つわわわわ

上半身が球体に近づきつつある男の、特になんともないブログ

ゆめ417 『マーカー』

2012年10月31日 23時57分14秒 | だれかのゆめのにっき

群青。あまやどり。シュノーケル。骨格。甲虫。ペイズリー。
私はぺらぺらと辞書をめくりながら、気に入った言葉にマーカーで印をつけている。
何の意味があるわけでもなくて、ただ暇だからこうしているのだ。
六法。サーモグラフィ。くす玉。蟻地獄。ダルメシアン。


子どもの頃に怖かったらしいもの

2012年10月28日 20時46分25秒 | 冗談
暗闇。
おばけ。
鏡。
吠える犬。
置物みたいな猫。
物置の部屋。
お葬式。
天井の染み。
踏み切り。
夜の海。
救急車のサイレン。
腹話術の人形。
行方不明者の貼り紙。
鏡の中の自分。
暗闇から感じる気配。
犬が吠えている何か。
猫が見つめている何か。
自分が自分でないような感覚。
誰かに見られているような感覚。
誰もいない部屋から聞こえる物音。
何かが腐ったような匂い。
広がっていく天井の染み。
鏡の中からこっちを見ている自分。
箪笥の中から聞こえるノック。
犬が吠えているあれ。
猫が見つめているあれ。
数を数えながら布団の周りをぐるぐる歩く影。
お葬式に行くといつもいる笑顔のお姉さん。
誰もいない部屋から自分を呼ぶ声。
屋根の上で踊っている赤いおばあさん。
金魚掬いの水槽の底でキョロキョロしているたくさんの顔。
苦しそうに身体をよじる天井の染み。
鏡の中で白目を剥いている自分。
自分に似た何か。
腕を掴む自分に似た何か。
とても強い力で引っ張る自分に似た何か。
夜の海に似た鏡。
暗闇。

………

僕はこういうものが怖かったらしい。
変わってるよねぇ。
俺にはちょっとよく分からないな。
でもまぁ変わってるから、あいつは。

いや。

あいつと、かな(笑)

不幸のエチュード

2012年10月01日 00時22分42秒 | 冗談
不幸がこっちをじっと見てんだよ。
だから俺は「見てんじゃねえよ、殺すぞ」って言うんだよ。
いや、言いはしないわ、ごめん、言わない。
言ったら頭おかしいやつと思われるから。
だからつまり、言わないけど、その代わりにそんな感じで不幸を睨みつけるの。鏡越しにね。
したら不幸は「見てないっつーの、死ね」って言うんだよ。
いや、言ってはないんだな、うん、俺頭おかしくないからそういうのは聞こえないしね。
だからつまり、そんな感じでこっちをじろっと見つめてくるのよ、不幸が。
じろっと、じとっと、ぬめーっとした視線をこちらにくれるわけさ。
そりゃいらいらするでしょ。俺は幸せを抱きしめてんだもん。
抱いてるんだよ。しっかりした感じの、それでいて柔らかな感じのベッドの上でね。
そんな何かしらの象徴みたいな感じのベッドの上でセックスしてんの、幸せと。
それをさ、ものすごい湿気をはらんだ目でじろじろみてくるのだよ、不幸のやつが。
不快指数100パーの瞳で。だから俺はもう気もそぞろだよね。
昔の彼女みたいな顔でこっちを見てる不幸を尻目に、そう、ほんともう尻目って感じ。
尻目になんだけど、その尻の目のほうに意識がいっちゃってて、ほぼ惰性で腰振ってるイメージ。
不幸が「なんで幸せにしてくれなかったの」って言うんだよ。
言ってないんだけどね。言ってないけど、そういうふうに口が動いてるから。
いや、昔の彼女の顔はしてるけどもちろん本人じゃないよ、もちろん。
本人は死んでるから。いや、死んでないかな。分からない。
でも、確かに不幸は俺の知ってる昔の彼女の顔で言うわけ。
「幸せになりたかったな」「幸せでいたかったな」って。
だから多分、その不幸も昔は、今俺が抱いてるみたいな幸せだったのかなって、体位変えながら思うの。
でね、体位変えたらさ、不幸とがっつり目が合ったんだよね。鏡越しじゃなくて、がっつり。
そしたら、違うんだよ。がっつり見たら違った。昔の彼女の顔じゃなかったの。
俺の顔。昔の俺の顔なんだよ。昔の俺の顔をしたそれが、それ、名前忘れたけど、それが言うんだよ。
「なんで幸せにできなかったんだろう」って。「幸せにしてやりたかったな」って。「幸せでいさせたかったな」って。
言ってないんだよ、ほんとは。聞こえないし。口がそういうふうに動いてるからそう思うだけで。
まぁそういうふうなことを言ってるんだろうなって思うだけで。なんで泣いてんのかな。おかしいよね。
いや、別におかしくないな。おかしくない。俺は頭おかしくない。