VOL2 わ・た・し流

おとぼけな私ですが 好きな本のことや 日常のなにげない事等 また 日々感じたことも書いていきます。

桃花徒然 その17

2022-02-15 21:04:05 | 永遠の桃花

今日は 番外編より 素錦と夜華を取り上げてみた。

素錦は 先の大戦で一族が犠牲になることで 勝利を

得る事ができたその一族のただ一人の生き残りで、

族長の娘。

大戦の時の天君は 今の天君の父で 素錦族への

褒章は すべて、まだ赤子だった素錦に与えられた。

先の天君は素錦を「昭仁公主」に封じ 自分の養女

として 天界に迎え、養育は当時結婚したばかりの

央錯に任せた。

夜華にとっては 二万歳しかはなれていなくても

自分の義理の大叔母(祖父の義理の妹)にあたる。

 

まだ座れもしない時分から勉学を強いられ、遊ぶ時間

さえない夜華に ある時 父央錯が 遊び相手として

素錦を連れ添わせるようになったが、夜華にしてみれば

ただ 夜華がさぼらないよう 見張りを付けたのだ

としか思えなかった。もとより遊ぶ時間など無かった。

 

夜華は 素錦の存在がうざかったが、そのうち慣れて

彼女を机の上の書道具くらいに思うようにして

注意を向ける事もないようになった。

話しかけられる事さえ煩わしく 眉をひそめていたが

そのうち それが 彼の癖になってしまった。

 

二万歳の誕生日までに上仙になる目標を達成した夜華、

雷で受けた傷は深く、起き上がる事さえ困難だった時

付き添った素錦が、自分を慕っているという噂を聞く。

 

夜華はそれを無視した。

素錦から直接告白された時も 「大叔母として尊敬する

対象でしかない」と断ったが、素錦から

「貴方より二万歳年上なのがいやなの?でも、

貴方の正妃となる白浅は 貴方より九万歳も上なのよ」

と言われ、怒った夜華は

「君に力があるなら、白浅と同じように 私が君を

娶らなければならないようになれば 良いだろ?」

と返した・・・

ほとんど 口から出まかせのように言ったこの言葉を

長年、夜華はずっと忘れる事がなかった。

なぜなら、その言葉によって 彼は死ぬより辛い

思いをせねばならなかったから・・・。

 

素素が天宮にやってきて二年が過ぎた時 夜華は

北荒へ派遣され 素素に付き添う事ができなくなった。

その隙に素錦が大芝居を打って、夜華の想い人は素錦

だと思わせる様々な芝居をする。二人は深く愛し合って

いるかのような様々な嘘を素素に聞かせた。

もとより 天君と示し合わせ 素素を殺す為の口実を

作るための策略を練って、その見返りに夜華の側妃に

指名してもらう魂胆だったのだ。

 

素素は深く傷ついたが、それでも 少しでも夜華が

自分を好いていてくれるなら そばにいたかった。

しかし 素錦との諍いで 自分の言い分を 一つも

 聞き入れられる事なく 夜華本人に目を取られ、

あげく 素錦がやってきて 貴女の目は使い心地が

良いわ。夜華は一昼夜私に付き添ってくれたのよ、

と言われてしまう。

素素は 素錦の言葉によって、夜華に嫌悪感しか

持てなくなった。出会った事さえも悔いた。

 

素錦が吹き込んだ大嘘を 夜華は知らなかった。

しかし 誅仙台に飛び込む前に素素から

素錦が誅仙台に飛び込めば 元の場所へ帰れると

言った と聞いて、素錦が自作自演だけでなく

素素が誅仙台に飛び込むように仕向けた としか

思えない事実を知るのだった。

しかも 白浅が、素素の記憶をとりもどした時

白浅の脳裏によみがえったのは、

当時 素錦から吹き込まれた「二人はともに育った

仲であること。夜華と素錦は相思相愛だった事。

素錦が天妃になったショックと腹いせで 素素を

好きになった。素素の素の字は 素錦の素の文字を

とってつけた・・」という言葉だった。

 

その為に 人間界から戻った夜華を拒絶した。

自分の言い分を真っ向から否定し、誅仙台に飛び込む

よう 夜華が仕向けたと・・・

 

夜華が本当に 殺したい人こそ

「素錦」だった。

 

 

 



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