素数とπは星月夜に戯れる 2005-04-26 | tale すべてがデータになる前に(11) 新月の夜、ママたちがぼくのベッドにやってくる。少し寒いけれど、毛布をめくって仰向けになる。大山椒魚が歩いてくるような音がして、すぐにぼくの体は暖かくなる。潮が満ちてくる、静かに、おそろしいほどの高さまで。周りのベッドの患者は死んでいる、夜明けまで。ママたちは微笑みながら見つめている、粘液質の闇の奥まで。無数の手と脚がからみついてくる、ぼくの脊髄の中まで。 . . . 本文を読む