前稿でお話した日本神経回路学会に寄稿した原文を転記します。
「第3 回人工頭脳工学シンポジウム」に参加した市民の一人として
佐賀県鳥栖市 江副康成
市民の視点からすれば、人工頭脳工学シンポジウムに“同じく” 参加させてい
ただいた感じがする貴重な体験でありました。これまで大学、特に理科系の
学府は一般人から隔絶した専門家だけの集まりで、技術専門用語を多用し、
知識や知見を持ち寄れる者のみが参加することを許され、単なる聴講希望者
は参加することすら許されない雰囲気があったように思います。
そうした思いや経験が強い者としては、昨今の科学技術を広く国民に開放しよ
うとする流れは大歓迎であると共に、その先駆者的な佐賀大学の取り組みは
大変有難い思いがいたします。
私は、長谷川照佐賀大学長のお言葉にあるように、「人工頭脳」というテーマ
に夢を馳せる市民のまさに一人であります。子供たちが、ドラえもんにこんな
モノがあったらいいなと期待を寄せるように、一般市民は人工頭脳の技術の
進歩を垣間見るにつけ、自分がほしいなと思うモノを果たして現在の先端科学
技術がかなえてくれるのか知りたい情念に翻弄されています。こうした市民の
ふわふわした期待は、なかなか具体的な形とはならぬまま胸にしまっておくし
かなかったのですが、今回のような人工頭脳工学シンポジウムに参加するこ
とは、自分の夢と現実世界とをすり合わせるための機会となります。
また、このシンポジウムのすばらしいところは、基本となる理工系の脳科学研
究者のほかに医学、心理学、言語学の研究者が一堂に集まられていることで
す。人工頭脳の研究者が、学際的な研究交流にヒントを求める点に本来の
目的はあるのでしょうが、人工頭脳に関心のある市民の立場からすると、例え
ば渡邊克巳先生の「脳と心の巧みさ」というご講演はたいへん題材として取っ
付きやすく、脳科学が模倣の対象としている脳とこころの仕組みを、また一つ
別の切り口から見せていただき、人工頭脳研究者の発表のみではなかなか
先に進めぬことが一歩前進する気がいたします。
最後に、佐賀大学ではこのシンポジウムのほかに「人工頭脳工学研究会」と
いう研究集会が定期的に行われており、そちらも公開ということで市民の立場
で参加させていただいております。この場を借りて日ごろのお礼の言葉を申し
述べさせていただきます。有難うございました。
{日本神経回路学会誌Vol.14 No.2 2007年6月}
以上が私の寄稿文ですが、日々のニュースやトピックスを見るにつけ、
これら人工頭脳工学の成果と想像されるロボット等の活躍に、困難に
打ち勝ち、明日へと生き延びようとする生命力を感じます。
「第3 回人工頭脳工学シンポジウム」に参加した市民の一人として
佐賀県鳥栖市 江副康成
市民の視点からすれば、人工頭脳工学シンポジウムに“同じく” 参加させてい
ただいた感じがする貴重な体験でありました。これまで大学、特に理科系の
学府は一般人から隔絶した専門家だけの集まりで、技術専門用語を多用し、
知識や知見を持ち寄れる者のみが参加することを許され、単なる聴講希望者
は参加することすら許されない雰囲気があったように思います。
そうした思いや経験が強い者としては、昨今の科学技術を広く国民に開放しよ
うとする流れは大歓迎であると共に、その先駆者的な佐賀大学の取り組みは
大変有難い思いがいたします。
私は、長谷川照佐賀大学長のお言葉にあるように、「人工頭脳」というテーマ
に夢を馳せる市民のまさに一人であります。子供たちが、ドラえもんにこんな
モノがあったらいいなと期待を寄せるように、一般市民は人工頭脳の技術の
進歩を垣間見るにつけ、自分がほしいなと思うモノを果たして現在の先端科学
技術がかなえてくれるのか知りたい情念に翻弄されています。こうした市民の
ふわふわした期待は、なかなか具体的な形とはならぬまま胸にしまっておくし
かなかったのですが、今回のような人工頭脳工学シンポジウムに参加するこ
とは、自分の夢と現実世界とをすり合わせるための機会となります。
また、このシンポジウムのすばらしいところは、基本となる理工系の脳科学研
究者のほかに医学、心理学、言語学の研究者が一堂に集まられていることで
す。人工頭脳の研究者が、学際的な研究交流にヒントを求める点に本来の
目的はあるのでしょうが、人工頭脳に関心のある市民の立場からすると、例え
ば渡邊克巳先生の「脳と心の巧みさ」というご講演はたいへん題材として取っ
付きやすく、脳科学が模倣の対象としている脳とこころの仕組みを、また一つ
別の切り口から見せていただき、人工頭脳研究者の発表のみではなかなか
先に進めぬことが一歩前進する気がいたします。
最後に、佐賀大学ではこのシンポジウムのほかに「人工頭脳工学研究会」と
いう研究集会が定期的に行われており、そちらも公開ということで市民の立場
で参加させていただいております。この場を借りて日ごろのお礼の言葉を申し
述べさせていただきます。有難うございました。
{日本神経回路学会誌Vol.14 No.2 2007年6月}
以上が私の寄稿文ですが、日々のニュースやトピックスを見るにつけ、
これら人工頭脳工学の成果と想像されるロボット等の活躍に、困難に
打ち勝ち、明日へと生き延びようとする生命力を感じます。