真実と修復

2024年04月28日 07時17分19秒 | その気になる言葉

 

暴力被害者にとっての謝罪・補償・再発防止策

ジュディス・L・ハーマン (原著), 中井久夫 (翻訳), 阿部大樹 (翻訳)

〈社会のあり方から心的外傷が生じている以上、そこからの回復も、個人の問題プライベートではありえない。個々のコミュニティにある不正義によって外傷が生じているなら、傷を治すためには、より大きなコミュニティから対策を引きだして、不正義を修復しなくてはならない。
回復していく途上、難しい問いがさまざまに浮かび上がってくる。
皆の前でこのことを話せるか?
真実を、周りのひとは受け止めてくれるだろうか?
この傷は治るだろうか?
そのために何を差し出さなくてはならないのか?
どうして加害者と同じコミュニティに所属しつづけないといけないのか?
和解は可能か?
どうやって?
コミュニティはどうすれば現在の、そして将来の被害を防げるのか?
この問いに答えるため、私はもう一度、話を聞くことにした。生き延びたものたちの声である。皆のための、より良い正義を求めることのために本書はある〉

暴力被害者は何を求めているのか。加害者の謝罪やアカウンタビリティはどうあるべきか。補償や再発防止の具体策は、司法のあり方は。トラウマ問題のバイブル『心的外傷と回復』を継ぐ総決算の書。


目 次

イントロダクション
方法論ノート

第一部 権力
第一章 専制による秩序
第二章 平等による秩序
第三章 家父長制

第二部 正義のヴィジョン
第四章 不正を認知すること
第五章 謝罪 
第六章 アカウンタビリティ

第三部 治癒
第七章 補償について
第八章 矯正
第九章 予防

終章 史上最長の革命

謝辞
訳語ノート
訳者あとがき
原注
索引

「心的外傷と回復」**は、ジュディス・L・ハーマン氏による著作で、増補版があります。

この本は、トラウマの症状と治療についての知識を提供しています。

冷静な観察と専門的なアプローチを通じて、心的外傷の構造と回復プロセスを詳細に説明しています

この本は、専門家だけでなく、一般の読者にも広く読まれており、特に心的外傷を経験した帰還兵や性犯罪被害者にも役立っているようです

また、**「心的外傷と回復」**は、1992年の初版刊行以来、世界中の読者から感動をもって迎えられています

この本は、心的外傷を抱える人々にとって、自分の体験を理解し、回復への道を見つける手助けとなることでしょう。

**「心的外傷と回復」**は、幅広い読者におすすめです。具体的には以下のような方々に役立つでしょう。

  1. 専門家:心理療法士、カウンセラー、臨床心理士、医師などの専門家は、トラウマに関する知識を深め、治療アプローチを向上させるために読むことができます。
  2. 心的外傷を経験した人々:自分の体験を理解し、回復の道を見つける手助けとなります。特に帰還兵や性犯罪被害者にとって有益です。
  3. 一般の読者:心的外傷についての理解を深め、トラウマに対する共感と理解を高めるために読むことができます。

この本は、冷静な観察と専門的なアプローチを通じて、心的外傷の構造と回復プロセスを詳細に説明しています。 また、世界中の読者から感動をもって迎えられており、自己理解と回復への道を探求する人々にとって貴重な一冊です。

著者について

ジュディス・L・ハーマン
(Judith L. Herman)
Harvard Medical School(ハーヴァード大学医学大学院)精神医学教授。1980年代に仲間とつくった「犯罪被害者用プログラム」を拠点に、ハーマンは現在も犯罪被害者の治療、専門家育成、公立病院における被害者支援をつづけている。トラウマ(犯罪被害者)研究の第一人者であり、つねに変わらぬ実践家である。最初に世に送った著書が1981年に刊行された『父-娘近親姦』(Father Daughter Incest C・ライト・ミルズ賞)で、次が1992年刊の『心的外傷と回復』(Trauma and Recovery)。それから30年、2022年には『心的外傷と回復』の新増補版を刊行(本書)。80歳になった著者は2023年、これまでの経験と考えてきたことのすべてを書き下ろした第三作『真実と修復』(Truth and Repair  みすず書房近刊)を世に送った。
*ここに掲載する略歴は本書刊行時のものです。

中井久夫
(なかい・ひさお)
1934年奈良県生まれ。京都大学医学部卒業。神戸大学名誉教授。精神科医。文化功労者(2013年度)。2022年8月逝去。著書に『分裂病と人類』『精神科治療の覚書』『治療文化論』をはじめ、みすず書房からは『最終講義——分裂病私見』『西欧精神医学背景史』『徴候・記憶・外傷』、さらに『中井久夫集』(全11巻)ほか多数。精神医学関係の訳書でみすず書房刊のものでは、サリヴァン『現代精神医学の概念』『精神医学の臨床研究』『精神医学的面接』『精神医学は対人関係論である』『分裂病は人間的過程である』『サリヴァンの精神科セミナー』、バリント『一次愛と精神分析技法』(共訳)、ヤング『PTSDの医療人類学』(共訳)、『エランベルジェ著作集』(全3巻)、パトナム『解離』、カーディナー『戦争ストレスと神経症』(共訳)、クッファー他編『DSM-V研究行動計画』(共訳)などが刊行されている。
*ここに掲載する略歴は本書刊行時のものです。

阿部大樹
(あべ・だいじゅ)
1990年新潟県生まれ。新潟大学医学部卒業。精神科医。著書に『Forget it Not』『翻訳目錄』。訳書にサリヴァン『精神病理学私記』『個性という幻想』、ベネディクト『レイシズム』、ペリー『ヒッピーのはじまり』、スティーブンズ『月かげ』がある。
*ここに掲載する略歴は本書刊行時のものです。
 
個人の意志や自由を奪う「抑圧のメソッド」を用いるのは、カルト団体や虐待ばかいではない。
司法システムが抑圧を固定化しているのである。
性被害者申告の難しさ、不起訴の多さ、加害者の否認に晒されることなど、司法が実質的に冤罪の仕組みとして機能している。
回復のための指摘の多くは、いじめ対策にもあてはまる。
 
とりわけ加害者に対し、禁止だけでなく道徳の問題であることをわからせるという発想は、大きなヒントになる。
 
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