Cosmos Factory

伊那谷の境界域から見えること、思ったことを遺します

絶滅種コケリンドウ

2010-07-08 20:30:57 | 自然から学ぶ

 富士見町の立場川近くの公園で昼をとった。先客もいたので芝生の上で腰を降ろそうと適当な場所を探して歩いたが、芝生の合い間に苔が見えたのでなるべく苔の少ない場所を探して座ったのである。昼もとって少し腰を降ろした場所を見回していると、小さな花が少し目に入った。群生しているほどではないが、点在して幾輪かの小さな青い花が芝生の間に顔を出していたのである。芝生も丈にすれば10センチほどになっているから、かなり長めである。したがって芝の中に隠れているといってもよいのだが、さすがにその間に青い花が咲いていれば、少し気を払えば気がつく花である。「フデリンドウにしては小さい」と思い写真に収めていると、同僚の座っていたあたりにもっと沢山の同じ花が咲いていた。さすがにわたしが言うまで同僚も気がつかなかったようであるが、そこそこ咲いていても気がつかないほどの小さな花であることは事実。その花の直径は5ミリほどのもの。花茎の丈も10センチはない。芝生がもっと短ければそ上に頭を出すのだろうが、「芝生」という条件からいけば当たり前のようにみな一様な草丈を見せる。もちろんそれらより強い雑草がその頭に飛び出ているものもあるが、長くなればきっと芝生は刈られる。したがってこれらの花も芝生が伸びればいずれは刈られてしまうのだろう。

  家に帰りリンドウ系のものを検索してみるとコケリンドウというものがあることを知った。そういえば「コケ」と「苔」は関連しているのか?とも思いコケリンドウを探ってみると、花の大きさや丈などから察知してまさにコケリンドウではないかと想像した。ところがである。環境省のレッドデータリストに記載はないものの、長野県版レッドデータブックによれば長野県では「絶滅種」とされていた。絶滅と言われているようなものがそう人目につくような場所にあるはずがないと思い、その後は思案している。

 フデリンドウは花の大きさが2センチほどある。花そのものの形はよく似ているのだが、花だけではなかなか区別ができないよう。そこでその判別の指標になるものが、「萼裂片が卵形か倒卵形でロゼット状の根出葉があればコケリンドウ、萼裂片が披針形でロゼット状の根出葉があればハルリンドウ、また萼裂片が披針形でロゼット状の根出葉が無ければフデリンドウ」というもの。そうした知識がなかったため、根出葉まで確認していない。そこで再び訪れた富士見町出張でそれを確認してみた。見事に根出葉がこの青い花にはある。小さいものもあるが、そこそこ大きな根出葉を出している株もあった。もちろんロゼッタ状である。どうみてもコケリンドウと思うのだが、いよいよ専門家に見てもらうしかない。いつごろ造成された公園かは解らないが、石碑が建っていることからもそれほど新しい時代のものではない。芝生の中という状況からしてよそから持ち込まれた土に混入していたともいえる。考えてみれば県境域であるし、隣の山梨県では指定植物ではない。ちなみに絶滅種指定されているのは長野県と三重県。ほかに絶滅危惧種Ⅰ類からⅡ類、あるいは準絶滅危惧種指定されている県は何県もある。

 参考に辞書に見るコケリンドウについて転記しておく。

「リンドウ科の越年草。茎は高さ2~10センチメートル、よく分枝し、花期に大形の根生葉がある。葉は卵形で先はとがり、基部は柄がなく短い鞘(さや)となる。3~5月、茎の先に淡紫色の花を上向きに開く。萼(がく)裂片は卵形で開出するかまたは反り返る。花冠は筒状鐘形、萼の2倍の長さに達し、先は5裂するが、裂片間に副萼片があるので10裂しているようにみえる。名は、全体が小形であるところからコケに見立てたもの。海岸から山地帯の乾いた草地に生え、本州、九州および東アジアの温帯に広く分布する。」


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