2018/3/9 10:08
厚生労働省は9日、介護を受けたり寝たきりになったりせず日常生活を送れる期間を示す「健康寿命」が、2016年は男性72.14歳、女性74.79歳だったと公表した。前回(13年時点)と比べ男性が0.95歳、女性は0.58歳延びた。平均寿命との差も男女とも縮小した。厚労省は食生活の改善などが寄与していると分析している。
厚労省の研究班が3年に1度の国民生活基礎調査(大規模調査)を使って推計した。熊本地震の影響で調査できなかった熊本を除く46都道府県のデータを使用した。
健康寿命は男女ともに年々延びている。男性は01年に69.40歳だったのが、07年に70.33歳と70歳を超え、16年は72.14歳まで延びた。女性は01年に72.65歳だったのが、16年は74.79歳まで延びた。
平均寿命と健康寿命の差は、介護などが必要となる期間。この差を縮めることが社会保障費の抑制につながる。16年の平均寿命と健康寿命の差は男性8.84年、女性12.35年。13年と比べると男性0.18年、女性0.05年改善した。
研究班の代表を務める辻一郎・東北大教授(公衆衛生学)は「要介護の大きな原因となる脳血管疾患の患者が、生活習慣の改善で減っている」と指摘。「高齢者の社会参加の場が広がっていることも健康寿命の延びにつながっている」とみている。
健康寿命について、平成13年と平成22年を比べると、男性は69.40年から70.42年
へと1.02年、女性は72.65年から73.62年と0.97年延びています。
一方、平均寿命を
みると、同期間で、男性は78.07年から79.55年へと1.48年、女性は84.93年から
86.30年へと1.37年延びています。
また、国立社会保障・人口問題研究所の日本の将来推計人口(平成24年1月推計)に
よれば、平成25年から平成34年にかけて、平均寿命は男性では80.09年から81.15年
へと1.06年、女性では86.80年から87.87年へと1.07年とさらに延びることが予測さ
れます。
今後、こうした平均寿命の延伸とともに、健康な期間だけではなく、不健康な期間も延
びることが予想されます。国民の健康づくりの一層の推進を図り、平均寿命の延び以上に
健康寿命を延ばす(不健康な状態になる時点を遅らせる)ことは、個人の生活の質の低下
を防ぐ観点からも、社会的負担を軽減する観点からも、重要です。
都道府県別ランキングは?
都道府県別に見ていくと、男性は一位が長野県(79.84年)、二位滋賀県(79.60年)、三位神奈川県(79.52年)という結果が出ています。
女性は一位が沖縄県(86.88年)、二位島根県(86.57年)、三位熊本県(86.54年)。
男性と女性、それぞれ違う県がランクインしているのが興味深いですね。
注目したいのは、平均寿命と健康寿命に差があることです。2018年の発表資料によれば、男性の平均寿命が80.21歳であるのに対して、健康寿命は71.19歳と9年以上の開きがあります。
女性はさらに差が大きく、平均寿命は86.61歳で、健康寿命は74.21歳。実に12年以上の開きがあります。
全体として、健康寿命は延伸しており、男女や都道府県における格差も縮小傾向にあります。しかし、「人生の最後まで健康に過ごせる」という社会とまでは言えない、ということがわかります。
健康のためにも「働き続ける」という選択を
このように、たとえ平均寿命や平均余命が伸びても、すべての人々が健やかに生活しているとは限らないのです。身体の機能が低下したり、認知症などを発症して、寝たきりの生活を送っている高齢者も少なくないからです。
できることなら、1年でも長く健康で自立した生活を送りたいですよね。これからの人生を楽しく過ごすためにも、健康寿命を伸ばす努力をしていきましょう。
では、健康寿命を延ばすには、どのような生活を送ればよいのでしょうか。
日本では、「健康寿命をのばしましょう。」をスローガンに、スマート・ライフ・プロジェクトという取り組みを進めています。このプロジェクトでは、3つのアクションと、健診・検診の受診を勧めています。
アクション①「適度な運動」
平均的な歩数から足りない1000歩は、分数にして約10分。毎日、苦しくならない速度で10分間早歩きすることを勧めています。
アクション②「適度な食生活」
毎日、プラス70グラムの野菜を摂取することや、朝食をしっかり食べることを推奨しています。
アクション③「禁煙」
「健康を損なうだけでなく、肌の美しさや若々しさを失うことにも繋がる」として、禁煙を勧めています。
これら3つのアクションと健診・検診の受診によって生活習慣病を防ぎ、より長く健康で自立した生活を送っていくことが、スマート・ライフ・プロジェクトの目標です。
しかし、特に定年退職を迎えた方の場合、これまでの規則正しい生活から一気に自堕落な生活に陥ってしまうことも。主体的に習慣をつけていくことは、実は大きな努力を要するのです。
働き続けることが健康寿命の延伸につながる!
これから先も、健康で自立した生活を送っていきたいのなら、「社会と関わっていくこと」が一番の早道です。
社交的な方ならば、地域の集まりに参加したり、買い物や旅行をしたり、趣味のサークルに打ち込んだり――。自由になった時間を活用し、外へ出て、人と会い、会話を楽しみ、身体を動かすといった一連の行動が、皆さんの心身機能を向上させてくれるでしょう。
「そうは言っても、自分で新たな場を見つけられるだろうか...」という方に最もオススメなのは、やはり「仕事を続ける」という選択肢です。
仕事を続けていれば、「毎日、同じ時間に起き、仕事をし、明日の仕事に備えて早めに寝る」という規則正しい生活を送ることができます。仕事を通じて「社会と関わっている」という実感も得られますし、仕事に生きがいを感じることだってできます。
つまり、長く働くことこそ、健康的な生活を送り、健康寿命を延ばすことができる習慣を生み出すものなのです。
無理のない範囲で働いて、健やかな生活を目指そう
ミドルシニア世代になると、少しずつ体力が落ちてきて、働くこと自体をおっくうに感じるかもしれません。「腰が痛い」「肩が痛い」「もう無理は利かない......」と身体が悲鳴を上げている人もいることでしょう。
確かに、若い頃のように精力的に働くのは難しいかもしれません。だから、無理のない範囲で働いてみませんか。短時間勤務の仕事や、出勤日数の少ない仕事を選べば、体力的な負荷も高くありません。
自分に合った仕事を見つけて、いつまでも健やかな生活を送っていきましょう!
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