職業シニアインストラクター瀬川文子さんの「ファミリーレッスン」を
読みました。この本はアメリカの臨床心理学者トマス・ゴードン博士が
考案した「親業」というコミュニケーションの訓練プログラムについて
分かりやすく解説したものです。
「親業:PET(Parent Effectiveness Training)」という言葉から、親子
関係を学ぶものと思われがちですが、夫婦関係、嫁と姑、上司と部下、教師
と生徒などあらゆる人間関係において役に立つ心理学を記本におき、人間
同士が率直で信頼に満ちた関係を築くための実践的なプログラムです。
親業プログラムの16のレッスンとは
1.自分の気持ちを「行動の四角形」で整理する
2.だれの問題なのか?
3.子供が心を閉ざす対応
4.会話はキャッチボールとおなじ
5.受動的な聞き方・能動的な聞き方
6.サインに敏感になる
7.「あなたメッセージ」は攻撃的
8.「わたしメッセージ」で思いを伝える
9.相手の言い分にも耳を傾ける大切さ
10.「わたしメッセージ」のバリエ―ション
11. 対立が起きたとき
12. だれにも負けない「第3の方法」
13. 環境改善で問題をすっきり解決する
14. 価値観が違っていたらどうするか
15. 価値観の対立を解消する4つの知恵
16. 家族力の源泉は夫婦の関係にある
表題はダニエ・ルピンク(標記映像)の「モチベーション3.0」の中で、ロチェスター大学のリチャード・ライアンが語った言葉です。
顧問先の役員研修資料作成のため久々に再読しました。ハーツバーグの流れを組んで編み出されたこの理論ですが、我が国の行き過ぎた成果主義見直しの流れの中で注目された1冊でした。
一番記憶に残った一文を掲げておきます。
「デシとライアンは共同で<自己決定理論(SDT)>を構築した。人には生来(能力を発揮したいという)有能感、自分でやりたいという)自律感、(人々と関連を持ちたいという)関係性という3っの心理的欲求が備わっている。この欲求が満たされている時わたしたちは動機づけられ、生産的になり、幸福を感じる」
プラスして、大前研一氏が訳者まえがきで掲げており、私も大いに共感する一文をご紹介します。「 内なる<やる気(ドライブー)!>を持続するのも簡単ではない。・・中略・・・、この本はしつこいくらいこの新しい<習慣><癖>を身につけるための反復練習を要求している。スポーツでも音楽でも一芸に秀でた人がみな通る道。それは驚くほど単調な練習を、驚くほどしつこくやることである。」
コロナ禍ステイホーム読書の一環として 6年ぶりに「嫌われる勇気ー自己啓発の源流<アドラー>の教え」を読み返しました。いまだに売れ続けている息の長いベストセラーです。
結果から申し上げますと、自分の背骨を確認する作業ができて、立ち直れたように思います。
今回4冊の本を読み直しました
*「アドラー心理学入門」(岸見一郎)
1999年に刊行された、我が国のアドラー心理学の第一人者岸見先生の著で200頁足らず の新書版ですが必要なエッセンスは全て入っています。
*「マンガでやさしくわかるアドラー心理学」(岩井俊憲)
楽しく30分で読めます
*「勇気の心理学アルフレッド・アドラーが1時間でわかる本」(中野明)
「超図解」という副題がついているだけに、読みやすく2色刷りで簡潔にまとめられています。確かに1時間で読めます。
*表題の書
岸見一郎・古賀史健共著となっていますが、読んでみますと古賀氏と思われる青年と岸見先生と思われる哲人との問答集という体裁を取っています。ソクラテスの問答集を編纂したプラトンを想起しました。300ページ弱と最もボリュームがありますが、著者の筆力により面白くて一気に再読了しました。
ここで中野明氏の著作巻頭にある「アドラー語録」から一部を引用させて頂きます。
*勇気と責任: 勇気というものは、スプーン一杯の薬のように提供することはできません。 責任を引き受ける訓練と、 勇気を持つ訓練は、完全に表裏一体なのです。
*失敗を恐れない: 思うに、人が自分のことしか考えられなくなる理由というのは、失敗することを恐れているからでは ないでしょうか。わたしが成功したのは、劣っているという感覚に刺激されたからにほかありません。
*人間の価値: 一人の人間の価値を形成するのは、社会の分業のなかでその人に割当てられた役割を、その人が どのように果たすかということなのです。
表題はノートルダム清心学園元理事長の故渡辺和子先生のベストセラー<置かれた場所で咲きなさい>から引用したもので「悩み疲れる前に、別の視点から考えてみよう。見方が変われば、たとえ悩みは消えなくても勇気が芽生える。」と続きます。
この言葉はカウンセリングにおける認知療法の基本的な考え方と見事にマッチングする内容で、心に響きます。キリスト教徒としての確固たる信念と、波乱にとんだ人生経験に裏打ちされた珠玉の言葉の数々に心を洗われました。
160頁強のコンパクトな新書判、ご本人が執筆当時85歳ということもありポイントは大判の活字で組まれており、高齢者にも優しい作りとなっています。私はクリスチャンではありませんがミニ聖書として座右の一冊にしたいと思います。
書評を読みますと、多くの方に評価されているものの「<咲きなさい>の上から目線の命令口調は何様だ!」とか「ブラック企業に勤めたら、一生そこで搾取され続けろというのか?」とかいう類の批判も無視できない程度見られます。<咲きなさい>は渡辺先生の言葉ではなく、若かりし頃宣教師から教えられ、それによって救われた英語の詩の一節です。また、より良い環境を得る努力は勿論大切です。しかし進学にしろ、就職にしろ、結婚にしろ全て自分の望むものを100%得ることは難しいと思います。ベストを尽くして得られた結果であれば、いつまでも叶わなかった願望に拘泥することなく、得られた環境を当面のベストと受け止めそこで自らの最善を尽くして、より良い人生を築いていくことが大切なのではないでしょうか?
章立てをご紹介します。
*第1章 自分自身に語りかける
*第2章 明日に向かって生きる
*第3章 美しく老いる
カバーから若干追加引用します
<希望には叶わないものもあるが、大切なのは希望を持ち続けること>
<迷うことが出来るのも、一つの恵み>
<心にポッカリ開いた穴から、これまで見えなかったものが見えてくる>
マーティン・セリグマン博士の「ポジティブ心理学の挑戦」ー”幸福”から”持続的幸福”へー
より 最終章結びの言葉をご紹介します。
すべての人間が肯定できることとは何であろうか
私たちは皆、もっとポジティブな感情を増やすことに「イエス」と言おう
私たちは皆、もっとエンゲージメントを増やすことに「イエス」と言おう *
私たちは皆、もっと良好な関係性を築くことに「イエス」と言おう
私たちは皆、もっと人生を有意義にすることに「イエス」と言おう
私たちは皆、もっとポジティブな達成をを増やすことに「イエス」と言おう
私たちは皆、もっとウエルビーイングを増やすことに「イエス」と言おう
*注 「エンゲージメント」とは双方向的な深い結びつきをいいます。例えば従業員と企業、
顧客と企業等の関係性に使われます。(エンゲージリング:結婚指輪)
ステイホームの最中読み直した 絵本からのお話です。
はっぴいさんは
こまったことや ねがいごとを きいてくれるのです
やまの うえの おおきな いしの うえに
はっぴいさんは ときどき くるのだそうです (以上原文のまま)
そんなはっぴいさんに なんでものろのろの僕と
なんでも慌ててしまう私が その欠点を直すようお願いに行く途中で
出会い 共に会いに行く物語です。
非常にシンプルな内容ですが 色々な読み方ができ色々考えさせられます
そしてこれが絵本のもつ魅力なんでしょうか?
子供時代に戻ったような素朴な感動を久しぶりに味わうことが出来ました。
表題は「ミルトン・エリクソン心理療法」のサブタイトルです。
ミルトン・エリクソンはカール・ロジャーズとともに、私のカウンセリングにおける心の師ともいえる存在です。これまでも邦訳で出版された書籍はほとんど読んできましたが、本人自身の著作は極めて少なく、そのほとんどがお弟子さんによる、治療実績の紹介とその神がかり的な手法への礼賛といったものが多かったように思います。
言ってみれば奇跡の神話集といった趣のものが多かったのですが、本書は3名の共同執筆者のうちの2名が実の娘さんゆえにか(あるいはにもかかわらずか)、冷静・論理的に治療実績を分析しており、極めて実用性の高いものとなっています。
構成は「ミルトン・エリクソンの略歴」「癒しと健康の土台」「臨床上のストラテジー」の3部からなっています。略歴でその背景を、土台でその哲学的基盤を、そしてストラテージ(戦略)でそのセラピーの具体的手法を知ることが出来ます。
特に核としてあげられた6つのストラテージ「注意のそらし」「分割」「前進」「暗示」「新たな方向づけ」「利用」はミルトン奇跡の本質が見事に分析されており、私のセラピー・カウンセリングにおいて生涯の座右の書となりそうです。
表題は久野康成・井上ゆかり(写真)両氏による共著「もし、かけだしの
カウンセラーが経営コンサルタントになったら」の本文から拾ったものです。
経営コンサルタントでカウンセリングを勉強中の私にとっては、非常に
関心をそそられるタイトルです。内容は井上さんの分身ともいうべき
マネジメントセラピスト(カウンセラー)が父性系リーダーシップが主流の
企業組織において、母性系リーダーシップ(カウンセリング)を駆使して
組織がぶつかる壁を乗り越えていく物語です。
読了後、組織に求められる2つのリーダーシップP・Mを再認識しました。
(P:目的の達成:パフォーマンス、M:メンテナンス:組織の調和・維持)
表題はコスモ・ライブラリー社刊「ロジャーズのカウンセリング(個人セラピー)の実際」
の中でカウンセリング終了後に、ロジャーズが精神分析の「逆転移」に対する評価を批判した
言葉です。
ロジャーズのカウンセリング面接ビデオのこの貴重な英和対訳版で、彼が提唱した成功する
心理療法の必要十分条件を、見事に実践しています。すなわちセラピスト側の自己一致、
純粋性、真実性といった態度、クライエントに対する肯定的関心、共感的理解の3つです。
さらに感銘を受けたのが、クライエントの自発的発言をじっくりと待つ姿勢、クライエントに
対する共感的理解に対する的確さです。
将来はビデオそのものを視聴してみたいという思いを強くしました。
顧問先役員研修資料作成のため平木典子先生の「アサーション入門」を再読しました。
アサーショントレーニングは1950年代後半から1960年代にかけて、行動療法の
先導的指導者であるウオルピとラザルスによって創案されたものです。
その本質は「アサーションとは自分も相手も大切にする自己表現(第1章表題)」に
よく表されています。
自己表現の3タイプとして
①自分よりも他者を優先し、自分は後回しにする自己表現
「非主張的(non-assertive)自己表現」
→自らの尊厳や権利を否定、アイデアや考え方を表現できず評価されにくい
②自分のことだけをまず考えて行動し、時には他者を踏みにじることにもなる自己表現
「攻撃的(aggressive)自己表現」
→対等で親密な人間関係や、安定した人間関係を築くことが難しい
③自分のことをまず考えるが、他者のことにも配慮する自己表現
「アサーティブ(assertive)な自己表現」
①は私を含めて日本人には多くみられる「のび太君」タイプで ②が「ジャイアン」
タイプ、そして③が自分に嘘をつかず、相手にも不快感を与えない「しずかちゃん」
タイプということになります。
この本で印象に残った文章をいくつかあげておきます
・自分も相手も大切に
①私たちは誰もが自分らしくあってよい
②人は誰でも自分の気持ちや考えを表現してよい
③人間は過ちや間違いをし、それに責任をとってよい
「やってよいこと」は意外にたくさんある
・アサーションは、一発勝負のためのコミュニケーション法ではなく、お互いを大切に
し合うチャンスを相手に任せず、自ら創ってみようとする第一声である
・まず自分から、「私メッセージ」で気持ちを伝える
・「なぜ?」「どうして?」は問答無用で責める意図が含まれやすいので、「意図や
理由、いきさつについて知りたい、聞かせてほしい」等 言い回しを変える
・「当たり前」「はずだ」「当然だ、べきだ」ということはめったにない 決めつける
調子ではなく「そうするに越したことはないけれど 必ずしもそうではないのでは」
というように考える幅、まわりを見回す余裕をもつ