その時、彼の目には何が映っていたのか。

マイドキュメント。
いわずと知れた、Windowsおなじみのフォルダです。

用途はそのまま、自分のドキュメントを保存しておく場所です。

ドキュメントとは…
goo辞書：ドキュメントによると次の通り。

(1)記録。文書。文献。
(2)コンピューターで、ソフトウエアの仕様書、開発の過程を記録した文書、使用方法の説明書などの総称。

三省堂提供「大辞林 第二版」より


基本的には文書ファイルのこと。
まあ、Windowsのマイドキュメントの中には、さらにマイピクチャとか、マイミュージックとかあったりして、文書以外のファイルも入ってたりしますが。


ですが、その中に、「マイプログラム」なんて項目はありません。

しかし、彼は見たというのです。
マイドキュメントの中に保存されている、様々なプログラムファイルを。


彼というのは私の父親。
本日は、父親に頼まれて、父のパソコンの再セットアップをいたしました。

事前に、マイドキュメントの中のファイルは全て残しておいてねと言われましたので、それをしっかりバックアップし、再セットアップ。

父のパソコンは、無事真っ白になりました。


が。
父は言うのです。
マイドキュメントの中にあった、プログラムの数々がないじゃないかと。

プログラム。
つまりはWindowsのアプリケーションのプログラムファイルということですが、それがマイドキュメントの中にあったと言うのです。


普通、インストールしたプログラムのファイルは、マイドキュメントには保存されません。
設定を変えず、デフォルトのままインストールしたなら、それはきっと、Program Filesに保存されるはず。

それが、マイドキュメントに保存されていたはずだというのです。
だから、マイドキュメントの中身は残しておいてと言ったのだと。


そんなバカな。
もしマイドキュメントにそれが保存されていたのだとしたら、バックアップしたものの中にそれは含まれていたでしょう。
だが、そんなものはない。
保存した私が一番わかっています。

そして、何よりも。
マイドキュメントに、プログラムファイルが保存されている訳がない。

父はいちいち設定を変えて、プログラムをインストールしたりはしてないはずです。
そうだとするならば、それがマイドキュメントにある訳がない。

そして、父のパソコンは、２ヶ月の講習の間、私が借りて使っていたパソコンです。
もちろん、マイドキュメントの中身は何度も見ました。
だが、そこにプログラムファイルなんてものはなかった。
あったのは、マイドキュメントそのもののファイル。
父が保存していた、画像や、音楽、そして文書のファイルだけでした。


一体、父は何を見たのか。
見間違いにしても、なにを見間違えたのか。
もし、プログラムファイルがあったとしたなら、なぜ私はそれを保存していないのか。

皆目見当が付きません。


見当が付かないことで責められても、どうして良いやらわかりません。