goo blog サービス終了のお知らせ 

Landscape diary ランスケ・ ダイアリー

ランドスケープ ・ダイアリー。
山の風景、野の風景、街の風景そして心象風景…
視線の先にあるの風景の記憶を綴ります。

雨の森に咲く

2013-06-28 | 

 

そろそろ咲く頃だろう…

あなたに会いたくて、雨の森へ出かけた。

 

 

6月下旬、梅雨最盛期を迎えると、森は夏へと季節の装いを変えてゆく。

深緑の樹々が濃い緑の影を落とし、ジィージィーギィーギィー、エゾハルゼミの鳴き声が森を覆っていた。

私が開花を待っていた花は、ヒマラヤの青い芥子、メコノシプス・ベトニキフォリアではない。

この成層圏の青を映しとったような神秘の花も、すっかり6月のこの森を代表する花として認知されたようだ。

標高千m足らずのこの場所で、岩間から噴き出る寒冷な蒸気(風穴)に着目し、

世界で最も空に近い場所にひっそり咲く高嶺の花を、この場所に根付かせた人の

豊かな想像力には舌を巻く(笑)

 

薄桃色の気品のある色合いが、雨上がりのしっとりした草叢の緑を透かして映えていた。

雨の中のしっとりした空気感と霧に煙るような情景が似合う花だ。

夏の到来を一足先に告げるこの花が、ずっと好きだ。

今年も走りの花が一輪二輪と森の林床に咲き始めた。

 

森を抜けた草原の縁に白いガマズミの花が咲いていた。

たくさんの虫がやってきている

ハナカミキリの仲間やゾウムシが多い。

緑色の光沢を放つ小さなアオカミキリにキンモンガの透過光に揺れる黄色も美しい。

森を歩いていると、よく目にするのが多様な色合いの小さなカミキリムシたちだ。

この虫たちは、朽ちてゆく木材質を分解するという森の新陳代謝にとって重要な役割を担っているようだ。

その他にもハナカミキリのように花粉媒介であったり、他の生物の餌という食物連鎖にも連なる。

森におけるカミキリムシたちの役割を血液代謝に例えた事例を貼っておきます。

 

http://www.ffpri-skk.affrc.go.jp/sj/sj23p1p2.html


草原を抜けた森の周回路で偶然、目にしたのは、あの白い森のフェアリー、

ウスキツバメエデシャクでした。

八方ブナの根方で出会った和紙を透かしたような美しい翅を持つ森の妖精との再会です。

哀しいことに片翅を失くしている。

もう飛ぶことも叶わないのだろうか?

片翼を失くしたその姿は、墜ちた天使…

ケルト神話や羽衣伝説の翼を失くし地上に降りた天使たちの行く末を想う。

 


コメント (4)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 青い刻(とき) | トップ | 福島の子ども、12人甲状腺がん »

4 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
雨の日の音楽 (ランスケ)
2013-06-29 14:46:25
また書き足しました。
当初は、あの短い文章で充分と考えましたが、
どうも思い切りがよくない(苦笑)

雨上がりの森歩きは、気持ちが好い。
森のアイドル、Nさんとも久しぶりにお会いして色んなお話ができました。

雨の日の音楽は意外とサティが気持ちいい。
「ジムノペディ」を貼っておきます。

http://www.youtube.com/watch?v=R21ZJBAK_6U
返信する
幻想の森 (鬼城)
2013-06-29 19:48:36
森に対する思いですね。
これがランスケさんの真骨頂です。
前回とまでは行かないと思いますが、復活ですね。
目線で追う小さな植物、昆虫たちの世界・・・
不思議な感情を呼び起こされます。
返信する
自分の領分 (ランスケ)
2013-06-29 21:49:25
鬼城さん、四国遍路と神仏習合のお話は、常連の皆さんの深い見識を重ねてどんどん膨らんで行きましたね。
そして同じ賛辞をお返しします(笑)
これが鬼城さんのブログの真骨頂だと注目していました。

ありがとうございます。
そして、御指摘のように、これが私自身の領分だと思っています。
私自身の傾倒する世界を、これからも真っ直ぐ見つめてゆきたい。
相変わらず言葉足らずや過剰な発言も頻出しますが(汗)
返信する
バイオミミクリー (ランスケ)
2013-07-01 20:52:17
バイオミミクリー(生物模倣技術)については、先日「幽けき命」のコメント欄で紹介しました。
そして今夜のNHKクローズアップ現代でも同様の内容が。

http://www.nhk.or.jp/gendai-blog/100/160532.html

生物が進化の過程で身に着けた最も効率的で洗練された生存の身体機能。
やっと人間は謙虚に、この究極のテクノロジーに学び始めました。

http://www.visualecture.com/wordpress/?p=1430

少し長いですが、是非御覧ください。
返信する

コメントを投稿

」カテゴリの最新記事