与党PTでは6月にもフル規格で整備するのかどうか、出来るのかどうかその結論を出すとの報道もなされている。
その課題について再度確認し、前に進むことが出来る方策はないのか検討する。
一回目
今やらなければならない事の最後に4つ目として新幹線西九州ルートと平行在来線問題についいてお尋ねします。
当初から懸念されていた問題を解決できず、10年の歳月を経て、また500億円もの開発費を投じたのちFGTは断念されました。よって、今度はフル規格の議論が進むものと期待していましたが、地元負担があまりにも大きくなりそうというだという漠然とした世間での不安から、その議論さえできない雰囲気迄あります。
そこで先ずは正確な情報を教えてもらいたいという事でこの分野の第一人者であられます衆議院議員今村雅弘先生を講師に招き財源問題の勉強会を開催しました。沿線市町の首長さんと議員の皆さん約40名が参加され、正しい認識を共有することが出来たと思います。そこでの議論をここで再現し、地元負担とはどのように決められていくのか、少しの時間ですがみていきたいと思います。
最初に、新幹線整備に伴う地元負担はどういった計算式により算出されるのか、ご説明よろしくお願いします。
答弁
江副議員のご質問にお答えいたします。整備新幹線の整備による地元負担につきましては、全国新幹線鉄道整備法及び全国新幹線鉄道整備法施行令によりまして、鉄道事業者からの施設の貸付料等収入を控除した事業費に対し、国が3分の2、都道府県が3分の1を負担することとなっております。
以上、お答えとさせていただきます。
はい、ありがとうございます。
それでは資料②を見てください。
タイトルにありますように新鳥栖駅武雄温泉駅間51キロ佐賀駅を通ってフル規格にした場合の財源内訳です。
貸付料として2400億円を控除しました。
資料➂を見てください。
フル規格は一番右の欄になりますが、その収支改善効果は約86億円となっています。この収支改善効果が貸付料になります。切りのいい80億円として、その30年分を計算しました。
佐賀県負担対象事業費6200億円から2400億円を除いた事業費を国が3分の2、都道府県が3分の1を負担するとして計算すると、国が2533億円、佐賀県が1267億円となります。
佐賀県の負担が当初2000億円と報道され、フル規格になると異常に高くなるように見えたのは、この貸付料2400億円を控除していなかったからです。事実を確かめず報道がなされたため、フル規格では佐賀県は負担できないという空気が一気に蔓延しました。
表の中ほどですが、地元負担には地方交付税措置というものがありましまして、それを考慮して実質的な佐賀県負担を計算すると、約469億円となり、年間ベースでいうと15億6300万円となります。
この約469億円が地元負担はというときにつかわれる数字です。
しかし、フル規格のメリットが少ないと思っている佐賀県はなかなかこの全額を払うという事はできません。この負担増を誰が負担すべきか、誰に負担を求めるのか色々な考え方があります。それは至って政治的な話ですが、ここからは私の意見、私に寄せられた情報等を含めて、只々、負担を軽くする方法はないか、そして議論が前向きに進む糸口はないかとの思いから、その考え方を検証したいと思います。
二回目
それでは、在来線の問題を見ていきたいと思います。
平成30年5月14日(月曜日)第12回佐賀県GM21ミーティングが行われ、橋本市長も参加されたと思いますが、新幹線西九州ルートと地域公共交通の問題が合わせて議題となりました。在来線をどうすればもっと利用されるようになると議論されましたか。ご答弁よろしくお願いします。
答弁
江副議員のご質問にお答えいたします。第12回佐賀県GM21ミーティングの中では、JR在来線の利用促進について、様々な意見が出されていますが、一例としては、「観光の利用客増を考えた時に、電車でどう観光するかという視点を佐賀県、あるいは長崎県を合わせた形で考えていく」や「JRへの要望について、地域の色々な環境整備やまちづくりの中で、自治体側も負担をする、あるいは協働して整備するなど、発想を変えて提案していく」などの意見が出されております。
以上、お答えとさせていただきます。
在来線をどうするか、沿線市町は重要な問題であり、その対応如何によっては、まちの浮き沈みも出てきます。どこもJR九州に対する期待は大きいという事がGM21ミーティングの議事録から伺い知ることが出来ます。
山口知事はフル規格に前向きでないと言われています。しかし、昨年5月のGM21ミーティングでは、いち早く新幹線西九州ルートと地域公共交通、在来線の問題を一緒に議題とされました。この二つの問題を一体として解決できるようなスキームでなければ佐賀県知事としてGOサインは出さなないという意思表示に私は感じます。
それでは新幹線と在来線をどのように考えるのか。結論としては、在来線のためにも新幹線を整備するしかないという事になります。
その理由には積極的な面と、消極的な面との二つがあります。
まず、積極的な期待として、在来線に快速電車を増便し、利用客を増やします。佐賀県は博多駅に近いという特性があります。通勤通学で博多駅を利用したいという地域住民の要望は根強いもので、それが実現可能となります。
次に消極的な理由、起こっては欲しくないこと。ミッシングリンク、繋がらない新幹線が原因で利用客は伸びず、新幹線も駅前整備も過剰投資となる。JR九州も収益が悪化し、在来線のカット、合理化が進む。
再度、参考資料の②を見ていただくと、ここの貸付料にこの問題が関連してまいります。貸付料は収支改善効果と連動しているとお話しましたが、この数字が大きくなれば、地元負担が少なくなりますし、この数字が小さくなれば地元負担が大きくなります。
よって、新鳥栖駅武雄温泉駅間の新幹線を拒否することは合理的でなく、その選択はできません。
それでは事業費を安くする方法はないかというテーマの為、次の質問をします。
三回目
新鳥栖駅武雄温泉駅間51キロとはどこを通る路線を指してしていますか。
答弁
江副議員のご質問にお答えいたします。
平成28年3月の「九州新幹線(西九州ルート)の開業のあり方に係る6者合意」の中では、「平成34年に技術開発の進捗によりフリーゲージトレインの先行車を導入する場合には、先行車を博多~武雄温泉間を在来線、武雄温泉~長崎間を新幹線で走らせることにより活用する。」としており、フリーゲージトレインの西九州ルートへの導入断念が正式に表明されたものの、新たな整備方式が決まっていない現状では、新鳥栖駅から武雄温泉駅間51キロについては、在来線を通る路線を指していると認識しております。
以上、お答えとさせていただきます。
締め括り
ご答弁有難うございました。実はフル規格のB/Cを出すために使ったルートは在来線そのものではなく、佐賀駅を中心にしてSの字を描くようなルートで計算されています。昭和60年に公表されたルートで、新鳥栖駅から言えば在来線の南を通って佐賀駅に向かうルートです。よって、実際は51㎞より長い距離になります。距離は事業費に強く関係しますので、佐賀県が地元負担を払えるところまで落とすためには新幹線を最短距離で整備しなければなりません。
参考資料②(を出す)で言いますと事業費6200億円という数字に影響します。
それを考えると基本的には佐賀駅を通り現在の長崎本線佐世保線に沿ってなるべく直線を辿るようにしなければなりません。昭和60年ルートを発表するときは当時田んぼであったところも今となっては住宅や工場が建ち、用地買収、移転補償、営業補償といった費用が嵩み、今となっては総事業費が6200億円と高額化しました。
そこで提案されているのが、パネルのみで恐縮ですが(図を示す)、新鳥栖駅そば朝日山から神埼市中ほど迄、大深度地下を通すというプランです。何より大きいのが大深度を掘り進むので、用地買収はいりません。
筑紫トンネルは12㌔弱ありますが、その総工事費は366億円で、一㌔あたり33億円と新幹線工事としては半額で出来ておりお安くなっています。またトンネルを通すには立坑が必要ですが、丁度吉野ヶ里公園北側を通るようでありまして、工事完了後その立坑を新幹線駅として利用すれば、地上に立派な駅舎を作らずに地下駅を作ることも可能です。
このように事業費を安くすることで、地元負担が減り、ハードルが低くなります。
最後になりますが、西九州ルート、長崎ルートは他の整備新幹線に遅れることなく建設するという政治的な約束もあります。しかし、北陸新幹線の新大阪駅延伸、北海道新幹線の札幌駅延伸が着々と話が進む中、ここでは西九州ルートとは違い断トツで大きな予算をかけて作られますが、鳥栖市で最近使われているニュアンスとは違い、まさしく着々進行中でありまして、これ以上新鳥栖武雄温泉駅間の話がまとまらず先延ばしになれば、予算も建設部隊もそちらにとられてこちらには回ってこないことも想定され、事実上建設困難となってしまいます。
一時的な感情や誤った情報により正しい判断ができないとすれば、孫子の代から恨まれることになります。そうしたことにならないよう切にお願いします。