創作 人生の相性 19)

2024年09月30日 11時52分39秒 | その気になる言葉

「わたし、みどりです。ナナさんがしきりに足立さんに会いたがっています。電話をしてやってください。要件はそれだけです」電話でそれで切れた。
「なんだろう?!」足立幸雄が胸騒ぎがした。
みどりの声は足立が好む、ソフトで甘い声として余韻を残した。

その日もナナは、帝国ホテルの帝国ホテルのロビーラウンジで足立を待っていた。
彼女は和服姿では、長いスカートの淡いピンクのスーツ姿であった。
「あら、約束どおりに来てくれたのね」席に座った足立の手をナナが握る。
「彼女できたの?」
「いいえ」
「ダメね。あなたは・・・」彼女はブランド品のイタリア製バックからタバコのピースを取り出す」
「ナナさん、何時からタバコを」
「変でしょ。タバコは1年前から吸っているわ」足立はタバコは吸わないがピースの香りを好んでいた。
今は亡き、親友の水野晃の嗜好タバコだったのだ。
「眠れずに、睡眠薬も。あなたを思い出すのね。私の結婚は失敗したの。夫とは相性が合わないの。それであなたの名前も呼ぶことも。夫とのセックスの中で、愚かな女なのね」
「夫は突然、私の裸の体から離れ、<幸雄とは誰だ>と何度も問い詰めたのよ、当然よね」
その夜を境にナナ不眠症になったそうだ。


最新の画像もっと見る

コメントを投稿