リオオリンピックアジア最終予選は、結局、なでしこは2勝1引き分け2敗の勝ち点7で3位に終わった。
なでしこというと2011年のワールドカップドイツ大会の優勝やロンドンオリンピックでの銀メダルなど、とにかく世界の女子サッカーをリードするような強さを
誇っていただけに、今回の結果はとても残念である。
初戦でオーストラリア戦を見たときに、過去のなでしこのサッカーの記憶とあまりに違うので驚いた。なでしこというと細かいパスワークで相手を崩していく
サッカーだったが、まずパスが正確につながらない。そして攻守の切り替えの遅さ。何をやりたいのかわからない戦術面での弱さ。とにかくあらゆる面で過
去のなでしこに比べて数段レベルが下がっているのだ。こんなに弱かったか!?と思わせるほどの出来の悪さで、しかもオーストラリアは身体能力も高く、
戦術的にも優れているのがすぐにわかった。なでしこのサッカーは研究されているのは当然だが、それよりもプレーの一つ一つのクオリティーが低い。
はっきり言ってこれでは負けて当然だと思った。
しかし、登録メンバー20人のうち、ドイツワールドカップのメンバーが14人も残っているのに、このプレーのレベルの低下は何なんだ?あまりにもヘタにな
っているじゃないか?と不思議な気持ちでオーストラリア戦を見ていた。正直言って、女子とは言え、プロのサッカーと言えるレベルではなく、男子の高校
サッカーでもボコボコにされるレベルだった。確かに一番強かったオーストラリアに最初に当たって負けて、そのまま立ち直れなかったという面はあると思
う。初戦がベトナム戦で大勝して波に乗れていたら違った展開もあり得たかもしれない。とは言え、プレーのクオリティーの低さ、連動性のなさ、戦術面で
のレベルの低さは明らかだった。中国戦での不用意なバックパスをさらわれての得点献上は、あまりにお粗末なプレーで、選手間のコミュニケーションが
不足しているのは明らかだった。
なでしこの平均年齢は27.1歳であり、28歳以上が11人もいる。オーストラリアは23.8歳、北朝鮮にいたっては20.7歳である。なでしこがいかに過
去の栄光を引きずったまま、世代交代をしないできたかがわかる。過去の経験を重視しての起用だったのだろうが、今回は経験がプラスには働かなかっ
た。北朝鮮戦でやっとなでしこらしいパスワークの崩しの片鱗が見えたものの、5戦を通じてなでしこは強いなと実感させた試合はなかった。ドイツのワー
ルドカップで優勝した時などは、男子顔負けのパスワークの素晴らしさで観客を魅了したものだが、その良さはほとんどなくなった。
これからなでしこは世代交代が急務になるし、新しい選手を発掘していく必要がある。かつてのパスサッカーで行くのか、新しいサッカースタイルを目指
すのかも大きな課題になってくるだろう。震災直後、日本中に希望を与えてくれたなでしこジャパンだが、ここに来て、個々のプレーヤーの見直しと、チー
ム全体の方向性を見直す時期に来ていることは確かだと思った。正直、「女子サッカーはつなまらいな・・・・・」と思わせるようなサッカーが続いたのは、残
念だった。