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伊那谷の境界域から見えること、思ったことを遺します

田の多い地域、畑の多い地域

2020-04-11 23:03:38 | 信州・信濃・長野県

 

 伊那谷に関して、これまでにも南北の景観の違いについて触れてきた。北側は水田優先、南側は畑優先、それは景観に明確に現れているということ。あらためてデータでそれを示してみた。図は、「平成27~28年 長野農林水産統計年報」からまとめた田が多いか、畑が多いかを示したもの。黒色は水田が畑より多い市町村、白色はその逆で畑が水田よりも多い市町村である。意外に思うのは長野市周辺が畑が多いことだろうが、やはり果樹園が盛んな地域は畑が優先することになる。また、高原野菜の盛んな地域も同様だ。

 いっぽう伊那谷を見てみよう。北側のいわゆる上伊那郡では、唯一蓑輪町が畑の方が優先するが、あとは全て田が優先する。そして南側の下伊那郡に入ると売木村を除く全ての市町村が畑優先となる。これほどはっきり現れる地域は珍しいだろう。データで明確にその景観が現れている例である。実際の数値で捉えてみると、下伊那郡松川町は田23%に対して飯島町は畑29%と、まったく正反対の数値である。それが上下伊那の境界域だというのだから、郡を越えると景観が一変する典型的な例である。

 単純にどちらが多いかという白黒をつけたものであって、実際の数値は拮抗しているものもあれば、飯島町と松川町のように明確に優先度がはっきりする例もある。意外に思えるのが木曽谷の町村だ。ちょうど木曽駒ケ岳の反対側にあたる木曽地域には、田優先地域が目立つ。実際の数値で捉えると、拮抗している町村もあるが、南木曽町のように田64%と田優先度の高い町もある。また、圧倒的な数値を見せるのが、南佐久地域の村だ。川上村は田が2%しかないし、隣の南牧村も6%を示す。どちらかが一桁代という例は、この二つの村だけである。田の優先度が圧倒的な地域が北安曇郡である。景観を思い出してみれば納得できる。水利とかかわる面もあるが、例えば松川町の畑優先度が上がったのは、果樹が盛んになって以降のことだろう。この町を歩くと、畦のある土地に果樹を栽培している光景をよく見る。ようはかつて水田であったところを永久転作した事例だ。先日触れた「ブンチのシゲチャ」も水田に二十世紀梨を植えて、果樹栽培に転換した。したがって農業用水路が、果樹園地帯を流れている例が多い。これも特徴的景観といえる。


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