江副 康成 鳥栖市の未来を語るブログ

鳥栖市議会議員として鳥栖市の未来に対する思いを語るとともに、その活動の様子を議会および議会外についてお知らせします。

健康で豊かな高齢化社会に向けて

2016-12-18 00:20:47 | 宇宙・ロボット

健康で豊かな高齢化社会に向けて

 

私は鳥栖地区広域市町村圏組合議会、主に介護行政を扱う議会の議員をさせていただいていますが、そこでこれからの介護においてロボットが重要だということを議会でこれまで訴えてまいりました。そして今鳥栖市においても「マッスルスーツ」が導入されようとしています。私は先の行政視察の一つとして「マッスルスーツ」の生みの親、小林宏先生を尋ねて東京都葛飾区金町にあります東京理科大小林研究室を訪ねてまいりました。そしてそこで大変興味深いことを教えていただきました。まずは、「マッスルスーツ」とはどういうものか、またどういった目的で、どういった利用形態で政策的に進められているのか。ご答弁お願いいたします。 

(答弁) 

江副議員のご質問にお答えいたします。

 マッスルスーツとは、人工筋肉を利用した外骨格型の装着型動作補助装置で、装着者の動作をアシストするロボットでございます。

国におきましては、平成25年6月に閣議決定された「日本再興戦略」の中で、「ロボット介護機器開発5か年計画」が盛り込まれ、ロボット介護機器の開発と導入に戦略的に取り組むこととされております。

そのような背景の中、平成27年度の国の補正予算に「介護ロボット等導入支援特別事業」が創設されております。

この事業につきましては、介護事業者が介護ロボットを導入する際の経費を一部助成することにより介護従事者の身体的負担の軽減を図るとともに、その実際の活用モデルを他のサービス事業者に周知することにより、介護ロボットの普及による働きやすい職場環境の整備を図ることを目的としたものでございます。

これを受け、本市におきましても、本年9月補正で予算を計上し、マッスルスーツを導入する2つの事業所に対し、補助金を交付することとしております。

このようにマッスルスーツにつきましては、国が推進するロボット技術の開発支援を背景に、介護従事者の就労継続のための環境整備が相まって導入が進められたものでございます。

以上、お答えとさせていただきます。

 

ご答弁有難うございます。

介護従事者の身体的負担の軽減を図るとともに、その実際の活用モデルを他のサービス事業者に周知することにより、介護ロボットの普及による働きやすい職場環境の整備を図ることを目的としたものというご答弁でした。先駆者は何事も予想もしない事態に直面したりするものです。そうしたときには周知を集め、また、開発者にフィードバックし、それぞれの改善策を見出し、それを答弁にもありましたように他のサービス事業者に周知し、この取り組みを広く普及させていただきたいものだと思います。

ところで、私は小林研究室で小林教授とお話する中で二つのことに驚かせられました。

一つは「マッスルスーツ」が以前よりここ鳥栖市において導入使用されていたということをお聞きしたときです。先生は何度も鳥栖市には来られたことがあるそうで、松原町にある九州医療専門学校の鍼灸学科長である中村先生とはマッスルスーツのパートナーとして懇意にされています。

もう一つは、特別の研究成果を見せていただいた時です。実際の先生の研究室ではいろいろなマッスルスーツを装着させていただき、またその他にも色々なシチュエーションを想定して、様々なマッスルスーツがありました。そして再度教授室に帰えると、今度はパソコンで動画を見せていただきました。そこには100歳のおばあさんが映っていました。健康的な感じのおばあさんですが、何せ100歳ですからそれ相応のおばあさんです。そして次の場面に移るとそのおばあさんがマッスルスーツを着て運動しています。マッスルスーツは動きをアシストするロボットです。それを着て歩く様子が続きます。それを見たとき、とても100歳とは思えないしなやかな歩きをされていました。当然にこやかにです。それが二度目のびっくりです。

鳥栖に帰り、暫くして九州医療専門学校の中村先生を尋ねました。中村先生は小林教授から次々に新作のマッスルスーツが贈られてくるとにこやかに話され、また久留米大学の先生とも共同研究をされているそうです。私もその時その場で最新鋭のマッスルスーツを装着しては、立ちしゃがみのトレーニングを何度か繰り返しました。その姿を画像処理すると背骨が矯正されている様子が一目で分かりました。

話は戻りますが、東京理科大に行くために金町駅を降りて歩いていますと、大学の町ですから学生が多く大変若々しいまちのように感じました。帰る電車の中で、学生が多いから若々しく感じるのか、若々しく歩く姿に若々しさを感じるのかどっちなのかと考えました。女性は見られて美しくなるといいます。美しい姿を保持して、そうした姿として自分が見られていることに喜びを感じられているのだと思います。先の100歳のおばあちゃんは80歳くらいにしか見えませんでした。私は街でこうした見られる喜びに満ち満ちた高齢者の姿を想像すると、健康長寿社会のあるべき姿が見えるような気がいたします。

健康長寿日本一、鳥栖市が目指すところにマッスルスーツのこうした使い方があるのではないかとご紹介させていただきます。

最後に一言申し添えさせていただきます。先の建設経済常任委員会行政視察の最後として岐阜市にまいりました。岐阜駅を降りますとそこに黄金に輝く織田信長公の姿がありました。世界を視野に天下布武を掲げた織田信長が居城したのが岐阜市です。その光景を見ていたので、最初の委員長あいさつの中で、今ARMホールディングスを買収し注目を受けている、世界で活躍している孫正義社長の出身地が鳥栖市ですと言ってしまいました。そしてその後も、サウジアラビアの政府系ファンドと共同で最大1000億ドル(10兆円強)規模投資ファンドを設立するとのニュースが流れたかと思うと、今度はトランプ次期アメリカ大統領と電撃会談。5兆円の投資と5万人の雇用をアメリカにもたらすと報じられました。孫正義さんの快進撃はとどまるところを知りません。見ているだけでも楽しくなります。私は岐阜市で鳥栖市は外で華々しく活躍する人が多いところだけど鳥栖市に残った我々も負けないように勉強に参りましたとご挨拶しました。

健康長寿日本一、本当に鳥栖市をそうしたいなあとの想いを来年への抱負として、今年最後の私の一般質問を終わります。


九州新幹線西九州ルートの動向について

2016-12-14 08:39:31 | 交通機関

九州新幹線西九州ルートの動向について 

九州新幹線西九州ルートはフリーゲージトレインで整備するとのスキームにより、まずは車両から開発がなされています。そして新幹線車両として最も重要なポイントとなる車軸に脱線事故の原因ともなりうる重大な破損が生じたことにより耐久走行試験が中断され、大幅なスケジュールの変更が生じていることは皆さんご存知のことと思います。そうした中、本試験とも言うべき60万キロ耐久走行試験をする前に、1万キロ程度での中間試験が来年夏まで行われその結果報告があるということです。また、現在不具合対策として定期的な車軸などの交換が想定されていることから、一般的な新幹線のメンテナンスコストの2.5倍から3倍のコスト増になることにどう対応できるかという検討も併せてなされます。それらを踏まえ、来年夏までにフリーゲージのまま進むのかどうかの政治判断を示されることになりました。

 

平成34年開業を目指して長崎・武雄温泉間は工事が進んでいるのですが、いま、フリーゲージトレインから全線フル規格化へ整備計画の変更を求める声が西の方からそれも組織的に強くなっています。11月6日長崎県諌早市で長崎新幹線建設推進特別講演会が早期のフル規格を求める形で行われました。当日私も参加しましたが800名を超える人で会場は熱気にあふれていました。新幹線と都市の盛衰というこれまでの歴史が明らかにするデータをもとに、地方の発展にとっていかに新幹線が重要であるかということを、京都大学教授で元内閣官房参与の藤井聡先生が熱く語られた。新幹線から在来線へその乗換替えには30分の時間待ち効果が生じていまうということで関西、引いては関東から九州に人を呼び込むには直接新幹線で乗り入れることが非常に大事だということも主張されました。

区間延長66㎞で総工事費5,000億円をかけて現在建設されているフル規格の西九州ルート、その約3分の1が地元負担とすると単純計算で1,666億円の地元負担、その負担を思うとそれに関係する方々が一般的な新幹線としての効用を求めるのは当たり前の話だと思います。さらにその上、フリーゲージにしろリレー方式にしろ、博多駅停まりである公算が強いというのであれば、既に投資した金額を考えれば全線フル規格でという思いは痛いほどわかります。

 

平成25年9月20日ここ鳥栖市議会においても、九州新幹線「西九州ルート」のフル規格化への協議を求める意見書を賛成多数で当時の古川康知事に提出させていただきました。

全線フル規格化に伴う佐賀県の地元負担金約800億円という財源問題が大きなネックになっている中

「西九州地域経済を浮揚させるために、我々沿線自治体の議会としても、国が地元負担分の見直しを含めて財源問題の解決の糸口を示すよう強く要望することなどにより県を全面的に後押し、佐賀県と長崎県の将来世代のために全線フル規格整備に協力すべきであると考えている。よって、佐賀県知事に対し、佐賀県、長崎県、国、JRの4者間でのフル規格化への協議を早急に行うよう強く要望するものである。」という内容でありました。

新鳥栖駅を設置するにあたり一本でも多くの新大阪直通の新幹線を停めていただきたいとの陳情を我々もしてまいりました。そして最速達新幹線であるみずほ以外はすべて停車することになりました。少なくとも新大阪まで乗り入れすることができる新幹線をという気持ちは我々にも痛いほどわかるはずです。

 

また、新幹線さが未来づくり協議会が鹿児島ルート開業前から設立され、佐賀県の浮揚のため新鳥栖駅を使ってもらう方策を佐賀県全体で考えていただきましたし、そうした事もあり今の新鳥栖駅の姿があるものと私は理解しています。それが西九州の玄関口といわれる由縁かと思います。

西九州の玄関口である新鳥栖駅を持つ本市として、こうしたフル規格を求める動きに対してどのように思われますか。また、どのようなスタンスで対応されようと思われていますか。ご答弁を求めます。

 

(答弁)

江副議員のご質問にお答えいたします。

九州新幹線西九州ルートにつきましては、導入が予定されているフリーゲージトレインの台車の不具合対策や検証試験の動向等について、佐賀県から随時、情報提供をいただいているところでございます。

本市といたしましては、九州新幹線西九州ルートの開業は、その玄関口である新鳥栖駅の観光・交流拠点としての価値が高まるものであり、さらに、佐賀県全体への交流人口の増加につなげていくためにも、国等の動向を注視し、一日でも早く開業できるように、今後も、県、沿線自治体と連携しながら、西九州ルート整備に協力してまいりたいと考えております。

以上、ご答弁とさせていただきます。

 

 

藤井先生の講演会で印象に残ったことを再度ご紹介いたします。新幹線が都市の栄枯盛衰にいかに関係するかということをお話されたことは先ほど紹介しました。身近なところでは明治時代より九州の大都市は熊本市、鹿児島市であったものの、博多駅まで新幹線が延伸され福岡市は現在155万人を超すところとなり、今では九州の政治経済の中心として位置付けられています。同じように北信越地方では従来からの大都市金沢市、富山市に代わり新潟市が近年大きな発展を見ました。これも上越新幹線がいち早く建設され、東京からのアクセスが良くなった効果です。このほかにも例を挙げられましたが、いずれにしても新幹線により東京を中心とするネットワークに入っているかどうかという観点からみると栄えるのか衰退するのか説明がしやすいというお話でした。長崎での講演にも関わらず、長崎、佐賀と佐賀をも特に気にしながらのお話でした。これは私の受け止めですが、佐賀市に新幹線駅は作らなくても大丈夫ですか、衰退しませんか。佐賀市は例外として行けますかという投げかけのようでした。また、新幹線の新設は今全国各地で強力な誘致合戦が起こっており、西九州ルートも急がなければ、いったん工事が終了すると次順番が回ってくるのはいつの日のことになるかわかりませんよ、それでもいいんでしょうか。できれば今の工事が終わる時にはそのスタッフがそのまま次の武雄温泉新鳥栖駅間の工事が行えるぐらいのスピード感をもってやるべきでしょう。そのためには既に環境アセスメントが終了している現佐賀駅を通るルートで行くべきではないでしょうかというものでした。

 

もし、そうした方向性を求めることになったとして、今も昔もネックになるのは地元負担の問題です。

フル規格がよかに決まっているけど、フリーゲージより工事費が増加するというよね、だとしたらそれに伴う地元負担は佐賀県は出し切らんという例の話に決まってなってしまします。

そこで、われわれ沿線市議会、及び経済界等の有志は様々な調査をやってまいりました。

そしてそうした中、今村雅弘復興大臣、当時は新幹線長崎ルート与党検討委員会メンバーで国土交通委員会委員長から直接お話を聞くチャンスを我々は頂きました。今村復興大臣は旧国鉄ご出身で鉄道行政に大変お詳しい先生です。そして日本の国家プロジェクト・リニア中央新幹線建設に大きな功績を残された方であります。皆さんご存知のようにリニア中央新幹線はJR東海が全額負担する形で建設されます。メリットを受けるものがその費用を負担するという考えの最たるものです。

今村先生は西九州ルートにおいてもこの考えを推し進められ、これまでの公共工事を進める大前提である属地主義、工事費はその工事がなされる県が事業費の3分の1を負担するというルールを新鳥栖武雄温泉間では採用せず、メリットに応じて負担する「収益還元方式」を強く提唱されました。そしてその声を長崎から上げないと佐賀は動かないともお話されました。お招きしその会に参加して頂いた長崎県議会の重鎮の先生方もその話を聞いておられました。そしてその後すぐに長崎県内で行動を起こされていると聞いておりましたが、大々的に開催されたのが、11月6日長崎県諌早市での長崎新幹線建設推進特別講演会です。

 

実際、新幹線建設に当たっては地元負担を如何に少なくし、実現可能な財源スキームを構築するかは各地で研究されています。金沢市や富山市に代表される北陸新幹線は大変活況を示しています。そこでは、運用会社としてメリットを受けるJR西日本が、ここでは上下分離方式でありますので所有者である鉄道運輸支援機構に将来に渡り支払うリース料をも予め財源に充てる方法で、また起債と普通交付税の戻りを勘案して、地元負担を33%ではなく12~13%に低減することに成功しています。

そうしたことも加味して同様に西九州ルートを全線フル規格した場合を試算してみると、800億円といわれた地元負担金は半分程度となります。それに今村先生が提唱される「収益還元方式」より佐賀県長崎県の負担割合を加味すれば佐賀県の地元負担額が実質的に200億円を下回る可能性まで出てまいります。先の読めないフリーゲージよりはるかに確たる品質が保証されている新幹線の方が地元負担が少なくて済むのです。

因みに佐賀県が出している資料によりますと、武雄温泉長崎間の佐賀県工事区間は17.8キロで工事費約1,224億円、県負担額約408億円、実質負担額約225億円です。

鹿児島ルートの鳥栖市を通るところ佐賀県区間は、11.7キロで工事費約843億円、県負担額約280億円、実質負担額約154億円です。新鳥栖駅武雄温泉駅間は51キロで工事費約4,000億円、県負担額約480億円、地元負担額が佐賀長崎の負担割合によりますが、200億円を下回ることも見込めるような税源スキームとなっています。鹿児島ルートで名目県負担額約280億円投資しているけど、佐賀県のためにどのくらいためになっているのかと西の方の方から言われることがあります。最後まで一緒に西九州ルート沿線の発展のために頑張ってくれということだと思って聞いています。

既にフル規格で整備している長崎県、嬉野、武雄両市が、ミッシングリンク、大きなネットワーク、九州新幹線鹿児島ルートと繋がらず危機感を抱いていることを、ここ鳥栖市で同じように共有することは容易なことではないにしても、西九州の玄関口であり、交流都市を目指す鳥栖市としては、また先に新幹線駅を持つに至ったまちとして、そうした動きや可能性に共感を持つべきだと思います。北陸新幹線の新大阪までの延伸は小浜・京都ルートに決定されました。与党PTの会合はその話ばかりで、西九州ルートは最後に付けたし的な扱いだと聞いております。舞台に上がる前の調整を今されているものだと期待していますが、国民に分かるように佐賀長崎が一致団結して行動し訴えなければ何も歴史は動きません。今後の本件に対する橋本市長のご対応ご期待申し上げます。そして本件のキーマンはこれまた、佐賀県となります。佐賀県が頑なにフリーゲージトレインのスキームにこだわり将来にわたり茨の道を歩むのか、あるいは最近の他地域の動向に目を向け新たな道筋を見出すのか、大変重要な時となりました。私は新鳥栖駅建設に際して佐賀県の立場からご尽力され、また現在副市長として佐賀県とのパイプ役が期待されています種村副市長に本件については強くご期待申し上げていることをお伝えしまして次の質問にまいります。


鳥栖市学校給食センターに纏わる一考察

2016-12-13 08:45:47 | 鳥栖市議会

鳥栖市学校給食センターに纏わる一考察                    

まず初めに⑴鳥栖市学校給食センターに纏わる一考察についてお尋ねいたします。

私が本件につき問題だと思ったのは4月16日熊本地震の際被災を受けたと聞いた時ではありません。また学校給食がしばらく提供できないと聞いた時でもありません。その時は復旧に向け頑張っている関係者の姿を見て後押しする気持ちで一杯でありました。

それではいつ強い疑問を持ったのかといいますと、本年6月定例会議案説明会の席上「学校給食センター災害復旧費」1,080万円を鳥栖市の懐から、市債を発行する形で出したいと提案された時です。熊本地震から一月半程経っていましたので地震でどういったダメージを鳥栖市内で受けていたのか、そう大きな被害もなく鳥栖は良かったねと思っていた中で、新築間もない学校給食センターの補修費として1,000万円という大金、またそれを施工業者ではなくなぜ鳥栖市が負担するのか、おかしいのではないかと財政課長に厳しい投げかけをしたことを覚えています。納得いくような説明はその時ありませんでした。これでは市民の皆様に何で鳥栖市が負担しなければならないのかの説明がつきません。国民主権から来るところの地方自治、政治を任せられた者は、国の場合は国民に、市の場合は市民に重大な説明責任を負っております。今となればその時もっと疑問点を粘り強く質し、執行部とともに真相解明する姿を市民の皆様にお伝えすることができれば、本件についてまた違った形で市民の皆様に伝わったのでなないかと思うと残念でなりません。本議会においても色々な角度から質疑応答があり、その都度新たなものが見えてまいりますが、私は今回質問するにあたり、広く市民の前でなされる一般質問の他に、集中的に関係者から事情を聴く担当委員会の議事録をすべて読みました。そうすると私なりに一つの真実が見えてまいりました。多くの時間が本件に費やされています。教育行政に対する期待は今議会の一般質問をみてもお分かりのように、多岐にわたりかつ切実であり、また早期実現しなければならないものも多々あります。その一助になればとの思いで質問させていただきますので宜しくお願いいたします。

それでは、鳥栖市学校給食センター問題のキーワード、「特定天井」とは何なのか、おさらいを兼ねてご答弁していただきたいと思います。

国土交通省の建築基準法にいう「特定天井」及び文部科学省の手引に示された「特定天井」及び設計の際採用された「耐震天井」との違いが分かるようにご説明お願いいたします。残余の質問は質問席から行います。 

(答弁)

江副議員のご質問にお答えいたします。

平成25年7月12日付けで建築基準法施行令第39条第3項の改正がなされ、平成25年8月5日付けの国土交通省告示第771号により「6メートルを超える高さにあって水平投影面積が200平方メートルを超える吊り天井」を「特定天井」と定められております。

また、建築基準法施行令の改正を踏まえ、平成25年8月7日付けで文部科学省から「学校施設における天井等落下防止対策の一層の推進」について通知がなされており、併せて「学校施設における天井等落下防止対策のための手引き」が示されているところです。

この文部科学省の通知により、天井等落下防止対策を行なうべき天井といたしまして、「高さが6メートルを超える天井」又は「水平投影面積が200平方メートルを超える天井」と定められております。

建築基準法施行令に定める特定天井は、「高さと面積」の二要件を必要とするのに対し、文部科学省が定める天井は「高さ」又は「面積」のどちらかが該当すれば、天井等落下防止対策を施す必要があるため、文部科学省が定める天井の方がより厳しい条件となっているところです。

耐震天井につきましては、建築基準法施行令の改正前の天井で、平成15年に国土交通省から技術的助言として発出された「大規模空間を持つ建築物の天井の崩落対策」に基づき整備、改修された天井となっています。耐震天井では、天井と壁との間にクリアランスを設け、天井の水平変位抑制を図るため天井内部の補強や筋交い(すじかい)を設置する内容となっています。

以上、お答えとさせていただきます。

 

 

ご答弁有難うございます。同じ「特定天井」といっても国土交通省住宅局が定めたものと文部科学省が定めたものではその要件に違いがあるという事でした。

国交省は「6メートルを超える高さにあって水平投影面積が200平方メートルを超える吊り天井」として、わかり易い例を挙げれば、体育館の天井をつり天井にした時のような場合に規制をかけるためものです。東日本大震災でそうしたものが崩落した反省に立った手当だったと理解します。

一方、文科省の方はというと「高さが6メートルを超える天井」又は「水平投影面積が200平方メートルを超える天井」のどちらかに該当すれば、天井等落下防止対策を施す必要があるとの答弁のようにかなり小さな空間しかないものまで規制をかけるものです。

思うに、地盤に固着した建物は地震の際その揺れが直に構造体に伝わり、地震の大きさに連動して揺れます。そして建物の高いところほど大きく揺れるのは経験上知りうるところです。「高さが6メートルを超える天井」として高さにより規制を設けることは高いところほどよく揺れるという経験からすぐに理解できます。

次に「水平投影面積が200平方メートルを超える天井」について見てみます。

天井が落下して人に危害が及ぶことを防止するという規制目的から「特定天井」には単位面積当たりの質量要件があります。1平方メートル当たり2キロ以上20キロ以下という基準があります。1平方メートル当たり2キロに満たない場合は人に大きな危害、あるいは致命的なダメージまで与えないということから特定天井に求められる厳しい設備要件は定めないということ。又、20キロを越えればそもそも吊り天井はリスクが大きく許可できないということだと理解します。そして水平投影面積が200平方メートルの場合にその基準で質量換算すると、天井そのものの重さは400キロ以上4,000キロ、4トン以下となります。かなりの重量物となります。重くなると、吊っている天井ですので建物の揺れと直には連動せず、その場にとどまったり、あるいは独自に揺れたりして、天井と壁がぶつかるリスクが高まったり、あるいはその重さゆえ、壁にぶつかったときの衝撃が強くなります。あるいはその両方からかも知れません。国交省は様々な実験を繰り返しされたことの結果としてこの基準を定められたのだと思います。

その点、文科省は「又は」ということで、面積と高さの関係が曖昧で、何をもってどのような事象を規制しようというのか、合理的な説明が私にはまったく見えてきません。

まずもって私はこの文科省の通知による規制が、本件において将来禍根を呼ぶ最初の原因になっている気がいたします。

しかし、文科省の補助金がなければ学校給食センターは建ちません。残念ながらそれに従うということが現実的な対応だったのでしょう。

 

それでは、こういう事態に対してどういう対応がなされたのでしょうか。

委員会での答弁によると工程会議の後に行われていた分科会において、政令及び告示の確認を行い、市及び施工管理者、施工業者の3社の方で「合意」がなされ天井施工が行われたということです。ここにいう「合意」とは何を意味するのでしょうか。鳥栖市、施工管理者、施工業者がそれぞれ認識していた「合意」について現時点で明らかになったことを対比しながらお答えください。

 

(答弁)

江副議員のご質問にお答えいたします。

鳥栖市学校給食センターは、建築基準法 施行令第39条第3項の改正前に建築確認を終えており、改正後の建築基準法施行令の適用を受けない施設ではありましたが、設計時から耐震天井の仕様に加え、より災害に強い建物にしたいとの考えから、改正後の基準を見据え、吊りボルトや斜め部材の配置、ハンガー及びクリップといった接合金物の緊結などの設計を行ない、天井脱落対策を行なってきたところでございます。施行令改正前は、天井材と壁とのクリアランス幅については規定がなかったところですが、工事発注後に原則6センチ以上のクリアランスを確保するとの基準が示されたことから、市、工事施工業者及び工事監理業者が協議し、クリアランスを6センチ以上確保するとの合意がなされたものです。

この合意を直接確認できる資料については、現時点では確認できておりませんが、天井を施工する際に工事施工業者から提出される施工図の承諾願や工事施工監理者が工事施工中に天井材と壁のクリアランス幅について是正を指示していることから、市、工事施工業者及び工事監理業者がクリアランス幅について、共通の認識を持っていたものと考えております。

 以上、お答えとさせていただきます。

 

ご答弁有難うございます。

設計時から耐震天井の仕様に加え、より災害に強い建物にしたいとの考えから、改正後の基準を見据え、吊りボルトや斜め部材の配置、ハンガー及びクリップといった接合金物の緊結などの設計を行ない、天井脱落対策を行なってきたところなどは、さすが規制当局の情報に敏い大手設計事務所ならではと思うところです。

また、工事発注後に原則6センチ以上のクリアランスを確保するとの基準が示されたことから、市、施工管理者及び施工業者が協議し、クリアランスを6センチ以上確保するとの合意がなされたと改めてご答弁いただきました。

設計図はそのままに仕様の変更で対応できるものと判断があったと委員会の議事録にはありました。施工業者が起こす施工図により現場で対応という合意が3者でなされたものと思われます。ただ、この合意が不確かで、不安的であったのが最大の悲劇となって後々災いを起こすことになりました。

まず、7月に行われた復旧工事において廻り縁を10センチではなく12.5センチに変えて行われことになりました。廻り縁が10センチですので、壁から一律6センチのクリアランスをとれば、天井ボードと廻り縁がかぶるところは4センチとなります。地震の際の横揺れを設計段階で3cmから4センチの揺れを想定していたそうですが、最大の揺れ幅を見たとき、天井ボードが廻り縁から脱落、衝突破損する恐れリスクが大となります。今回の損傷はまさにこのような自体が起こったわけです。

後から考えれば何でも言えることですが、今思うに、設計者であり、施工管理者であられます安井設計事務所様におかれましてはこの時、廻り縁を12.5センチに仕様変更ができなかったのかとまずは悔やまれます。あるいはクリアランスを6センチではなく、最大想定横揺れ幅4センチそれに0.5センチの余裕をみて、4.5センチ、廻り縁10センチの半分足らず幅のクリアランスで施工させることはできなかったのか残念に思います。

ここで確認の意味で被災をうけた箇所の面積と天井高を教えてください。

 

(答弁)

江副議員のご質問にお答えいたします。

今回の熊本地震による被災箇所は煮炊き調理室、和え物室、洗浄室、コンテナ室、ランチルーム、エントランスホールとなっております。

各部屋の天井高及び天井面積につきましては、煮炊き調理室の天井高は6.95メートル、面積については109平方メートル、和え物室の天井高は6.95メートル、面積については31平方メートル、洗浄室の天井高は6.95メートル、面積については117平方メートル、コンテナ室の天井高は3メートル、面積については202平方メートル、ランチルームの天井高は3.85メートル、面積については272平方メートル、エントランスホールの天井高は7.4メートル、面積については110平方メートルとなっております。

以上、お答えとさせていただきます。

 

ご答弁ありがとうございました。

国交省の基準「6メートルを超える高さにあって水平投影面積が200平方メートルを超える吊り天井」からすると、鳥栖市学校給食センターにおいてクリアランスを6センチとらなければならない特定天井ではそもそもありませんでした。また、その時は規制外となりますので4.5センチでもよかったのです。私の推測ですが、当初の「耐震設計」が廻り縁の幅10センチからしてクリアランスは4.5センチこれが設計者の念頭にあったのではないでしょうか。

被災後の現場確認によれば、天井と壁との衝突により天井の転落を防ぐという特定天井、耐震天井の目的は今回機能していたことになります。しかし、破損事故が起こってしまいました。震度4弱程度の地震でしたので、揺れが思ったほど大きくなくそれが幸いしたのかもしれませんが、文科省の通知による基準に縛られることなく合理性を求めれば破損事故さえ防ぐことができたのではないかとの思いもあります。

次に4月16日の熊本地震発生時にはクリアランス不足を思わせるような被災現場は発見されませんでした。7月23日天井ボード取り換えのためすべての廻り縁を外そうとした時、クリアランスが6センチない箇所が発見されました。これを聞くと無理して6センチのクリアランスをとったところがかえって破損事故を起こしたのではないかと感じられます。

またこれら、鳥栖市、施工管理者及び施工業者の現場立ち合いでは、給食センターが6センチのクリアランスを持つ特定天井で竣工されたことを前提に協議がなされているのです。今思えば真実と認識のかい離、それにも関わらず「特定天井」で施工されたの一言でそれぞれ共通認識が継続されたこと、それが6月議会の災害復旧問題、そして7月に起こった予定外の切断作業問題等を引き起こしたことのベースとしてあります。

そしてついに切断作業での対応問題により、身分にかかわる処分まで行われる事態となりました。本来こうした処分をするときには事の真相を明らかにした上でなすべきものであって、少なくとも今回の件では切断をするに至った経緯を鳥栖市の担当者関係者のみならず、立ち会った施工管理者、施工業者にも審尋、詳しく尋ねたうえで慎重に決定するべきで甚だ拙速というほかありません。

公平ではないような気がするのは私だけではないと思います。

 

ここで、二つ目の原因となる問題についてお尋ねいたします。今回のキーワード、「特定天井」への対応の仕方の確認が、正式に定期的に行われる会議という位置づけの工程会議ではなく、その終了後に行われた分科会という全体として周知徹底されにくい会議で確認されたという事、そして記録も残らないような会議であったということを聞きますと、専門家による相互チェック体制及び履歴管理など建設当時の管理体制の甘さに問題があったのではないかとの重大な疑問が湧いてきます。この点につきご答弁を求めます。

 

(答弁)

江副議員のご質問にお答えいたします。

今回の学校給食センター災害復旧工事において、天井材と壁とのクリアランス不足が確認されたことにつきましては、建設当時の施工や施工監理、更には市発注者としての責任も含め、新たに検証することも必要であると考えておりますので、第三者による検証委員会等の意見も踏まえ、整理してまいりたいと考えております。

 以上、お答えとさせていただきます。

 

検証委員会の判断待ちになることなく、出来れば自ら整理されることを期待しまして本件に関連して最後に一つご提案したいと思います。

こと問題が発生したときにもっとも詳しい人が中心になり、現場の現象を把握し問題解決への道筋を示してもらうことは、市民に対する説明責任を果たさなければならない鳥栖市にとって今後とも重要なことと思います。今回も施工管理者と施工業者は災害や問題が発生したときにすぐに駆け付けその対応にあったてくれたという事でした。しかし、それが責任問題まで含んでくると一転して保身的なものが感じられるように見えました。そうしたことを見ると、発注者の立場に立ってアドバイスを請け負い、アカウンタビリティー説明責任がそもそもの義務である専門家集団、それをを使ったスキームCM(コンストラクション・マネージメント)方式の活用が今回のような大規模かつレアなケースでは今後必要になるのではないかと思います。塩尻市に建設経済常任委員会で行政視察に行った際、新体育館をCM方式で建設された事例の説明を受けました。その特徴の一つとして市民に対する説明責任ということに自ずと目が行ってしまいました。そうした観点から今後鳥栖市においても専門的、特殊な公共工事にはCM方式を視野に検討すべきではないかと思いますがいかがでしょうか。

 

(答弁)

国交省のガイドラインによりますと、CM方式(コンストラクション・マネジメント)とは、建設生産・管理システムの一つで、コンストラクション・マネージャーといわれる発注者の補助・代行者が、設計・発注・施工の各段階において、

・設計の検討や工事発注方式の検討、

・工程管理、

・品質管理、

・コスト管理などの、各種マネジメント業務の全部または一部を行い、発注者は、コンストラクション・マネージャーのアドバイスを踏まえ、建設工事等を、分離又は一括して発注を行うものでございます。

CM方式では、

・施工業者への支払い管理を行うことで、コスト構成を把握する事が容易となること。

・コンストラクション・マネージャーが、設計段階から支援を行うことで、工期の短縮やコストの縮減が期待されること。

・技術者が不足している地方公共団体を中心に、技術者に対する量的・質的補完が期待されること。などの利点がございますが、

CM方式の留意点といたしましては、

・コンストラクション・マネージャーの選定にあたり、コンストラクション・マネージャーの業務範囲(役割・責任)を踏まえた選定基準及び資格審査や実績評価について十分な検討が必要となること。

・資質や能力が不十分な者がコンストラクション・マネージャーとなった場合、発注者のリスクが増加すること。

・これまで元請業者が行ってきた施工に関するコスト管理を、発注者及びコンストラクション・マネージャーが行う場合、発注者側の業務量が増大するほか、コンストラクション・マネージャーの選定によっては、工事費が増加するなどのリスクが伴うこと

などが考えられているところでございます。

本市におきましても、これらの状況等を踏まえまして、他自治体等でCM方式が導入された事例等について、調査するとともに、今後、本市における、公共施設等の建設プロジェクトの実施に関しましても、その都度、CM方式も含めて、どのような実施方法が 最も適しているのか、各種方式を比較検討した上で、適切に選定してまいりたいと考えております。

以上、お答えとさせていただきます。

 

設計、施工、施工管理においても地元業者がそれに携わり、そのノウハウを高め、鳥栖市から外部へと経済活動が盛んになってくること、そうしたところから鳥栖市が豊かになってくるものと思いますし、そう願っている者の一人です。規模の大小にかかわらず、公共工事におけるアカウンタビリティ、説明責任の重要性に理解のある人たちと今後とも一緒にやっていければいいなとの期待をもって次の質問に行きたいと思います。