江副 康成 鳥栖市の未来を語るブログ

鳥栖市議会議員として鳥栖市の未来に対する思いを語るとともに、その活動の様子を議会および議会外についてお知らせします。

長崎新幹線はどうなるのか?

2019-10-28 11:46:44 | 交通機関

フリーゲージトレイン(FGT)の断念、リレー方式の固定化への懸念、そして新鳥栖―武雄温泉間のフル規格(複線)化への方針決定まで、今この問題をめぐる関係者の動きが慌ただしくなってきました。

山口佐賀県知事は本日10月28日、赤羽国土交通大臣と非公開の会談に臨まれます。

 

私は整備新幹線として九州新幹線が位置づけられ、鹿児島ルートと長崎ルートが一つとなって九州の背骨を作るという意味合いからすれば、長崎ルートも当然フル規格にすべきだと思うし、それのみがB/Cが3.1であり、投資に見合った地域活性化になりうるとの試算が出ていることは重要だと思います。

これから先に進むためには、佐賀県が不安に思っているとするフル規格になったら佐賀県内の在来線が今後どのようにJR九州が運営されようとするのか、その県民理解が深まらない事には、円滑な前進はあり得ないと思います。私は青柳JR九州社長に仲間とともに会う機会を得ましたが、その時これらの路線は重要な幹線として認識されているという印象を受けました。鹿児島ルートにおいて博多―熊本間が幹線として重要視されていることを考えれば容易に理解できることです。

また、篠栗線などのローカル線も博多駅近郊では住宅開発とともに最近とみに活性化されています。

 

ところでこれから先、前に進むためには環境アセスメントをしなければありません。昭和60年に行なわれたものがあるものの(これは先に行なわれたFGT、ミニ新幹線、フル規格との比較を行う際のベースとなったもの)、現時点において再度行う必要があります。

そのためにはルートを確定しなければなりません。

 

全国新幹線鉄道整備法第3条によれば

「新幹線鉄道の路線は、全国的な幹線鉄道網を形成するに足るものであるとともに、全国の中核都市を有機的かつ効率的に連結するものであつて、第1条の目的(この法律は、高速輸送体系の形成が国土の総合的かつ普遍的開発に果たす役割の重要性にかんがみ、新幹線鉄道による全国的な鉄道網の整備を図り、もつて国民経済の発展及び国民生活領域の拡大並びに地域の振興に資することを目的とする。)を達成しうるものとする。とあります。

法律の定めからすると、全国同一の規格、標準軌で標準サイズの新幹線を全国の中核都市に連結させるという事に先ずは着眼すべきもので、かつ地域振興に資するものでなければならないはずであります。前者の中核都市を連結させるという意味からすると佐賀県の中央、それは佐賀駅を通るべきことになり、国土交通省やJR九州が言う事には合理性があるものと考えます。

 

佐賀県が懸念していることは、一言で言えば地元負担の問題と在来線の問題であります。地元負担の問題はFGTからフル規格になることにともない、利益を受ける者がそれに応じて負担すべきというのが公平性の観点からも説得力があり、佐賀県の主張には私もうなずけるところはあります。

もう一つ在来線の問題はJR九州と駅を中心としたまちづくりを如何にすべきか、話し合えば自ずと将来に対する見通しは立つのではないか、先の青柳社長との会談で納得したところです。

今、高速バスとの競合のためかなり安い金額で博多―佐賀駅間は在来特急を利用することが出来ます。新幹線が佐賀駅を通るとすれば当然在来特急はなくなります。そのことをどのようにとらえるべきなのか。その利用客は新幹線と快速電車に移ることになります。快速電車になっても乗車時間を今の特急電車並みに維持すれば、それにより利便性を感じる人は一気に増え乗車人数が増えることになります。また、博多や新鳥栖で乗り換えていた博多駅以東の客は乗り換えずに佐賀県に来ることは増える可能性があります。在来線問題はその時どう対応するかの問題であり、ピンチをチャンスにと捉えるべきではないでしょうか。

 

フル規格で整備すべきとした与党PTを受けて、これから事業化するためには環境アセスメントをしなければなりませんが、そのためにはルートを確定しなければなりません。

ルート問題はオーソドックスに考えれば佐賀県の中央、佐賀駅を通るべきなのでしょうが、この他にも佐賀空港を通るとするものと、長崎自動車道付近を通るべきとするものがあります。

 

佐賀空港を通る案は佐賀空港が赤字で苦しんでいた時に佐賀県でも検討してきたという経緯もあります。但し、格安航空便LCCの登場という航空業界の変化への対応により佐賀空港は年間80万人も利用するような空港となりました。また佐賀空港に隣接する有明海は海苔の養殖日本一というように豊かな漁場という面を持っています。24時間ハブ空港を前提とする地域開発にどこまで地元の理解が得られるのでありましょうか。24時間ハブ空港のためには沖合に向けて滑走路を造ることになると思いますが、その時は佐賀市上空に夜間も飛行機が飛ぶことにもなるのでしょう。

そうした合意形成が短期間で果たして得られるのか疑問です。これからさらに数十年間棚ざらしになり、オスプレイ同様、新たな地域摩擦の原因とならないのか心配です。

 

もう一つは長崎自動車道沿いの案であります。これは新幹線問題に造詣が深い今村雅弘先生が提唱されているもののですが、先生が本件では最終的に調整すべき立場でもあるため、なかなかマスコミにも敢えて発信されていないように思います。

先生がご提案された詳しいものを私はもっていないので、私の想像を含めていくつかの案をこれまで私は提案させてもらいました。新鳥栖駅から大深度地下を使い吉野ヶ里公園北側を通り、長崎自動車道沿に行き、武雄温泉駅につなぐというものです。

これが最も短期間で長崎新幹線の全線開通に行く道ではないのかと私はいまでも思っています。その場合、ダイレクトにつなぐのでは地域振興の観点から勿体ない。吉野ケ里公園北側、佐賀大和、小城、多久など新駅構想が起こっても普通ならおかしくないところです。

 

私案のベースとして対馬に海底トンネルを使い新幹線を繋いでいこうという構想があります。その先韓国まで繋ぐというコンセンサスはまだまだ遠い先の事とは思うものの、対馬迄繋ぐという事は大変重要な観点ではないでしょうか。対馬は昔で言えば防人の地であり、日本国の西の守りの最前線であります。大変重要な地域です。しかし、今は韓国経済に依存するが故、日韓関係が悪化すると大変厳しい状況に追い込まれています。江戸時代まで鳥栖市の基養父地区は対馬宗家の飛び地でありました。そして鳥栖市は領地から米を対馬に送る役目をしていました。もし、新幹線で陸繋がりになれば鳥栖市からいつでも米を送れることは言うまでもなく、多くの日本国民がこのような日韓関係になり、対馬が困れば対馬を盛り上げるために多くの人が訪れることでありましょう。

 

佐賀県のフル規格への懸念は一つ一つ関係者で議論すれば必ず解決の道筋は得られるのではないでしょうか。私はルート問題に長い時間をかけることはできないと思います。

今日の赤羽国土交通大臣と山口知事の会談で、これから先が見えるステージになることを切に希望します。