●手●ちという言葉は、使ってはいけない言葉だと、前の職場であった、コンプライアンスセミナーで聞いた。それ以来、単純でバカなワシは信じ込んでいたのだが、最近知ったところでは、このことにも、いろいろ論争があるらしい。(これとか、あれとか)
それはさておき、冷静に、いま考えてみると、なぜ法令遵守のコンプライアンス教育の場で言葉遣いまで指導されたのか、なんだかおかしい。言葉遣いまで、平素気を配っておれば、コンプライアンス上の事故を起こすようなこともあるまいとする考えがいかにも金融機関らしく官僚的である。
金融機関のみに限らないが、業務上コンプライアンスの判断を誤るのは、能動的な行動ではなくて、受動的なタイミングであることがほとんどである。これを予防するには、基本的には準拠法令の徹底的な理解、反復的な意識づけと、社内外の過去事例の収集、研究しかないと思われる。
ないがしろにするつもりはないが、日常の言葉使いや、常識的なしつけや作法的な指導は、人権教育の場で行えばよいことであって、コンプライアンス教育で行うことではない。そういうものを何百回も行ったところで、役に立つのは、大事が起きた時の当局への言い訳だけにすぎない、ということになる。