江副 康成 鳥栖市の未来を語るブログ

鳥栖市議会議員として鳥栖市の未来に対する思いを語るとともに、その活動の様子を議会および議会外についてお知らせします。

新長崎駅を見て感じること

2020-02-09 08:48:14 | 交通機関

長崎駅周辺は2023年春ごろの開業に向けて着々と整備が進んでいる。長崎県庁からの眺めは新幹線が乗り入れる新しい長崎市へと大きく羽ばたくのを待つばかりである。
新幹線建設費の地元負担の問題は話題になるが、それ以外に駅周辺整備など関連する投資が当然出てくる。これから変わりゆく長崎駅をみていると、公的なそして民間からの1000億円を優に超える資金が既に投下されているように見える。三菱重工造船所に代表されるものづくりの街から、長崎駅をゲートウェイとする国際観光都市へと急ピッチで装いを新たにされている。

2月8日、武雄温泉駅、嬉野温泉駅、新大村駅、諫早駅、長崎駅とみてきたが、どこの自治体も新幹線開業を機にまちを盛り上げようと一生懸命な姿がよくわかった。その中でも長崎県、長崎市の長崎駅周辺整備への力の入りようが際立っていた。またJR九州も駅ビルやホテルなどかなりの投資をされている。

「時は金なり」というがフリーゲージトレインスキームでこれまで来たその15年という歳月は、佐賀長崎の新幹線に対する意見の大きな隔たりを見せているようだ。長崎県議会議員八江先生が「これは国策ですから」との言葉に長崎の想いが込められている。

ここ西九州がいつまでも栄えるためには、また既にフル規格で新鳥栖駅から長崎駅までの半分が整備されている現状を考えれば、いずれその全線を全国標準の新幹線で整備すべきなことは明らかである。しかし、鹿児島中央駅周辺にもまして投資が進む長崎市を見ていると、佐賀素通り論を危惧されるその声は説得力がある。はっきり言って佐賀県は遅れている。もしくは遅れをとったと言わざるを得ない。進取の気質に富んだ幕末維新の先人たちからすれば、今の私たちに対してもどかしさが募るばかりであろう。

フリーゲージトレインという15年の歳月、鎖国の時代と言っていいと思うが、その長い眠りの時からいま佐賀県は開国を迫られている。「これは国策ですから」という八江先生の言葉にあるように整備新幹線という国家事業に合わせて地元は準備することしかできない。そしてもともと見通しが甘いリスキーな計画であった。
その遅れを取り戻すのは大変な事である。国は取り残された佐賀県に対して、それ相応の財政措置をすべきではないか。

現在破綻している新鳥栖・武雄温泉駅区間の問題は、新幹線建設費の佐賀県に対する地元負担が問題になるが、何をかいわんや、である。
遅れて整備することになるまちづくりへの支援策まで含めて議論されなければならない。

私が住む鳥栖市は鹿児島ルート上に長崎ルートへの分岐駅として新鳥栖駅が整備された。その際長崎県関係の方々からも絶大な支援を頂いたと先輩から聞くところである。いまその恩返しをする時だと私は思っている。その上でフリーゲージトレイン方式では15キロ以下の速度で軌間変換することが必要であり、必ず新鳥栖駅に停車することになるという事でそのスキームに賛同したという。
新幹線建設にこれ以上の冒険は許されないと思う。最小の費用で建設することを考えてほしい。
佐賀県が求めているのは、長崎駅みたいな莫大な投資ではなく、佐賀のいいところを全国の人々から来て見てもらう事である。そのためには小さなまちづくりに対する国の支援策まで、遅れた分必要である。

お会いする度今村雅弘先生は国の政策を正しながら、地元への優しいこころ配りをされている。特に今回の現地視察では、悲哀を味わっている先生の地元鹿島市を、沿線5市ネットワークに加えて多良山系を囲む周遊ルートを構築することなど長崎県自治体にも求められていた。


これまで今村先生は佐賀・長崎ルートはその距離140㌔程度であり、長崎駅まで各駅停車の新幹線で十分だとの見解を示されている。すべての駅から地域おこしをするのであればどの駅も等しく重要な拠点である。

思うに、長崎駅に早く行くことが全てではない。各駅に止まっても、例えば1時間3本運行するとすれば、待ち時間と実際に乗っている時間を考えればさして変わらない。
また佐賀・長崎ルートは4両か6両編成となる。これが単独で新大阪まで行き来するとは考えられない。新鳥栖駅は2面4線で中核駅の構造となっている。ここで鹿児島ルートの8両編成と新鳥栖駅で連結分離して12両か14両の編成で新大阪へと向かうことを想定していたとも聞く。

フリーゲージトレインスキームのB/Cは長崎・武雄温泉駅区間が1.1であり、新鳥栖・武雄温泉駅区間が1を切るという事であった。その結果、肥前山口・諫早駅間の並行在来線分離問題が発生した。しかし、暫定的とは言え、武雄温泉駅で対面乗り換えリレー方式では長崎・武雄温泉駅区間のB/Cが0.5となり、大変切実な問題となっている。これが続くとなると危機的状況である。この解消が急がれる。
そうした中、全線フル規格で整備した場合、新鳥栖・武雄温泉駅区間(昭和60年アセスルート)のB/Cが固くみても3.0となるとの事であった。当然長崎・武雄温泉駅区間のB/C1.1は上振れするし、新鳥栖・長崎駅間全体のB/Cも3.0に向かって収斂していくのではなかろうか。(国交省に聞くと計算はしていないという事でしたが、この見通しについて否定はされませんでした)
よって、鳥栖・武雄温泉駅間の在来線は言うまでもなく存続であり、また、B/Cの見通しの前提が変わったのであるから、肥前山口・諫早駅間の並行在来線問題はゼロベースで見直すとともに存続という事で整理し直すべきである。

遅れて整備を始める必要がある佐賀県対してはフル規格を前提としたまちづくりに手厚い国からの財政支援があっても何ら不思議ではないと思う。