Cosmos Factory

伊那谷の境界域から見えること、思ったことを遺します

直接的、そして記憶装置

2018-03-23 23:47:47 | ひとから学ぶ

 近年行政の文化財にかかわる分野に少しばかりかかわり、わたしの生業の世界とは大きな違いを感じている。わたしの生業の世界では、何か事を起こす(補助金をもらうとか)となると、まず県の出先機関である現在の地域振興局に相談となる。申請をすればそれが県庁に上がり、さらに農政局、ようやく農水省へと順々に手続きがされていく。国土交通省への申請手続きも段階があって同様な流れがあるようだが、とりわけ農水省のピラミッドは大きくて、頂点までは遠いという印象がある。

 ところが文化財行政はどうだろう。もちろんその現場にいる者ではないのではっきりしたことは分からないが、わたしたちの世界の当たり前のことが、どうも違うようだ。これは教育委員会という行政の中でも別の枠にあるせいなのかもしれないが、たとえば地方の一市町村の職員が文化庁に出向するというような例は、わたしたちの世界ではまず聞かない事例。ところがたとえばわたしの関わっている市では、そうした出向を繰り返している。もちろんそうした事例を描く自治体は、職員の異動においてまったく無関係な部署への極端な配置は行わない。そうした背景があるから、と今まではなんとなくイメージしていたが、そもそも補助金申請の手続きを聞いていても、直接的だという印象だ。ようはわたしたちのように県の出先⇒県庁⇒局⇒本省という流れではない。市町村からいきなり文化庁というイメージがある。ストレートでわかりやすいのは言うまでもない。この方がロスはないし、国の考え方がストレートに伝わる。きっと実施していても達成感が違うのではないか、そう思う。補助金の規模がまったく異なるというせいもあるだろうが、二重三重の外周に身を置く者にとっては、曖昧なイメージしかできあがらない。

 異動の季節だ。仕事でお世話になっていることもあるが、行政にかかわる方々は、異動が激しい。単身赴任は当たり前だし、在任期間も短いような組織もある。何のために異動をするのか、そう問われると明確に理由を口にされるだろうが、わたしにはデメリットしか浮かばない。かつて我社も比較的短期間に、そして同一部署の行き来を嫌った。お役所のような異動を繰り返していたが、会社が危うくなって贅肉を削ったら、結果的にお役所のような異動はできなくなった。というより業務環境と異動と、といった天秤がけをして、会社を去る者が多かった。改善されたにもかかわらず、今もって異動を嫌って会社を去る者がいる。記憶装置をフル回転させるには激しい異動や、まったく異なる部署への異動は、考えがあってのものでなくてはならない、そう思うが、それができるということは業務環境の違い、ということなのだろう。


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