生産技術科の一日

設計・製図・加工・制御・・・メカニカルエンジニア達の記録。現在名・・・メカニカルエンジニア科

レースで勝つために (技能照査8)

2006年02月20日 | 2005
今日まで、3名の実技課題合格者がでていますが、寸法精度ではあまり褒められたものではありません。試験なので100点でもギリギリでも合格には変わりありませんが、商品とすれば売り物にはならないでしょう。

経験の少ない彼らにとって、作業スピードと寸法精度を両立するのは容易なことではありませんが、実際の仕事では、その能力が要求されます。

たとえば、レースで勝つためには、どうすればよいでしょうか。かつて、日本人ではじめてのF1レギュラードライバーだった中嶋悟さんが言った答えは、「ブレーキを踏まないこと」です。

でも、ブレーキを踏まないとコーナーを曲がれませんよ、と返すインタビュアーに対し「もちろんその通りです。まったくブレーキをかけずにコーナーを曲がることは不可能です。でも、ブレーキをかけスピードを落とすことは、速く走ろうとするレースの目的に反する行為です。要は、ブレーキをかける時間を誰よりも短くすれば、逆にアクセルを踏んでいる時間が長くなるわけです。結果、一等賞になれるんです。」

この考え方は、我々の作業でも同じことです。金属を削って目的の形状に仕上げるためには、削ってない時間を、いかに少なくできるかです。つまり、材料や刃物の芯出しや測定の時間を速く正確にできるかということです。

差が出るのは段取り時間で、切削時間はほとんどかわりません。そして、段取り時間を短縮するためのポイントは、動作のシンプル化とパターン化です。ムダな動作をなくし、定形化することで時間短縮と作業精度が上がっていきます。

もちろん、ある量の練習や経験は必要ですが、これを意識してやるかどうかで大きな差が出ます。