5月16日午前3時15分からCSテレビのザ・シネマで観た。
『眺めのいい部屋』『モーリス』の フォースター=アイヴォリーの 三部作·最終章が4Kリマスター版で再び-
情感ゆたかに美しく人生を描き、現在のイギリス映画界でただひとり正統派の作品を手がける名匠、ジェイムズ ・アイヴォリー。
『眺めのいい部屋』(1986)、『モーリス』(1987)など20世紀初頭の優雅なイギリスの上流社会を舞台に、時代や社会の束縛から逃れ、自分に素直に生きていこうとする若き主人公の姿を描きつづけてきたアイヴォリーが監督した、E・M・フォースター文学の最高峰として名高い映画『ハワーズ・エンド』が4Kデジタル・リマスター版として甦る。
本作は、知的で情緒豊かな中産階級のシュレーゲル家と現実的な資産家の家庭ウィルコックス家、両家が別荘“ハワーズ・エンド”をめぐって繰り広げる運命的な人間模様を描くドラマ。ヒロインであるシュレーゲル姉妹には本作でアカデミー賞主演女優賞を受賞したエマ·トンプソンと、ヘレナ・ボナム=カーター。ウィルコックス氏には、『羊たちの沈黙』でアカデミー賞主演男優賞に輝いたアンソニー・ホプキンス、その妻ルースを『ジュリア』の名女優、ヴァネッサ·レッドグレイヴが演じている。
解説
E・M・フォスターの小説をジェームズ・アイヴォリー監督が3度目の映画化。階級の異なる家族が交わし合う人間模様を情感豊かに綴る。アカデミー主演女優賞(エマ・トンプソン)、脚色賞、美術賞を受賞。
ストーリー
20世紀初頭の英国。中産階級のシュレーゲル家の次女ヘレンは、資産家ウィルコックス家の次男ポールに惹かれ、姉マーガレットに婚約の意思を手紙で伝える。しかしこの手紙で行き違いが生じ、破談となってしまう。
それから1年後。シュレーゲル家の向かいにウィルコックス家が引っ越し、マーガレットは老夫人ルースと親しくなる。やがてルースは、自ら所有する別荘ハワーズ・エンドをマーガレットに譲ると遺書を残しこの世を去る。
知的中流階級で理想主義的なシュレーゲル家と、実業家で現実的なウィルコックス家。
正反対な両家は旅行中に親しくなり、シュレーゲル家の次女ヘレンは、田舎にあるウィルコックス家の別荘、“ハワーズ·エンド”に招かれる。美しい田園風景と人々の歓待に囲まれ、ヘレンは次男·ポールに一目惚れ、ふたりは恋におちる。ヘレンは姉に宛てて「婚約しました」と綴る。
この手紙の行き違いによる大騒ぎで物語は幕を開ける。運悪く、ロンドンのシュレーゲル家の向かいにウィルコックス家が越してきた。失恋の痛みは癒えたもののヘレンは彼らに会おうともしない。しかし、穏やかな姉、マーガレットは、老夫人ルースと親しくなった。
現実を合理的に割り切るウィルコックス家の中で、ただひとり魂や自然の声に耳を傾けるルースとマーガレットは、血のつながりを越えて深くわかりあった。死を前にして「ハワーズ·エンドはマーガレットに」という遺言を残して逝ったルース夫人。しかし遺言はもみ消された。
その後、マーガレットは残された夫、ヘンリーと結婚しウィルコックス家へ、ヘレンは、ヘンリーの失策から失業したパスト氏と、同情のあまり一夜をともにしてしまい、シュレーゲル家は崩壊してしまう。
階級や立場を超えて、人は愛しあうことができるのだろうか?
監督
名匠ジェームズ・アイボリーが「眺めのいい部屋」「モーリス」に続いてE・M・フォースターの名作小説を実写映画化した長編作品。
知的で情緒豊かな中流階級のシュレーゲル家と、現実的な実業家のウィルコックス家。
両家は旅行中に親しくなり、シュレーゲル家の次女ヘレンはウィルコックス家の田舎の別荘「ハワーズ・エンド」に招かれる。
そこで次男ポールに一目ぼれするヘレンだったが、ある行き違いからウィルコックス家と気まずい関係になってしまう。
その後、ロンドンのシュレーゲル家の向かいにウィルコックス家が引越してくるが、ヘレンは彼らに会おうともしない。
一方、姉マーガレットはウィルコックス家の老婦人ルースと深く理解しあう。
やがてルース夫人は「ハワーズ・エンドはマーガレットに」という遺言を残して他界する。
しかし遺言はもみ消され、マーガレットはウィルコックス家の当主ヘンリーのもとへ嫁ぐことになり……。シュレーゲル姉妹をエマ・トンプソンとヘレナ・ボナム・カーター、ウィルコックス氏をアンソニー・ホプキンス、ルース夫人をバネッサ・レッドグレーブがそれぞれ演じ、トンプソンがアカデミー主演女優賞を受賞した。2019年9月、YEBISU GARDEN CINEMAほかにて4Kデジタル・リマスター版が公開。
1992年製作/143分/G/イギリス・日本合作
原題:Howards End
配給:ハーク
劇場公開日:2019年9月13日
その他の公開日:1992年7月11日(日本初公開)
スタッフ・キャスト
- 監督
- ジェームズ・アイボリー
- 製作
- イスマイル・マーチャント
- 製作総指揮
- ポール・ブラッドリー
- 原作
- E・M・フォースター
- 脚本
- ルース・プラバー・ジャブバーラ
- 撮影
- トニー・ピアース=ロバーツ
- 美術
- ルチアーナ・アリジ
- 衣装
- ジェニー・ビーバン
- ジョン・ブライト
- 編集
- アンドリュー・マーカス
- 音楽
- リチャード・ロビンズ
受賞歴
第65回 アカデミー賞(1993年)
受賞
主演女優賞 | エマ・トンプソン |
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脚色賞 | ルース・プラバー・ジャブバーラ |
美術賞 |
ノミネート
作品賞 | |
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監督賞 | ジェームズ・アイボリー |
助演女優賞 | バネッサ・レッドグレーブ |
撮影賞 | トニー・ピアース=ロバーツ |
作曲賞 | リチャード・ロビンズ |
衣装デザイン賞 | ジェニー・ビーバン ジョン・ブライト |
第50回 ゴールデングローブ賞(1993年)
受賞
最優秀主演女優賞(ドラマ) | エマ・トンプソン |
---|
ノミネート
最優秀作品賞(ドラマ) | |
---|---|
最優秀監督賞 | ジェームズ・アイボリー |
最優秀脚本賞 | ルース・プラバー・ジャブバーラ |
肌感覚ではわからない
信条での行動は揺るがなく
多少の設定が変わればどこの世界にも起きそうなようにも思える。
ハワーズ・エンドという邸宅をめぐって
階級の異なる二家族が
妙な縁に振り回されつつ理解し合えるのか、
そんな主題。
気持ちとしては好きと思っても結婚となれば
価値観の違いというものはより如実になる。
そこをわかってくれる人に家を受け継いでほしいと
いう気持ちはわからいでもない。
しかし前述したように価値観の違い、だけではなく
イギリスなのでそこには純然たる階級の違いも
存在している。
実業一家は階級的にはそれほど高くはなく、
実利ばかりで教養も足りてないという
認識があるのだろうと思う。
知的階級のマーガレットたちはむしろ
次第と明らかになる運命的な繋がりが組み合わさって物語が進んでいくんだけど、
盛り上がりに欠けるし、その割には時間が長いしで、私には合わなかった。
原作の小説は名作とされているようだから、たぶん本として物語に触れたら、
情景描写とか文章の綴られ方で惹かれるような作品なのかなと感じた。
人気小説を映画化したけど、うまく映像化できなかったという印象です。
中産階級の三姉妹弟の長女(エマ・トンプソン)が主人公、次女(ヘレナ・ボナム=カーター)が恋愛沙汰を起こした上流階級の母親(ヴァネッサ・レッドグレーヴ)と長女が仲良くなる。
母親は病死、別荘ハワーズ・エンドを長女に譲る、と遺言を残すが、遺族はこれを無視してしまう。
しばらくして素直な長女はこの父親と結婚することに。
イギリスのことが理解できるドラマ。
ハワーズ・エンド荘の周囲の美しい自然と共に・・。ー
・ヘンリーの妻ルースのみが、聡明なマーガレットと病床で交流を深めるシーン。そして、末期の彼女が鉛筆でメモに遺した言葉。だが、ウィルコックス家の人々は、”その言葉”を受け入れられずに、破り捨て暖炉で燃やしてしまう・・。
・ヘンリーと、マーガレットが惹かれ合って、婚約したのはお互いにないモノを持っている事に対する敬意から