荒磯親方の探究心の強さ 大学院で学び角界に新風

2021年03月26日 10時36分39秒 | 社会・文化・政治・経済

3/26(金) 10:30配信

日刊スポーツ

探求心の強さは土俵外でも変わらない。昨年10月に早大大学院スポーツ科学研究科の修士課程1年制に合格した荒磯親方(元横綱稀勢の里)。

修士論文が最優秀論文として表彰された。荒磯親方は現在、田子ノ浦部屋付きの親方として後進の指導にあたっているが、将来的には独立して部屋を興す意向があり、論文のテーマは「新しい相撲部屋経営の在り方」。大学院で荒磯親方にスポーツビジネスなどを指導し、論文の推薦者でもある平田竹男教授(61)は「ここまでのデキになるとは思わなかった。想像以上に勉強熱心」とたたえた。

平田ゼミでは、過去に現プロ野球巨人の桑田真澄投手チーフコーチ補佐や、元テニスプレーヤーの伊達公子さんら多くのアスリートが学んだが、角界からは初めて。意欲十分に取り組む荒磯親方の姿は「同級生にも強い影響を与えていた」と断言する。

授業では他競技から多くの学びを得た。欧州の名門サッカークラブが実践する下部組織の育成法などを、慣れないリポート作業でまとめることもあった。時にはJリーグなど他競技の公式戦を観戦して、競技運営の知見も得た。11年に亡くなった先代師匠(元横綱隆の里)が糖尿病に苦しんだこともあり、栄養学の勉強にも改めて着手。生活習慣病への理解も深めたという。

授業で得たことから、理想的な相撲部屋の設計も研究した。角界では土俵の数は「部屋に1つ」が常識だが「2つ以上あれば効率的に稽古ができるということ」と平田教授。土俵を使う力士らの「待機時間」は間違いなく減る。さらに稽古場には複数のカメラを設置し、部屋内には親方や弟子が話し合えるミーティングルームがあり、観光客用に部屋オリジナルグッズなどを置いたお土産コーナーも設置する--。スペース確保の問題こそあるものの、固定観念にとらわれず、今までにない相撲部屋をイメージしてきたという。

4月からは安治川親方(元関脇安美錦)が入学し、同教授が指導する。すでに対面しており「謙虚で真面目で、けがと闘って長く力士を務めた方。4月から楽しみです」と平田教授。荒磯親方に対しても「修士論文で書いたことを是非実現してほしい」とエールを送った。研究熱心の親方衆が、角界に新たな風を吹き込みそうだ。【佐藤礼征】(ニッカンスポーツ・コム/バトルコラム「大相撲裏話」)

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