背中がぞくぞくする。 夜明け前の寒気に目覚めた。 枕元に置いた寒暖計は-2℃を指していた。 テントの外張りが結露して、バリバリ強張ったように霜に覆われている。 . . . 本文を読む
山の行き帰りに、ふっと目にする野辺の光景に心惹かれる。 例えば、河川敷一面に広がるイネ科の草叢が夕陽を浴び、風に波打つ穂先を煌めかせる一瞬の光景であったり、 朝霧が退き、木立から射す光芒の放つ、眼を射るような光の矢であったり、 野辺の草叢に射した光が浮かび上がらせる季節の花々の常にない光輝であったりする。 . . . 本文を読む
朝、テン場を出て、女山山頂に着いたのは、すでに日の出の時刻だった。 テン場周辺の樅や岳樺は雨に濡れ、着氷の痕跡もなかった。 山頂手前まで登ってくると、コメツツジに、うっすら霧氷がつき始めていた。 . . . 本文を読む