つわわわわ

上半身が球体に近づきつつある男の、特になんともないブログ

六本目「窓」

2014年05月12日 00時31分01秒 | 怪談
ある男性の話。

出張先のホテルで就寝の支度をしていたところ、
突然部屋の窓からバンと大きな音がした。
驚きつつも、鳥でもぶつかったのかとカーテンを開けると、
窓の中心に、はっきり人間の手形がついていた。

この部屋はホテルの五階である。

信じられずふいに指でなぞると、手形はなぞった軌跡に沿うようにその形を歪めた。

慌ててフロントに電話し、部屋を替えてくれと伝えると、二つ返事で承諾されたという。

五本目「不吉」

2014年05月11日 01時19分26秒 | 怪談
五十代のある女性の話。

夢を見た。
夢の中で彼女は親類の家を訪ねているが、呼び鈴を鳴らしても返事がない。
玄関の鍵は開いていて、彼女は声を掛けながら家に入っていく。
家の者がいないかと探し回るが誰も見当たらない。
最後に和室の襖を開けると、そこでその家の主人が首を吊っている。

そんな夢だった。
不吉な夢に胸騒ぎを感じたその数日後、自宅の電話が鳴った。
夢で見た家の奥さんからだった。
ご主人が亡くなったのだという。
「もしかして和室で?」
思わずそう尋ねると、
「え、どうして知ってるの」

首吊り自殺だった。