下呂の湯はなかなかである。とろりとして、体にまとわりつくような感じで、しかも、体がつるつるになる。
夜、露天風呂に浸かって、星空を眺めていると、短い間とはいえ、転職活動の辛かったことがまるで別世界の話のように感じられる。下呂に来てよかった。タケさんとタマクローが寝静まったあと、湯に浸かって、無の境地に入ると、自分が温泉か、温泉が自分かわからなくなる。
朝、目覚めて、また湯に浸かる。一風呂浴びて、部屋に戻ると、朝食の用意ができている。
このあさめしがまたうまい。鍋のようなのは、湯豆腐。網の上で焼かれているのは、イワナの開きである。淡白で、いくらでもご飯が食べられてしまうのだ。手前にあるのはビール。旅館のあさめしといえば、ビールである。
チェックアウトを済ませて、木曽屋の前で、記念撮影。本当にいい宿であった。
タケさんは、重要な会議が控えているとかで、名古屋に帰ってしまった。残された、タマクローとランニングおやじは、バスで新宿に帰る予定で、バスの発車まで、2時間ほどあったので、「温泉博物館」に行って、温泉の研究をしてみた。
本邦初公開。ボカシなしで、顔公開しちゃうぞ。左がタマクロー、右がワシ。
温泉博物館で、温泉について語るタマクロー博士。「下呂でも草津でも治らないのは恋の病です」
旅先とはいえ、ひげはそってもらいたいものだ。
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そんなかんだで、駅前で、新宿行きのバスを待っていると、何だか一人の男性を囲んで、同年代の女性がパチパチとフラッシュをたいたり、携帯で写真撮ったり、様子がおかしい。どうも芸能人らしいが、見たことない。
この芸能人、後に、「キャンディ」、「てぃーんずぶるーす」などのヒット曲で知られ、松田聖子とのうわさまであった、あの方であることが判明。ミーハーのランニングおやじ、「ずっと応援してます。がんばってください」、「ああ、どうも」。握手してもらって、感激である。
何が感激なのか。
そう、ついにワシは松田聖子と間接握手をしたのだ。強引にキスしていたら、間接キスだが、中年おばさんファンにしばかれていたことだろう。
こうして、旅は無事終わった。(了)