十王堂跡の道祖神
権現久保の道祖神
「道祖神 庚申」併記碑
十王堂跡の下にある石祠型道祖神
箕輪町富田の県道与地辰野線に沿って集落が展開するだけに、この県道沿いに道祖神が何基も見られる。前回触れた中富田の道祖神のほか、南側の県道がクランク形に曲がるところ十王堂跡にも奇石道祖神が祀られている。見ての通り、異様な形をしているから、これまた「奇石」にふさわしい。男根をイメージさせているのかもしれない。やはり「こづごつした石」であり、奇石に共通している。前編で示した「富田区史跡歴史マップ」には、ここに「庚申道祖神併刻碑」があるというが、これ以外に道祖神らしきものは見つからなかった。日をあらためて確認してみたいと思う。
もう1基奇石道祖神が集落北の富田バス停の四つ角にも立っている。とはいえここの道祖神、前面に「庚申」がどんと立っていて、その背後に隠れるようにある。したがって前述の「富田区史跡歴史マップ」に道祖神の存在が示されているからこれが道祖神とわかるが、そうでなければ道祖神と気づかない。花崗岩の風化の進んだ石で表面はもろそうだが、やはり「ごつごつ」している。おそらく前編で触れたものと、ここに触れた計3基が富田にある奇石道祖神と思われるが、もうひとつ、十王堂のさらに南、旧道の土手に「道祖神 庚申」という併記した石碑が立っている。その脇にも小さな自然石があり、これも道祖神だったのではないかと想像する。ちなみに「道祖神 庚申」併記碑に年銘はない。この富田地区には「道祖神 庚申」の併記碑がいくつも確認できる。いずれもそれほど古いものではなく、中には個人名の刻まれたものが複数見られる。そもそも狭い範囲に道祖神がいくつも見られ、ここでは個人造立の道祖神が多いのかもしれない。そして、それらは真似て造られたのか「道祖神 庚申」と併記されたようだ。
さて、かつて「ホンダレ様 後編」を記した。富田で正月に立てられるホンダレ様について触れたもので、「ホンダレ様 前編」で触れたホンダレ様も富田のもの。十王堂跡のすぐ東側の家が「ホンダレ様 後編」で触れた向山さんの家で、そり際に現在はどんど焼きが行われていないと聞いている。道祖神が狭い範囲に多いものの、道祖神信仰そのものは希薄化しているようである。
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