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江副 康成 鳥栖市の未来を語るブログ

鳥栖市議会議員として鳥栖市の未来に対する思いを語るとともに、その活動の様子を議会および議会外についてお知らせします。

九州新幹線西九州ルートの動向について

2016-12-14 08:39:31 | 交通機関

九州新幹線西九州ルートの動向について 

九州新幹線西九州ルートはフリーゲージトレインで整備するとのスキームにより、まずは車両から開発がなされています。そして新幹線車両として最も重要なポイントとなる車軸に脱線事故の原因ともなりうる重大な破損が生じたことにより耐久走行試験が中断され、大幅なスケジュールの変更が生じていることは皆さんご存知のことと思います。そうした中、本試験とも言うべき60万キロ耐久走行試験をする前に、1万キロ程度での中間試験が来年夏まで行われその結果報告があるということです。また、現在不具合対策として定期的な車軸などの交換が想定されていることから、一般的な新幹線のメンテナンスコストの2.5倍から3倍のコスト増になることにどう対応できるかという検討も併せてなされます。それらを踏まえ、来年夏までにフリーゲージのまま進むのかどうかの政治判断を示されることになりました。

 

平成34年開業を目指して長崎・武雄温泉間は工事が進んでいるのですが、いま、フリーゲージトレインから全線フル規格化へ整備計画の変更を求める声が西の方からそれも組織的に強くなっています。11月6日長崎県諌早市で長崎新幹線建設推進特別講演会が早期のフル規格を求める形で行われました。当日私も参加しましたが800名を超える人で会場は熱気にあふれていました。新幹線と都市の盛衰というこれまでの歴史が明らかにするデータをもとに、地方の発展にとっていかに新幹線が重要であるかということを、京都大学教授で元内閣官房参与の藤井聡先生が熱く語られた。新幹線から在来線へその乗換替えには30分の時間待ち効果が生じていまうということで関西、引いては関東から九州に人を呼び込むには直接新幹線で乗り入れることが非常に大事だということも主張されました。

区間延長66㎞で総工事費5,000億円をかけて現在建設されているフル規格の西九州ルート、その約3分の1が地元負担とすると単純計算で1,666億円の地元負担、その負担を思うとそれに関係する方々が一般的な新幹線としての効用を求めるのは当たり前の話だと思います。さらにその上、フリーゲージにしろリレー方式にしろ、博多駅停まりである公算が強いというのであれば、既に投資した金額を考えれば全線フル規格でという思いは痛いほどわかります。

 

平成25年9月20日ここ鳥栖市議会においても、九州新幹線「西九州ルート」のフル規格化への協議を求める意見書を賛成多数で当時の古川康知事に提出させていただきました。

全線フル規格化に伴う佐賀県の地元負担金約800億円という財源問題が大きなネックになっている中

「西九州地域経済を浮揚させるために、我々沿線自治体の議会としても、国が地元負担分の見直しを含めて財源問題の解決の糸口を示すよう強く要望することなどにより県を全面的に後押し、佐賀県と長崎県の将来世代のために全線フル規格整備に協力すべきであると考えている。よって、佐賀県知事に対し、佐賀県、長崎県、国、JRの4者間でのフル規格化への協議を早急に行うよう強く要望するものである。」という内容でありました。

新鳥栖駅を設置するにあたり一本でも多くの新大阪直通の新幹線を停めていただきたいとの陳情を我々もしてまいりました。そして最速達新幹線であるみずほ以外はすべて停車することになりました。少なくとも新大阪まで乗り入れすることができる新幹線をという気持ちは我々にも痛いほどわかるはずです。

 

また、新幹線さが未来づくり協議会が鹿児島ルート開業前から設立され、佐賀県の浮揚のため新鳥栖駅を使ってもらう方策を佐賀県全体で考えていただきましたし、そうした事もあり今の新鳥栖駅の姿があるものと私は理解しています。それが西九州の玄関口といわれる由縁かと思います。

西九州の玄関口である新鳥栖駅を持つ本市として、こうしたフル規格を求める動きに対してどのように思われますか。また、どのようなスタンスで対応されようと思われていますか。ご答弁を求めます。

 

(答弁)

江副議員のご質問にお答えいたします。

九州新幹線西九州ルートにつきましては、導入が予定されているフリーゲージトレインの台車の不具合対策や検証試験の動向等について、佐賀県から随時、情報提供をいただいているところでございます。

本市といたしましては、九州新幹線西九州ルートの開業は、その玄関口である新鳥栖駅の観光・交流拠点としての価値が高まるものであり、さらに、佐賀県全体への交流人口の増加につなげていくためにも、国等の動向を注視し、一日でも早く開業できるように、今後も、県、沿線自治体と連携しながら、西九州ルート整備に協力してまいりたいと考えております。

以上、ご答弁とさせていただきます。

 

 

藤井先生の講演会で印象に残ったことを再度ご紹介いたします。新幹線が都市の栄枯盛衰にいかに関係するかということをお話されたことは先ほど紹介しました。身近なところでは明治時代より九州の大都市は熊本市、鹿児島市であったものの、博多駅まで新幹線が延伸され福岡市は現在155万人を超すところとなり、今では九州の政治経済の中心として位置付けられています。同じように北信越地方では従来からの大都市金沢市、富山市に代わり新潟市が近年大きな発展を見ました。これも上越新幹線がいち早く建設され、東京からのアクセスが良くなった効果です。このほかにも例を挙げられましたが、いずれにしても新幹線により東京を中心とするネットワークに入っているかどうかという観点からみると栄えるのか衰退するのか説明がしやすいというお話でした。長崎での講演にも関わらず、長崎、佐賀と佐賀をも特に気にしながらのお話でした。これは私の受け止めですが、佐賀市に新幹線駅は作らなくても大丈夫ですか、衰退しませんか。佐賀市は例外として行けますかという投げかけのようでした。また、新幹線の新設は今全国各地で強力な誘致合戦が起こっており、西九州ルートも急がなければ、いったん工事が終了すると次順番が回ってくるのはいつの日のことになるかわかりませんよ、それでもいいんでしょうか。できれば今の工事が終わる時にはそのスタッフがそのまま次の武雄温泉新鳥栖駅間の工事が行えるぐらいのスピード感をもってやるべきでしょう。そのためには既に環境アセスメントが終了している現佐賀駅を通るルートで行くべきではないでしょうかというものでした。

 

もし、そうした方向性を求めることになったとして、今も昔もネックになるのは地元負担の問題です。

フル規格がよかに決まっているけど、フリーゲージより工事費が増加するというよね、だとしたらそれに伴う地元負担は佐賀県は出し切らんという例の話に決まってなってしまします。

そこで、われわれ沿線市議会、及び経済界等の有志は様々な調査をやってまいりました。

そしてそうした中、今村雅弘復興大臣、当時は新幹線長崎ルート与党検討委員会メンバーで国土交通委員会委員長から直接お話を聞くチャンスを我々は頂きました。今村復興大臣は旧国鉄ご出身で鉄道行政に大変お詳しい先生です。そして日本の国家プロジェクト・リニア中央新幹線建設に大きな功績を残された方であります。皆さんご存知のようにリニア中央新幹線はJR東海が全額負担する形で建設されます。メリットを受けるものがその費用を負担するという考えの最たるものです。

今村先生は西九州ルートにおいてもこの考えを推し進められ、これまでの公共工事を進める大前提である属地主義、工事費はその工事がなされる県が事業費の3分の1を負担するというルールを新鳥栖武雄温泉間では採用せず、メリットに応じて負担する「収益還元方式」を強く提唱されました。そしてその声を長崎から上げないと佐賀は動かないともお話されました。お招きしその会に参加して頂いた長崎県議会の重鎮の先生方もその話を聞いておられました。そしてその後すぐに長崎県内で行動を起こされていると聞いておりましたが、大々的に開催されたのが、11月6日長崎県諌早市での長崎新幹線建設推進特別講演会です。

 

実際、新幹線建設に当たっては地元負担を如何に少なくし、実現可能な財源スキームを構築するかは各地で研究されています。金沢市や富山市に代表される北陸新幹線は大変活況を示しています。そこでは、運用会社としてメリットを受けるJR西日本が、ここでは上下分離方式でありますので所有者である鉄道運輸支援機構に将来に渡り支払うリース料をも予め財源に充てる方法で、また起債と普通交付税の戻りを勘案して、地元負担を33%ではなく12~13%に低減することに成功しています。

そうしたことも加味して同様に西九州ルートを全線フル規格した場合を試算してみると、800億円といわれた地元負担金は半分程度となります。それに今村先生が提唱される「収益還元方式」より佐賀県長崎県の負担割合を加味すれば佐賀県の地元負担額が実質的に200億円を下回る可能性まで出てまいります。先の読めないフリーゲージよりはるかに確たる品質が保証されている新幹線の方が地元負担が少なくて済むのです。

因みに佐賀県が出している資料によりますと、武雄温泉長崎間の佐賀県工事区間は17.8キロで工事費約1,224億円、県負担額約408億円、実質負担額約225億円です。

鹿児島ルートの鳥栖市を通るところ佐賀県区間は、11.7キロで工事費約843億円、県負担額約280億円、実質負担額約154億円です。新鳥栖駅武雄温泉駅間は51キロで工事費約4,000億円、県負担額約480億円、地元負担額が佐賀長崎の負担割合によりますが、200億円を下回ることも見込めるような税源スキームとなっています。鹿児島ルートで名目県負担額約280億円投資しているけど、佐賀県のためにどのくらいためになっているのかと西の方の方から言われることがあります。最後まで一緒に西九州ルート沿線の発展のために頑張ってくれということだと思って聞いています。

既にフル規格で整備している長崎県、嬉野、武雄両市が、ミッシングリンク、大きなネットワーク、九州新幹線鹿児島ルートと繋がらず危機感を抱いていることを、ここ鳥栖市で同じように共有することは容易なことではないにしても、西九州の玄関口であり、交流都市を目指す鳥栖市としては、また先に新幹線駅を持つに至ったまちとして、そうした動きや可能性に共感を持つべきだと思います。北陸新幹線の新大阪までの延伸は小浜・京都ルートに決定されました。与党PTの会合はその話ばかりで、西九州ルートは最後に付けたし的な扱いだと聞いております。舞台に上がる前の調整を今されているものだと期待していますが、国民に分かるように佐賀長崎が一致団結して行動し訴えなければ何も歴史は動きません。今後の本件に対する橋本市長のご対応ご期待申し上げます。そして本件のキーマンはこれまた、佐賀県となります。佐賀県が頑なにフリーゲージトレインのスキームにこだわり将来にわたり茨の道を歩むのか、あるいは最近の他地域の動向に目を向け新たな道筋を見出すのか、大変重要な時となりました。私は新鳥栖駅建設に際して佐賀県の立場からご尽力され、また現在副市長として佐賀県とのパイプ役が期待されています種村副市長に本件については強くご期待申し上げていることをお伝えしまして次の質問にまいります。



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