生産技術科の一日

設計・製図・加工・制御・・・メカニカルエンジニア達の記録。現在名・・・メカニカルエンジニア科

価値生産方式(5)試作品評価

2005年10月31日 | 2005
前回に続き、ロボットの試作品評価です、当校の1年生と2年生で午前中を使って
ブレーストーミングの手法で試作したアームロボットの機能や構造について、問題点や良い点を評価して行きます。

こうした評価を設計や製造部門・販売部門を交えて行う事は、製品開発を行う場合によく実施されます。

特に最近は開発期間の短縮が求められ、製造期間の短縮(L/T短縮)と合わせて、コスト競争の重要な戦略的テーマとなっています。

なぜなら、製品のライフサイクル(消費者に製品が使用される期間)が競争の激化で短くなっており、特に電子機器に依存する商品の場合は、技術革新が早く、商品の陳腐化が早いために、開発期間が長いと、商品を市場に投入する時には、すでに旧式となってしまって、安売りの対象となる場合もあります。

要するにスピード経営で、出来るだけ開発投資を少なくして、高回転で製品開発を行える実力をもつ企業のみが存続を許される時代となっています。

こうした中で、開発・生産・販売が三位一体となった情報交換を行い、タイミング良く市場に製品を投入していくことが重要なテーマとなり、こうした情報交換のツールとしてブレーストーミングという手法で問題解決と情報共有化・情報の絞り込みを行います。
(bytakafumi)


メカトロ研修3

2005年10月28日 | 2005
研修最終日の今日のテーマはサーボモータ。

特にモータというと電気的要素が強く苦手意識があり、サーボモータというと工場現場でしか使われていないというイメージがあるが、実はその適用分野は幅広く意外と身近な製品に使われているようである。

CDやDVDなどのAV機器、プリンタやコピー機などのOA機器、自動販売機、銀行のATM、両替気や駅の券売機などなど普段の生活で意外とサーボモータのお世話になっている事にビックリ。

ところでサーボモータとは自動制御のために使われるモータで高精度な位置決めや速度制御あるいはトルク制御が可能になるらしい。

また最近特定の分野で使われているモータとしてリニアモータがあるとのこと。

モータという名がつくと回転軸をもつ形状を想像するが、このモータは回転ではなく直線移動用のモータで板状の固定子の上に浮上して移動する稼動子があるというリニアモータカーを縮小したそのものである。まだコストが高いため特定分野のみの使用だが数年後の主流になるのではないだろうか...驚くことばかりである。

長かった(?)研修も終わり、月曜からまた職場復帰である。
さあ、アームロボットの再開だ~~~。

メカトロ研修2

2005年10月27日 | 2005
メカトロ研修の2日目。

リニアガイドと並んで、制御要素機器として広く用いられているものにボールねじがある。今回はその構造・特徴や選定法についての研修である。

現在アームロボットを優先しているため一時停止しているがミニCNCフライス盤も製作課題として予定している。本来これらの送りや案内機構としてボールねじやリニアガイドが使われるが、加工実習の課題で自分たちで作ろうという趣旨のため今回これらの市販品は使っていない。

ボールねじの代わりに旋盤で削り出した台形ねじを、リニアガイドの代わりにロッド材を使った2本の丸棒をガイド代わりにしている。

ボールねじなら極めて低摩擦で円滑な作動で、しかもバックラッシュがゼロという高精度の位置決めが可能になる。それに対し自作した台形ねじでは実測値で0.1mmのガタが生じている。この数値は予想していたより悪くないとはいえボールねじとの性能差は歴然でどう対策を取るか悩んでいた。

しかしこの研修を受けヒントらしきものが見つかった。
ボールねじは高精度・高剛性化のため与圧という方法であらかじめ内部的に応力を与えるらしく、その与圧法の中にねじのガタを取るためのヒントがあるようだ。

これだけでも研修を受けた価値があったような気がする。
残り一日ガンバロー


価値生産方式(4)製品評価の方法

2005年10月26日 | 2005
生産技術科の2年生のテーマであるアームロボットの性能や当初の機能目的、設計目標の達成度や販売を考えた上での製品評価を行いました。

実施方法は生徒が中心となって、ブレーンストーミングという言う手法を使って
機能面や性能面、デザイン、製造コスト、ランニングコスト・販売における売りの検証などを実施するものです。

アームロボットのデザインを考え、設計図面を作成する段階で、そうしたマーケット指向で物つくりを行い、売れる物つくりをテーマとしていましたので、出来上がった試作品がそうした要件を満たしているか、評価をするわけです。

もちろん、生産ロットを決定して、実際の販売チャネルを通じて、販売するまでは
現実的に無理があり、生徒が体験できないこうしたプロセスもきちんと講義して、
物つくりの全体像を理解出来るようにプログラムを組んでいます。

試行錯誤で作ったアームロボットを実際に動かして、その動きを検証しながら、細部のひずみや、機能上の問題を検討して、最後に参加している生徒による試作品評価を行いました。

評価のまとめは、また後日発表しますが、改良すべき問題点や、修正する項目も出来て、問題解決のための方向は少し見えた気がします。


メカトロの研修

2005年10月25日 | Weblog
今週はロボットアーム製作は休憩します、というのは私(担任)が研修で1週間学校を留守にするからです。

先週末の段階でとりあえず完成というところまでこぎつけましたが、まだまだ調整作業や熟成のために解決しなければならない改善点があります。その問題点の洗い出しと解決策の検討が留守中の宿題となります。

ところで私が受けている研修について一言。
場所は幕張の高度ポリテクセンター(こちら)で情報系、制御系、機械系などさまざまなコースが設定された在職者のための研修施設です。講師はセンター職員やその分野の専門家で対応しているようです。

ちなみに私が受講しているのは “メカトロ要素選定技術(直動システムサーボ編)” でNSKと安川電機の技術の方が講師を担当しています。
具体的にいうとリニアガイド、ボールねじ、サーボモータの特性や設計における選定方法を習得するというものです。
初日の今日はリニアガイドについての講義がありました。

受講生は私を含め14名で学校関係が2名、他は企業で設計、開発や生産技術の仕事をしている方たちです。

今回の研修で得た知識をミニCNCフライス盤やロボットの設計に生かせるように、のこり3日間ガンバロー。


価値生産方式(3)来期の入学試験

2005年10月24日 | 2005
価値生産方式について書き込みしています、当校では来年度の入学する生徒の入校試験が24日に行われました。

物つくりに対する興味を持つ人の応募があり、午前中から試験が始まりました。
重要な事は、自己実現を「物つくり」を通じて行うので、物つくりに賭ける情熱のあるなしが大切です。

機械加工の職場は3Kと呼ばれ、「汚い」、「暗い」、「きつい」、が常識です、好きな人には務まりますが、向いてない人や、興味がもてない人は、最終的には別の道を探す事になります。

自分で図面を書いて、機械を操作して、思ったものが出来たときには大きな達成感と喜びがあります。
こうした技能を習得させるのが当校の生徒に対する指導の基本となっています。

グローバル化する経済の中で、物つくりの流れも大きな変革期にありますが、こうした基本技能と競争に耐えうる物つくりのノウハウを学ぶ人材がいる限り生産立国日本の持続的な競争優位が大きく変わる事はないと思います。

設計と加工の両面をよく理解して、コストや生産方式、加工機械の特性などを考え
て、もっとも効率的で顧客に支持される物つくりのプロセスを構築し実現するのが生産技術科の生徒の社会的な使命だと考えています。







とりあえず、1号機

2005年10月21日 | 2005
何とか10月中に区切りをつけたかったアームロボットの1号機が、とりあえず本日出来上がった。まだまだ調整不足でスムーズではないものの設計どおりに動作することは確認できホッとひと安心。よかった、よかった~~。

急遽11月末の展示会に出品することになり、ここ数日とても憂鬱な気持ちだったが、今日の結果は長いトンネルの中でようやく出口の光が見えてきたような気分だった。

残り1ヶ月間でどこまで調整・熟成できるかが今後の課題になるが、それはまた来週が始まってからでいいだろう。今日のところは とりあえず乾杯! の気分でいいだろう。

それでは、よい週末を...

設計変更

2005年10月20日 | 2005
ロボットアームについて。

それぞれのパーツが出来上がり形が出来てくる。実物を目の前にすると設計図上ではわからなかった、いろいろな問題点が見えてくる。マニピュレータもそのひとつで組みつけてみてアンバランスなことや重量配分がよくないことに気づく。

さっそく設計変更である。最近ではこれも手馴れたもので、イレギュラーなアクシデントに対応できる実力(?)がついてきたのかなと変に感心してしまう。

改良点は同じ機能でできる限りコンパクトにすることで、写真はその出来上がりである。1号機に対して体積比で47%、重量比で33%の減少を達成した。見た目のバランスもいいようである。

もうこれ以上問題が出ないようにと祈りつつ、完成を願う今日この頃である。

価値生産方式(2)

2005年10月19日 | 2005
(お金で出来たフロアー)
工場で物を作るプロセスを評価する場合、見る人が見れば、床に一万円札をひきつめた工場と千円札をひきつめた工場と、お金がなくなる工場に分類できます。

また工場を宝の山という表現でムダの多さを指摘する場合もあります。

要するに、価値を産む生産を行っている工場と、ほとんど価値を生まない工場に分類できます。

基本的には通路の床の汚い工場は、まず管理が出来ていない場合が多いのですが、作る製品にもよります、鋳造や鍛造の場合は、床の管理が大変です。

もちろん、通路の床がきれいという事は、床に仕掛(加工途中の製品)が散乱していたり、材料が床を占領していない事があげられます。

通路と作業エリアの区分をライン引きを行って、はっきりさせ、安全と運搬ルートの確保を行っている場合もあります。

工場をウインドウショップに見立てて、各工程の特色を出している工場もあります
。要するに「見られるという事」は「美しくなる事につながります」。

まずはどう見せるかを従業員が中心となって考え、創意工夫を引き出しアイデアが
実現することで、工場の価値も高まって行きます。

すぐに一万円札を引き詰めた工場にならなくても、こうした現場の自発的な考えや
工夫を実現することで、価値工場への生まれ変わりも可能になります。


特訓!フライス盤

2005年10月18日 | Weblog

10月を向かえ、いよいよ1年間の後期に入りました。

この時期、日々のカリキュラムを消化しながら気になるのは、やはり就職のこと。通常入社試験といえば面接、筆記試験、作文といったところでしょうか。

ところがA君の希望した会社はこれに加え旋盤、フライス盤の実技試験もあるとのこと。これまで実習で毎日のように使ってきた機械でも試験となるとまた別のもの。少ない時間の中で、改めて基本から応用までの確認をしていきます。

写真はフライス盤で6面体(立方体)の加工をしているところ。これはフライス作業における最も基本で重要な技能になります。6つの面はそれぞれ向かい合う面が平行、隣り合う面が直角になることが要求されます。と言葉で言うのは簡単ですが、そのためには一つ一つの作業を間違いなく行うことが必要になり、スピードも要求されます。

今回改めて行ってみると自己流になっていたりあやふやになっている所など再発見があり、けっこう苦戦しているようです。試験のことは抜きにしても、たまにこのような基本の確認をすることは重要だなと感じた次第です。
ガンバレ!A君

千葉ロッテマリーンズ、リーグ優勝もおめでとう!