3/16(火) 8:14配信
岐阜新聞Web
昨年3月、岐阜市の河渡橋で路上生活をしていた渡邉哲哉さん=当時(81)=を襲撃して死亡させたとして、傷害致死の罪に問われた元少年2人の裁判員裁判の公判が15日、岐阜地裁(出口博章裁判長)であり、致命傷を与えた当時会社員の元少年(20)の被告人質問を行った。元少年は事件当日、約1キロにわたり初めて執拗(しつよう)に渡邉さんたちを追い掛けており、その理由を「警察に言われないように、止めようとした」と述べた。
元少年らは、同月6日以降6回にわたり深夜、渡邉さんや女性(69)の居住スペースに石を投げつけていた。「怒った渡邉さんをからかったり逃げたりすることが楽しくなっていった」。通報される不安もあったが「けがをさせるつもりはなかったし、ちょっとの間なら警察に見つからないと思った」と説明した。
事件は7回目となった同月25日未明に起きた。自身は4回目の参加。「被害者はどんな風に出てくるかな」と思いながら石を投げた。女性が堤防のり面の細い通路を自転車を押して逃げるのが目に入り、追い掛けた。回り込んで立ちふさがり「足で自転車を抑え、ライトを照らした」。それまでの襲撃で通報されていたことを知っていたとし、これ以上の通報を止めたかったと証言した。
渡邉さんがポケットに入れた小石をぶつけてきたため、住宅地そばの田んぼに入り、ソフトボール大の土の塊を拾った。道路へ戻ろうとすると「(渡邉さんが)鉄の棒を振り上げていた。1~3メートルの距離。当たるんじゃないかと思い、投げた」。
顔面に当たったことで渡邉さんは後ろへ転倒。もう一人の被告と逃げ出したが引き返した。口から血を出し、いびきのような音を立てていた。「やってしまったことから逃れようと思い、救急車は呼べなかった」。再び逃げたという。
高校まで野球漬けだった。就職後、元高校球児のたまり場だった大垣市の元少年(20)=少年院送致=のアパートに頻繁に出入りするように。「遊ぶのを我慢してたから楽しかった」
現場にいたほかの4人は出頭したが、「一人で行く勇気がなかった」。弁護人の質問には終始涙声で、「被害者の立場を見下して、嫌がらせや石投げをした。その考えは全部間違っていた」と声を震わせた。
次回は16日、無職の元少年(20)の被告人質問を行う。
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