Landscape diary ランスケ・ ダイアリー

ランドスケープ ・ダイアリー。
山の風景、野の風景、街の風景そして心象風景…
視線の先にあるの風景の記憶を綴ります。

光の在り処

2016-10-25 | 

 

秋の日は、つるべ落とし。

あっと云う間に陽が落ちてしまう。

この間まで、いつまでも明るいから大丈夫なんて午後遅くまで森歩きを楽しんでいたのに。

みるみる陽が西に傾いて、森は影ってしまう。

久しぶりの晴天の一日は、駆け足の森散策だった。

 

今日も北東の風が吹いて向かい風。

ペダルを漕いだって、ふらふら押し返されそうだ。

堂ヶ森と違って、日帰りだから背負っている荷物は軽い。

橋を渡って、登坂車線にかかると向かい風から解放される。

ぐぃぐぃ踏み込む足が軽くなってくる。

吹く風が、ひんやりしているので、ほとんど汗もかかない。

ドリンク休憩なしで、山道を走り切り風穴に到着。

堂ヶ森では体力の限界を意識させられたが、

なに?まだまだ大丈夫じゃないか(笑)

さぁ、色づき始めた秋の森を愉しもう。

 

元々、皿ヶ嶺の森は、ブナを主体とした夏緑樹の森なので鮮やかな錦模様とは行かない。

その上、今年は天候不順で、何処も紅葉の彩は精彩を欠く。

多くを期待していないので、黄色く色づく樹を見つけると嬉しくなる。

それに西日が当たったりしたら、黄金に輝いたりする。

期待値さえ低く設定すれば、その日一日を幸せに過ごせる。

これも生きてゆく上の智恵だ。

なぁ~んて、あんたは、良寛さんか(笑)

 

森に差す光を、ずっと追い求めていた。

私の視線は、水晶体越しのカメラフレーム。

木漏れ日の光の在り処(ありか)をズームインそしてスクロール。

日足の長い影が落葉の道に延びてゆく。

枯れ芒の湿原は、遅くまでトイレ解体工事の槌音が響く。

「ご苦労様」

仕事を終えた職人さんに声をかける。

「今日は20人以上、人が来てたよ」

赤銅色に焼けた人懐っこい笑顔と、しばし工事の進捗状況を立ち話。

トイレ再建の可能性もあるようだ。

 

もう太陽は湿原の向こうの木立に落ちている。

木の間越しの落陽と競争するように山を下った。

駆け降りる足音に驚いて、笹薮で眠りにつこうとしていたアトリの群れが飛び立った。

「ざざざぁーっ」風切り羽の鮮やかな羽ばたきに目を奪われる。

そう云えば、森の笹薮は、すっかりソウシチョウの領域になってしまった。

 


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4 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (misa)
2016-10-25 22:00:22
「何処も紅葉の彩は精彩を欠く」中での冒頭の光に
何だかほっとしました
捉え方が上手いなあと毎回の再認識
適宜にその場所に居ることが先ずは先決

なのに私はどうもそこのところがヨロシクナイ
歳を重ねるごとに頭と身体のバランスが少しずつ狂って行くようで実に歯がゆい

すっかりお家モードでkitchenでごそごそやってます
返信する
秋の万華鏡 (ランスケ)
2016-10-26 12:45:06
misaさん、私たちの年代は、ままならない身体とすぐ萎えてしまう心の不均衡さに、
ゆらゆら揺れながら、なんとか折り合いをつけて、日々綱渡りをしているようなものです。
だって生命体は、毎日、新陳代謝することが生存のための条件なのですから。
諦めてLika a rolling stone エントロピーに呑み込まれないように転がり続けましょう(笑)

近頃、すっきりした晴天が二日と続きません。
やっと巡り来た秋晴れの一日を色づき始めた皿ヶ嶺の森で過ごしました。
本当に今年の紅葉は色が悪い。
冒頭の画像は、思いっきりハイキーの上に画像処理を施しています。
二番目の画像が西日に輝く、実際のブナの色です。
竜神平を周回して帰路につく頃には、気分も晴れてきます。
いくら色づきが悪くても、秋の森歩きは目に入って来るめくるめく光と色の万華鏡にクラクラしそう(笑)
返信する
森の息吹 (鬼城)
2016-10-27 09:23:51
私は下から見上げるだけ・・・(笑い)
ブナ林、懐かしい感じと変わらないなあという重いで一杯です。
写真は光とランスケさんの写真で感じます。つるべ落としという言葉自体もレンズを通してよく分かる。
仕事も佳境を超えつつあります。
11月初旬を過ぎれば、秋の里山に行ってみようという気持ちになりました。
キノコ、紅葉、夕日が映る川面、すばらしい。
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宇和島の景観 (ランスケ)
2016-10-27 12:00:46
雨上がりの朝は、ひんやり。
日ごとに秋らしくなってきました。

ライブカメラを観ると1500m土小屋の紅葉が紅く色づき丁度いい感じです。
そうですね。
鬼城さんが忙しさから解放される11月になれば、滑床や里山あたりの紅葉も見頃を迎えそうです。
お楽しみに(笑)

宇和島さんさ、見せて頂きました。

http://kijo0621.blog74.fc2.com/blog-entry-986.html#comments

私も鬼城さんの意見に賛成です。
「おわら風の盆」は、その付与された物語に惹かれて多くの観光客を招き寄せています。
人が惹かれるのは史実よりも共感できる物語です。

宇和島は外洋クルーズ船の寄港が多いですね。
なんとなく想像がつきます。
外海から狭い入り江に入って、その奥に拓けた緑豊かな街の景観は、
きっと「ファンタステック」ってデッキに立った旅人の目を奪う光景ですよ。
小高い丘の上に建つ宇和島城の存在も大きいですね。
上陸して天赦園と宇和島さんさの歓待もエキゾチックでしょう。
唯、残念なのは、歩いてちょうどいいくらいの街の規模なのに、
川の多い美しい景観を活かしきっていないことです。
私も何度か宇和島の街を歩きました。
一番目につくのが魚屋さんの多いことです。
坂の上の街にも魚屋さんがある(笑)

川沿いの道は、風に吹かれて気持ちいいですね。
要所に街の歴史的名所を案内したプレートが在るのも楽しいです。
城下町らしいお寺が多いのもいいですね。
坂を上った愛宕山公園からは街が一望されます。
旅人目線で見ると、歩いて気持ちのいい街は魅力的です。

でも、本当に歩いている人が少ないですよね。
宇和島に限らず、地方都市特有の現象ですが。
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