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東信の道祖神と五輪塔⑦

2024-09-21 23:31:04 | 民俗学

東信の道祖神と五輪塔⑥より

 

小諸市滋野甲芝生多公民館北側

 

 小諸市西部、国道18号の芝生田信号機の南側に芝生田公民館がある。この脇から多古神社の参道が始まっていて、鳥居が見える。国道18号の上を渡って多古神社への参道は続く。この鳥居の左わきに石がゴロゴロしている。中に双体道祖神や「道祖神」といった碑が見えて、そこが道祖神の祭祀空間であることがすぐにわかる。

 岡村知彦氏の『北佐久石造文化財集成』の小諸市編によると、道祖神としては4基報告されている。文字碑が3基、双体像が1基である。写真の右手2基、左端の1基に「道祖神」が見える。その左端の「道祖神」の右側に双体像がある。ほかの石はどのように報告されているかと言うと、石神として石棒が3基、五輪塔の空風輪の残欠が3個、火輪が2個とされている。中より手前左手の五輪塔らしく見えるものは一つ欠けているだけで五輪塔の完全形に近い。組み合わせ次第では完全形になるのだろうが、そもそも五輪塔としての役目を失っているため、あえて五輪に組み合わせる必要も無いのだろう。石棒3基はその左手にある棒状のもの3つと考えられるが、双体像の前にある火山岩系の黒っぽいものは五輪塔の空風にも近い。ただ、上記以外の石がそこに加わっている。双体像の右手のゴツゴツした石は上に五輪塔残欠が載っているが、自然石道祖神として捉えられそうだ。手前の五輪塔の背面にも写真には写っていないが小さな石があって、棒状と言えるものなのかもしれない。そのほかにも丸っぽい石がいくつか置かれている。

 ちなみに双体像には銘文はないが、右端の「道祖神」には「天保四巳年十一月吉日 願主柳沢角左ェ門 久保寺熊吉」とある。

続く

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