セロファンのように薄く透明な皮膚の下を、
何千何万というたくさんの命が絶えず循環しているのだ。
ふいにその皮膚を破ってしまいたいような衝動に駆られる。

ゆめ49 『滑車』

何かのクイズ番組なのだろうか。
参加者と思しき人々は皆一様に巨大なディスプレイを凝視している。
画面には、鼠が懸命に滑車を回す映像が流れ続けていた。
くるくる回るそれを見つめていると、突然眩暈に襲われる。

ゆめ48 『どなたか』

「この中にどなたか生きている方はいらっしゃいますか」
客室乗務員が慌てたように機内を周っている。
「ここに居ますよ、ここに」
手を上げて呼ぶのだが、私も彼女も死んでいるので聞こえないのだ。

ゆめ47 『飴玉』

飴玉を舐めながら坂を上る。
一向に溶ける気配がないのでつまみ出してみると目玉だった。
私は突然のことに驚き、思わず取り落としてしまう。
坂を転がり落ちていく誰かの眼球。

1000円あったら

1000円あったらいいものを食べよう。

100円あったら

100円あったらマックへ行こう。
行ってベーコンポテトパイを頼もう。
そして「お会計120円になります」と言われよう。
帰ろう。

うじうじクラーク

少年よ、大志を抱いたりしたらいいんじゃないの、ねえ、若いんだし。いやいやまぁ嫌なら別にね、無理にとは言わないよ。やっぱりこの時期にしかできないようなことってあると思うし。ただ俺も今になって「あー、あのとき大志抱いとけばなぁ」みたいに思うことが結構あるわけよね。うん、まぁもちろん強制ではないよ、それはもちろん。だってみんなそれぞれやりたいことはあるだろうし、遊べるときに思いっきり遊ぶみたいなのも大事やん実際。でもこのタイミングで大志抱いとかないと、うーん、絶対後々後悔すると思うんだよね。ああ、いや分かるよ、少年が大志とかあんまり興味ないのは。ただここで抱きそこねるともうチャンスはないんじゃねえかなって話。大志ってさ、割とナマモノみたいなとこあるんだよね。足が早いっていうか。すぐよ、もう、すぐ。「まだ抱けるだろ」って思ってたら手遅れだったってことが往々にしてあるから。俺の友達でもそういう奴いたし。うん、そういうような具合でさあ、大志どう？ ダメ？

みんなのうた

一応確認なんですけど、
「みんなのうた」ってことは俺のうたでもあるんだよね？
俺だけ仲間外れってことはないよね？
「（加藤諒以外の）みんなのうた」とかだったらすごく寂しいよ。
別にこれといって困りはしないけどすごく寂しいよ。
別にこれといって困りはしないけど。

いのちをだいじに

我々の目的、というか立つべき場所は、
死なないことではなく、生きることだと思うので、
やはり寝たりとか食べたりだとか、
そういうことは大事なのだと思います。