生産技術科の一日

設計・製図・加工・制御・・・メカニカルエンジニア達の記録。現在名・・・メカニカルエンジニア科

自動プログラム作成機能

2006年02月28日 | 2005

本日より新たなカリキュラムをスタートしました。自動プログラム作成機能を使ったマシニングセンタプログラムの作成です。これまでプログラムは、各自のノートに手書き後に制御盤からキー入力するか、パソコンで入力後に通信ケーブル(RS232-C)で機械に流し込むという方法をとってきました。プログラムの理解を深めるためには有効な方法ですが、実際の生産現場では、CAD/CAMや自動プログラム機能を使うことが常識です。

自動プロは、対話形式で素材寸法や使用工具などの条件を与えていくと自動的に加工プログラムを生成してくれるというものです。加工条件等についてはメーカー推奨値で作ってくれますが、これが必ずしもユーザーの要求に合うとは限りません。多少の手直し(編集作業)が必要になり、手書きで組んだプログラムの知識が生きてくるのです。要は自動プロとマニュアルの知識を組み合わせ、早く正確なプログラムを作れることが大切なのです。

これからのこと・・・

2006年02月24日 | 2005

修了式まで、あと16日です。
これまで、いろいろなことに取り組んできましたが、まだまだ未熟な部分や、やり残していることも多くあります。残り少ない日数で、より実践的な知識と技能を習得できればと思っています。

以下は、今後の予定です。
1.NC旋盤・マシニングセンタ-各種セッティングと自動プロによるプログラム作成
2.三次元測定機-平面・立体測定とデータ処理
3.ワイヤーカット放電加工機-IDプレートの製作(卒業記念)
4.ミニフライス盤-主軸部製作
5.バイト・ドリルの研削-グラインダによる再研削
6.旋盤・フライス盤作業-過去の技能検定課題の製作
7.作業台製作-各種工具類を効率的に置ける作業台の製作
8.CAD製図-AutoCAD操作と図面の理解の習熟
9.パソコン修復作業-HDのフォーマットとFDISKでのパーテーション分割
9.各種機械のメンテナンス などなど・・・

まだまだ、忙しい日が続きそうです。 

価値生産方式(32)現場での価値生産

2006年02月24日 | 2005
<課題の設定>
ユニットの中で実施する課題について説明しています、価値生産を行うために課題
を設定します。

もちろん何かの問題があり、原因究明をして、その原因を取り除くための課題設定となりますが、ここでつまずくのは、必ずしも原因と結果の関係だけで課題は設定出来ないと言うことです。

具体的には、特急品が入って工程が乱れる、部材の品質に問題があり、部材の組み換えが必要となる、機械故障のために作業が順調に流れないなど、色々の問題が現場にはあります。

機械故障を例に取ると、故障対策として幾つかの方法が考えられます。
機械が故障した場合、赤いフラッグ(旗)を機械に立てて、応急処置を早くする場合や、故障を原因別に解析して、大きな故障の元となっている原因を突き止め、対策を打つ、他にも、故障機械別のチョコ停(機械が止まる)回数を調べ、一定回数以上の機械の保守整備を行うなど、対策としては色々な方法が挙げれます。

しかしこうした対策がコスト的にも保全の意味からも大きな効果を出すかと言うと必ずしも効果につながらない事もあります。

それは故障は現場では手に負えない問題として処理される事にあります。
故障はあくまでもオペレーターが面倒を見るものであり、故障を未然に防いで、機械の本来性能の維持という問題を現場のオペレーションの中に組み込む事も重要な課題となります。

ところが、オペレーターは生産者であり、生産以外の時間を認めない風土が製造現場にはあります。
もちろん複雑な電気回路や重要な部品の磨耗などから発生する問題への対応は無理かも知れません、しかし大方の故障、言い変えれば90%以上の故障は現場でも対応できる、もしくは対応しなければならない課題と言えます。

こうした課題への対応姿勢も価値生産を行う場合の基本テーマとなります。




作業の急所(技能照査10)

2006年02月23日 | 2005

今週中の完了を目指して、取り組む実技課題。連日合格者が出ていますが、思うように行かず伸び悩んでいる現実もあります。

ペースアップのために、段取り時間の短縮が必須であることは、これまで述べてきたとおりですが、その中でも大きなウエイトを占める材料の心だしに手間取り、ペースをつかめない生徒がいます。

今日の実習の最後に、1時間ほど集中的に心だし練習を行いましたが、これまで10分以上かかっていた作業が、コンスタントに5分以内(最短は2分20秒)で出来るようになりました。与えたアドバイスは、ただひとつ、材料をつかむ前にツメ(4爪チャック)の位置を揃えなさい、ということだけでした。これだけで心だし時間が半分以下になりました。

すべての作業には、それを正確に速く行うためのコツがあります。急所と呼ばれるもので、理に適い根拠のあることです。これを知っているかどうかで時間と精度に、大きな差が出てしまいます。もちろん、今まで教えていなかったわけではありません。きっと、忘れていたのでしょう。

この他にも彼にしなければいけないアドバイスは、いっぱいありますが、焦らず一つずつ自分のモノにしていけばいいのだと思います。

価値生産方式(31)現場での価値生産

2006年02月22日 | 2005
<リーダーシップについての整理>
アメリカの継電器工場の実験でも明らかになった、リーダーシップの重要性。
どのようなリーダーシップスタイルが可能かということよりも、リーダーとして
認められる人材にきちんとしたリーダーシップを負わせる事が重要であり、リーダーを通じて、組織の目標と達成レベルを明確に指示する事が重要になります。

また、リーダーは万能ではなく、リーダーが中心となって解決可能な課題とサポーター(専任)が中心となって、調整しなければならない問題を分けておく必要がある事。

課題は達成可能な内容であり、評価可能な形として提示される必要があること。
以上の内容について述べてきました。

それでは、達成可能な内容としてどのような課題をリーダーに与えて、実現するかの問題に入りたいと思います。

課題設定においては、専任などプロジェクトを推進する中心メンバーが、リーダーを集めて、課題設定を指示しても、すばらしい課題がすぐに作られるわけではありません。

まずは現場の問題を整理して、問題構造の体系を作る必要があります。
体系というと大げさですが、QCの7つ道具の一つである、特性要因図などをリーダーを集めて作る事も重要です。

要するに問題を共有するのではなく、問題構造を共有する必要があるのです。
問題は、特性要因図などを作成すれば、個別に出てきますが、問題の根の部分を明らかにして、根を改善する必要があります。

根が発見できないと、いたずらに「モグラたたき」のような事を現場で実施して
いつまでたっても本質の改善が出来ないで終わる事になります。

実は、マンネリ化したQCサークルや、思いつきで始めた改善運動などは、こうしたジレンマに落ち込むケースが多くあります。

要するに形だけ実施され、演出され、自己満足の世界で帳票類や管理図などが貼り出され、いかにも現場で改善が盛んに行われている印象を与えますが、その実中身のない事を全員が知っている場合などがあります。




あと一ヶ月 (技能照査9)

2006年02月22日 | 2005
三寒四温の言葉どおり、少しずつ冬から春への変化を感じながら、ふとカレンダーを見て気づくのは、3月22日の修了式(卒業)まで、ちょうどあと1ヶ月。

生産技術科1期生を担当することになり、これから2年間うまくやっていけるのか、とてつもなく長く感じられた道のりでしたが、過ぎてしまえば実に早いものです。

日付がカウントダウンされるなか、技能照査の実技課題が続行されていますが、昨日までの合格者は5名。なんとか今週中に残りメンバーも結果を出したいところですが、ここにきて、やや停滞感があるのが気になる所。作業工程は頭に入っているようですが、逆に慣れからくるイージーミスが目立ちます。リフレッシュが必要なのでしょう。


レースで勝つために (技能照査8)

2006年02月20日 | 2005
今日まで、3名の実技課題合格者がでていますが、寸法精度ではあまり褒められたものではありません。試験なので100点でもギリギリでも合格には変わりありませんが、商品とすれば売り物にはならないでしょう。

経験の少ない彼らにとって、作業スピードと寸法精度を両立するのは容易なことではありませんが、実際の仕事では、その能力が要求されます。

たとえば、レースで勝つためには、どうすればよいでしょうか。かつて、日本人ではじめてのF1レギュラードライバーだった中嶋悟さんが言った答えは、「ブレーキを踏まないこと」です。

でも、ブレーキを踏まないとコーナーを曲がれませんよ、と返すインタビュアーに対し「もちろんその通りです。まったくブレーキをかけずにコーナーを曲がることは不可能です。でも、ブレーキをかけスピードを落とすことは、速く走ろうとするレースの目的に反する行為です。要は、ブレーキをかける時間を誰よりも短くすれば、逆にアクセルを踏んでいる時間が長くなるわけです。結果、一等賞になれるんです。」

この考え方は、我々の作業でも同じことです。金属を削って目的の形状に仕上げるためには、削ってない時間を、いかに少なくできるかです。つまり、材料や刃物の芯出しや測定の時間を速く正確にできるかということです。

差が出るのは段取り時間で、切削時間はほとんどかわりません。そして、段取り時間を短縮するためのポイントは、動作のシンプル化とパターン化です。ムダな動作をなくし、定形化することで時間短縮と作業精度が上がっていきます。

もちろん、ある量の練習や経験は必要ですが、これを意識してやるかどうかで大きな差が出ます。


技能照査 7

2006年02月17日 | 2005
機械の台数の関係で、クラスを2グループに分け、実技課題の練習と試験を実施しています。前半のメンバーが、ほぼ順調に消化し、現在後半組が練習に取り組んでいるところです。

生産技術科は2年課程ですが、幅広い知識と技能を習得しなければならず、必然的に各科目の時間数が制限されます。機械加工についても同様で、絶対的な経験時間数が少ないため、寸法精度や作業ペースなど、立ち上がりは遅く、数回の練習が必要になります。逆に、ある程度慣れてくると、他の知識や経験を生かした判断ができ、順調なペースアップが期待できます。来週中に、全員が実技課題を終われればと思っています。

技能照査 6

2006年02月15日 | 2005
技能照査の実技課題は2品目あり、部品①はすべて旋盤で行う作品です。含まれる作業要素は、端面削り、外形削り、段削り、溝入れ、ねじ切り、テーパなどです。

部品②は旋盤、フライス、マシニングセンタ、手仕上げの作業工程があります。旋盤で、中ぐり、テーパ加工を行い、フライスで外周を4面に落とし、マシニングでタップの下穴をあけ、最後に手仕上げでタップを立てるというものです。

マシニング工程での穴あけのプログラムを以下に紹介します。

%
O1(GINOU SHOUSA)
T3(CENTER DRILL)
M98P98
G90G54G0X20.Y20.
Z50.
S500M3
M8
G99G81Z-5.R1.F50
X-20.
Y-20.
X20.
G80
G0Z50.
M5
M9
T4(6.8 DRILL)
M98P98
G0X20.Y20.
Z50.
S500M3
M8
G99G83Z-5.R1.Q3.F50
X-20.
Y-20.
X20.
G80
G0Z50.
M5
M9
T20(TOUCH PROBE)
M98P98
M30

O98(ATC SUBPRO)
G91G30Z0M19
G30X0Y0
M6
G28X0
M99
%

技能照査 5

2006年02月14日 | 2005
連日、技能照査の実技課題に取り組んでいますが、生産技術科のカリキュラムは設計、製図、生産管理など多岐にわたるため、これまで機械加工の経験時間数が十分ではなく、その意味で技能照査の実技課題をクリヤーするため非常に苦労しているというのが実情です。そのようなハンディキャップの中、限られた時間でよく努力していると感じます。

今日、クラス唯一の女性であるSさんが規定の練習を終え試験に挑戦しました。これまでの結果から判断して、まだ練習不足かなという不安もありましたが、やってビックリこれまでのタイムを3時間以上短縮するという離れ業を見せてくれました。これには一同ビックリで、本番に強いSさんの面目躍如といったところでしょうか。
もちろん、採点基準は作業時間だけではなく、製品の寸法精度や面粗さ、ねじやテーパのはめ合いなど総合的に判断されます。

彼女の作品を評価すれば、時間短縮にエネルギーを費やしたためか、寸法などで減点され、全体的な出来栄えも決していいとはいえませんが、一度そのスピードを実現できれば、今後もう時間的な心配はないと思います。一度でも経験した作業スピードは体が覚えてしまうからです。

工作機械で金属を削る作業というと、非常に荒っぽく男性的なイメージを持ちますが、精度を出すためには、非常に繊細で、研ぎ澄まされた鋭敏な感覚が要求されます。その意味で女性としてのハンディキャップが一切無いことを、今日の彼女の結果が証明してくれました。感謝