アロマテラピー学習ブログ

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参照。

食道

2008-04-02 09:50:22 | 排泄・解剖生理学(消化器系・泌尿器系)
食道(しょくどう、Esophagus)は、消化管の一部で、口腔、咽頭に続き、食物が胃に送り込まれるときに通過する管状の器官のこと。食道では、食物の消化は行われない。

食道の構造と機能
ヒトの食道は、成人で25~30 cm前後の長さがあり、頸部で喉頭の後ろ側ではじまり、胸部では気管支、大動脈弓などの後ろを通り、横隔膜(食道裂孔)を突き抜けて腹部に至る。横隔膜の下で胃の噴門とつながる。

食道には3箇所の生理的狭窄部がある。
咽頭との接合部、
気管支の後ろを通る部位、
横隔膜を抜ける部位
で、食物がよくつまるのはこれらの箇所である。

食道の壁は、内腔側から粘膜、筋層、外膜と分けることができる。粘膜は、口で咀嚼されたとはいえ、まだ形を保ったままの食物が通過することで傷つかないように、力学的に強い重層扁平上皮で構成されている。粘膜のすぐ下層にある多数の食道腺が粘膜の表面に粘液を分泌することで、食物の通りをよくするはたらきがある。筋層は2層構造をしており、内側の筋は輪走筋、外側の筋は縦走筋に相当するが、長軸方向に対して筋線維は垂直/平行ではなく、いずれも斜行している。これらが順に収縮することで食物を胃に送り出すような動きをする。これを蠕動運動という。また、他の消化器官と異なる特徴として、口に近い側の上部食道の筋は横紋筋で構成されているという点がある。なお、胃に近い側の下部食道の筋は他の消化器官同様、平滑筋で構成されている。ただし、ラットなどの他の哺乳類には、全長に渡って横紋筋で構成されているものもいる。これらの筋は、自律神経の働きで無意識下で収縮運動が起こる。「喉元過ぎて熱さを忘れる」の言葉どおり、食道の粘膜の感覚はあまり鋭敏ではない。

食塊を食道に送る際は、喉頭蓋・軟口蓋共に閉じる。

咽頭

2008-03-29 09:21:00 | 排泄・解剖生理学(消化器系・泌尿器系)
咽頭(いんとう)とは、脊索動物門固有の器官で、消化管の前部で口腔と食道の中間にあり、胚の時期には、両側壁にいくつかの咽頭嚢が前後に並んで発生する部分のことである。

鼻腔の奥から喉頭までの約12cmの管で、空気と食塊がクロスする所である。

※喉頭は気管へ続く空気の通り道で喉頭蓋や声門を含む箇所で、軟骨で取り囲まれている。

鼻腔から咽頭(あるいは喉頭)までを上気道、その下部から気管支までを下気道と言う。

尿道

2008-03-29 08:14:21 | 排泄・解剖生理学(消化器系・泌尿器系)
尿道(にょうどう)とは、哺乳類の泌尿器に分類される器官のひとつで、尿が、膀胱から体外へ排泄されるときに通る管のこと。男性の場合、膀胱の出口で、精管が接続されており、射精時には、精子を含む精液を運ぶ管でもあるので、生殖器でもある。

男性と女性とで、尿道の形状が大きく異なる。男性の場合、成人で10数 cmの長さがあり、湾曲していて細い。一方、女性の尿道は太く、ほぼまっすぐで長さは3~4 cmと、男性よりもかなり短い。これが、女性のほうが尿路感染症を起こしやすい原因であるといわれる。尿道には、膀胱を出たあと、尿道周囲の筋肉が発達して、内部の尿の通行を妨げる尿道括約筋がある。この筋は随意筋で、意識的に尿を我慢するときに用いられる。

尿道の壁の構造は、内側に、粘膜があり、その外に主に2層の平滑筋が存在するのが基本であるが、男性の尿道海綿体内では平滑筋層は明確ではない。尿道内部の壁の潤滑剤としての粘液を分泌する尿道腺と呼ばれる小型の分泌腺が多数存在し、尿道の内壁を湿らせている。内側の粘膜は、女性では、膀胱のごく近くでは、膀胱と同じ移行上皮であるが、それ以外のほとんどは重層扁平上皮である。一方、男性尿道では、膀胱の近くでは移行上皮、その後、前立腺内を通るときは前立腺の上皮と同様の多列円柱上皮となり、陰茎内では、独特の重層円柱上皮、亀頭部で重層扁平上皮と、様々に形を変える。

膀胱

2008-03-29 08:03:57 | 排泄・解剖生理学(消化器系・泌尿器系)
膀胱は、下腹部の骨盤内にある器官で、腎臓から送られてくる尿を一時的に溜める袋状の器官。前上部の膀胱尖(ぼうこうせん)と後下部の膀胱底と中間部の膀胱体の3部に区分される。膀胱壁は粘膜、筋層、漿膜(しょうまく)の3層からなる。粘膜には多くのしわが有り、膀胱床の膀胱三角は平滑である。尿が溜まっていない時は逆三角形型をしている。粘膜の上皮は、膀胱の伸び縮みにあわせることができる特殊な上皮になっていて、移行上皮という。

腎臓からの排出物は本来は消化管に放出される。その部分に発達した袋状の構造が膀胱である。したがって内胚葉起源である。ほ乳類では肛門と独立して新たに尿道が直接に体外に口を開くので、膀胱は消化管と独立する。

場所は、骨盤内器官としては体の一番前にあり、下腹部中央、恥骨結合の後ろにあり、男性は直腸の前に、女性は子宮と膣の前に位置する。左右の腎臓からの尿管でつながり、尿が送られてくる。 また、尿を外部に排出するために尿道がつながる。尿道への入口は膀胱頸部筋で閉じられる。



通常時は1時間あたり60mlの尿が腎臓から送られる。 膀胱総容積の4/5程度蓄積されると大脳に信号が送られ、尿意を感じる。 排尿時は腹圧を加えることで膀胱の筋肉が働いて内圧がかかり、膀胱壁の3層の平滑筋が収縮し、内尿道口にある膀胱括約筋が弛緩(しかん)すると 膀胱頸部筋が開放、排尿に至る。

基本構造は、平滑筋でできたほとんど筋肉の袋である。筋層は内側の空間にどれだけ尿がたまっているかにあわせてのびるので、膀胱全体の大きさもそれにつれて大きく変わる。

通常の膀胱の厚さは1.5cm程度だが、尿が蓄積されるにつれて薄くなる。 満タン時には3mmまで薄くなり、この場合まれに衝撃で破裂する事がある。

膀胱の容量は、成人で平均して500ml程度であるが、人によって、約250 - 600ml程度と、個人差が大きい。男女でみれば、どこでも立小便ができる男性と比べ、女性のほうが、普段から我慢することが多いため、容量も大きめである。体の大きさもあまり関係なく、小柄な女性でも1ℓ以上我慢できる人もいる(俗に「貴婦人膀胱」といわれる)。

腎臓

2008-03-29 07:57:40 | 排泄・解剖生理学(消化器系・泌尿器系)
腎臓は、泌尿器系の器官の一つ。 「肝腎」の言葉の通り、非常に重要な臓器の一つで、血液から老廃物や余分な水分の濾過及び排出(尿)、体液の恒常性の維持を主な役割とする。

形態と構造
ヒトの腎臓はソラマメの種子の様な形をしており、腹の裏側、横隔膜の下に一対ある。身体の右側には肝臓があるため、右腎は左腎よりやや(約1.5cm)低い位置にある。重さは約150g(ノート1冊分)で、縦約12cm、幅約6cm、厚さ約3cm。健康な人ならば、移植などで片方を失っても機能上問題は無い。 中央内側の部分はくぼんでおり、「腎門」と呼ばれる。ここには腎盂(腎盤)、腎動脈、腎静脈、輸尿管、リンパ管などが集まる。上部には副腎がある。

繊維状の部分が髄質(腎錐体)。髄質の外側に血管に富んだ顆粒状の皮質が広がる。髄質と皮質を合わせて腎実質と言う。髄質は本文中にある顕微鏡的構造であるネフロンの集合体。ネフロン中の糸球体は皮質に位置し、糸球体から発した腎細管(細尿管、尿細管ともいう)はいったん髄質中を腎中央に向かって進み、次に戻り、再度他の尿細管と集合しながら小腎杯に向かう。この折り返し部分で水や各種イオンを再吸収する。髄質に囲まれた空洞部分を小腎杯と呼び、小腎杯が集まって大腎杯に、大腎杯をあわせたものを腎盂(腎盤)と呼ぶ。腎盂はそのまま尿管、さらに膀胱へとつながっている。腎盂は尿を集めて尿管に送り出す。

組織学的には、ネフロンと呼ばれる機能単位からなり左右の腎臓それぞれ約120万個のネフロンを持つ。ネフロンはボーマン嚢と腎細管から構成されている。



尿生成と排泄
腎動脈から送られてきた血液は、毛細血管を経由して腎小体(マルピーギ小体)に入る。 蛋白質以外の血漿成分は一度ボーマン嚢中に濾過される。その量は通過血液の10%で、濾過された液体は「原尿」と呼ばれる尿の原料となる。原尿は1日約170リットル作られるが、尿となるのは1.5リットル程で、残りは全て再吸収される。

原尿のうち有効成分(全てのグルコース、95%の水および無機塩類)は腎細管を経由、残り4%の水・無機塩類は集合管を経由し、再吸収されて腎静脈に戻り、再び身体の血流にのる。残った成分(尿)は腎細管を経て腎盂に集まり、尿管を経由して膀胱に排出される。水やナトリウムの再吸収量の調節は、遠位尿細管や集合管で行われ、抗利尿ホルモン(ADH)やアルドステロン、ANPなどのホルモンが関与する。

再生しやすい尿細管に対し、糸球体は損傷しても再生しない為、機能不全や損傷に陥った場合は塩分及びカリウムの制限、人工透析が必要となる。現代人は腎臓に負荷を与える塩分摂取量が多いため、負荷がかかりやすく、知らず知らずのうちに腎臓にダメージを与えている場合がある。

小腸

2008-03-29 07:47:11 | 排泄・解剖生理学(消化器系・泌尿器系)
小腸は、消化管の一部で消化と吸収を行う。胃と大腸の間にあり、十二指腸(約30cm)、空腸(約250cm)、回腸(約350cm)からなり、全長は6m以上に達する。十二指腸は固定されているが、他の空腸・回腸はかなり自由に動く事ができる。肝臓からの胆汁や、すい臓からの酵素は十二指腸へ分泌され、消化反応の大部分はここで行われる。pHは十二指腸から回腸へと徐々に上がっていく。

小腸の粘膜は粘膜上皮、粘膜固有層、粘膜筋板で構成される。

小腸の内壁は輪状のひだになっており、その表面には数百万もの絨毛(栄養素を吸収する場所)と呼ばれる指状の突起があり、これが小腸の表面積を増大させている。これは柔突起とも呼ぶ。さらに、絨毛の表面には数千の微絨毛があり、さらに表面積を増やし、吸収効率を高める仕組みになっている。表面積はテニスコート2面分にあたる。一つの細胞からおよそ60000の微絨毛が突き出している。しかし絨毛の栄養分の入り口の大きさはとっても小さくわずか数ミクロンで、その入り口から入れたものだけが、血管・リンパにはいることができ、体の中に吸収され、栄養素の効果をだしていく。
この大きさに入れなかったものは、残念ながらそのまま大腸にいき排泄されてしまう。

腸内容の移送は主に縦走・輪走筋の蠕動運動によって行われる。

排尿の仕組みと疾病

2008-03-11 21:29:21 | 排泄・解剖生理学(消化器系・泌尿器系)
排尿のメカニズム
 尿の正体は、腎臓で濾過された体内の老廃物や余分な水分である。
 身体の各組織から不要物を受け取った血液は、腎臓に流れ込む。腎臓は左右の腰背部に1つずつあるそら豆形の臓器で、「握りこぶし」くらいの大きさ。
腎臓内には、糸球体と尿細管という濾過器官が、1つの腎臓に約100万個あり、血液はまず糸球体で濾過される。体に必要な血液成分や、体のエネルギー源であるタンパク質は除去されずに血液に戻り、筋肉を動かす時に使ったタンパク質の燃えカス、いわゆる老廃物や塩分、糖分、水分は濾過され、原尿となる。
 体に必要な成分を再吸収するため、原尿は尿細管でもう一度濾過され、体に不必要な塩分、水分、老廃物が、膀胱に送られて尿となる。
 1日につくられる尿の量は、約1000~2000ml。
 こうして腎臓でつくられた尿は左右の尿管を通って膀胱にためられる。
膀胱は「ゴム風船」のような臓器で、その容量は通常300~500ml。蓄尿している時、膀胱はふくらんでいますが、尿道は、水道の蛇口のようにしっかり閉じて出さないようにしている。
 尿が膀胱に150mlほど溜まってくると膀胱壁が刺激され、「おしっこをしたい」と感じる。尿意は脊髄をとおって排尿中枢に伝わり、大脳が出すか出さないかの判断を行う。排尿する準備が整うと、大脳が膀胱反射中枢に指令を出し、膀胱をしぼませて、反対に尿道はゆるませて尿を出す。膀胱と尿道は逆の働きをしながら、蓄尿と排尿のコントロールを行っている。

 男性と女性では排尿器官の構造が違うため、起きやすい障害や悩みも異なる。
 男性の尿道は約20cmで、女性にはない前立腺という臓器がある。前立腺は精液の一部をつくり、大きさはクルミ大。膀胱のすぐ下に位置し、尿道はその中心を貫くように通っている。
 前立腺は加齢とともに内腺にコブのようなものができ、大きくふくらんでくる。そのため、尿道を圧迫し、尿が出にくくなる(排尿困難)。これが「前立腺肥大症」である。現在では50歳以上の3、4人に1人が肥大しているといわれています。しかしながら、必ずしも症状を引き起こすとは限らず、排尿障害、頻尿などの問題が生じた場合を前立腺肥大症と呼びます。
 一方、女性の尿道は約3~4cm。男性の1/4の長さしかない。
 そのため、女性は外尿道括約筋の筋肉量が少なく、尿道を締める力が弱い構造になっている。
 尿道は、外尿道括約筋を含む骨盤底筋群という筋肉に取り囲まれている。
 骨盤底筋群は、下腹部の恥骨から尾骨にハンモック状に張られ、膀胱、膣、子宮、直腸などを支える働きをもち、尿道や膣、肛門を締める役割も果たしている。
 ところが、出産や肥満、運動不足などが原因でゆるむ傾向があり、その結果、膀胱が下がって尿道を締める力が正しく働かなくなるため、尿が漏れやすくなる。
 また、月経前や更年期、閉経後には女性ホルモンの影響で尿道が固くなったり、妊娠して子宮が大きくなると膀胱が圧迫されたりすることも、尿が漏れやすい原因になる。

 糖尿とは、尿中に糖が多量に存在する状態。
 血尿とは、尿に血液(赤血球)が混入すること。目で見て赤いかむしろ黒い尿を肉眼的血尿と言う。また目で見る限りは透明だが顕微鏡で見ると赤血球が認められる尿を顕微鏡的血尿と言う。つまり腎臓・尿管・膀胱・尿道と尿が流れていく路のどこかで赤血球が混じったということである。特に痛みのない場合には腎臓癌、尿管癌、膀胱癌、前立腺癌などの尿路系癌。痛みがある場合には腎結石・尿管結石などの尿路結石や腎盂炎・膀胱炎などの炎症性疾患が考えられる。その他には腎出血、腎臓下垂、慢性腎炎、腎機能低下症に伴う血尿などがあり 非常に幅が広く多岐にわたっている。生命の危険が考えられる尿路系癌、特に腎臓癌や前立腺癌の場合には早期での痛みはもちろん肉眼的血尿の出現はむしろ稀なため、潜血反応陽性と指摘された場合には慎重な対応が要求される。このため血尿(潜血)を指摘された方は、一度専門医できちんと検査を受けられるのが望ましい。
 混濁尿とは、①血尿、
       ②膿尿、白血球が存在する尿を膿尿と言う。腎盂腎炎や膀胱炎など尿路に炎症がある場合にみられる。①で述べた癌や結石があるために、二次的に引き起こされていることもある。なかなか良くならなかったり繰り返し炎症を起こしたりする場合には要注意。
       ③塩類尿、通常含まれる塩類の量が多い場合に混濁尿となることがある。尿路結石ができやすい人や脱水の時にみられる。また、血尿、膿尿と間違われることがよくある。これを指摘された方は水分を充分に取る習慣をつけるべきである。
       ④細菌尿、
       ⑤乳び尿などがある。
 多尿とは、1日の尿量が3l以上ある場合。水分などを再吸収する腎臓の機能 が低下するために尿量が増える。糖尿病に見られる。
 頻尿とは、排尿の回数の多いことであり、小用回数が増えることで、一度行ってもすぐにまた行きたくなる状態をさす。膀胱炎や前立腺肥大症に見られる。
 乏尿とは、1日の尿量が400mL以下の場合。結果的に腎機能低下を生じる程度に減少した尿量の状態と考えられる。
 無尿とは、1日の尿量が50~100ml以下の場合。急性腎炎などにみられる。急性腎不全の無尿期であることが多い。
 排尿痛とは、排尿の際に痛みを伴う状態のこと。排尿痛は、排尿の最初に痛みを伴う場合は、尿道炎が疑われ、排尿の最後に尿道がしみたり、下腹部痛を伴う場合は、膀胱炎が疑われる。また、長期にわたり下腹部の鈍痛が続く場合は、間質性膀胱炎などが疑われる。その他、カンジダによる皮膚炎・膣炎、接触性皮膚炎・外陰炎などが考えられる。

排泄の仕組みと疾病

2008-03-11 17:37:46 | 排泄・解剖生理学(消化器系・泌尿器系)
排便のメカニズムには自律神経が深く関与している。
 食べ物が胃に到達すると 胃がふくらみ、胃から大腸に信号が送られる。
                 ↓
 大腸が反射的に収縮し、便を直腸に送り出そうとする。胃が空だと、より強い刺激となって信号が送られるため、特に朝食後に強く起こる。【胃・大腸反射】
                 ↓
 便が直腸に到達すると 直腸の壁が刺激され、便が到着したという信号が大脳に送られて、便意がおこる。 結腸に信号が送られ、結腸は活発な運動を開始して、直腸へさらに便を送り込もうとする。【直腸・結腸反射 】
                ↓
 大脳は下腹部にいきむように命令を出す。
                ↓
 直腸が収縮して肛門括約筋がゆるみ、便が排出される。さらに、お腹に力を入れていきむことで腹圧が高まり、便の排出がスムーズになる。

肛門括約筋
 内肛門括約筋…いつも肛門をある一定の力で締めている筋肉。自律神経支配で不随意筋という自分の意思では緩めたり締めたりできない筋肉である。
 
 外肛門括約筋…皮下部、浅部、深部からなる筋肉で、内肛門括約筋を取り囲むようにあり、排便の際に締めたり、緩めたり自分で自由にできる筋肉(随意筋)である。

便秘
【症状・説明】
便秘とは、排泄される便が硬くて少なく、しかも便の出るのが以上に遅れている場合をいう。2~3日に1回、週に3回以上あれば許容範囲である。
 ふつうの便秘では、初期には苦痛が少なく、何日かたてば自然に排便がおこなわれる。しかし、次第に慢性化してくると、いろいろな自覚症状が現われてくる。
一般症状としては、食欲不振・肌荒れ・胸やけ・げっぷ・口臭・腹部膨満感・下痢部圧迫感・腹痛などがあらわれる。また、神経症状として、 頭痛・めまい・動悸・不眠・精神不安・疲れやすい・精神集中力や作業能 力の低下などがおこる。ときには発熱をみることもある。
 また便秘になると痔や高血圧をはじめ、色々な病気の悪くなる原因となる ので、適切な治療法で直すことが大切である。


便秘の種類
1)器質性便秘≪消化管の障害≫
■腸の炎症・閉塞などにより腸の通りが悪くなるために起こり、腹痛、吐き気などの症状が起きる場合(早めの検査と治療が必要)
■先天的な腸の長さや大きさの異常によって起きる場合
■直腸ポリープにより肛門の内圧が分散して起きる場合
  A)先天性
   巨大結腸症
   S状結腸過長症
  B)後天性
   特発性巨大結腸症・大腸がん・直腸がん・腸管癒着など

2)機能性便秘≪排便メカニズムの障害≫
  A)急性便秘
 ■便の成分になる食物繊維の摂取が少ない場合
 ■体内の水分不足により、便の水分が不足した場合
 ■環境の変化による身体的ストレスが生じた場合
 ■寝たきりのなどの状態のため、腸の運動そのものが低下し、腸内の便の滞留時間が長期化した場合
 ■薬剤の副作用
  B)慢性便秘
    a)弛緩性便秘:≪腹筋力の低下により全体的に便を送り出す力が弱まり腸の動きが悪くなる≫
     高齢者や妊娠経験者に多くあらわれる症状だが、もっとも多い便秘のタイプ。最近では、若い女性にも多く見られるようになってきた。内臓が下垂ぎみの人は、腸もたるみやすく、弛緩性便秘になりやすい傾向がある。また、便秘薬の常用者も、薬の刺激で便意を催させるため、ますます腸の機能が低下して、弛緩性便秘になることがある。激しい腹痛などの強い症状はめったに起こらないが、便秘が長く続くと腹部膨満・頭痛・肌荒れなどの不快な症状があらわれる。まずは腹筋を鍛えると同時に、食事において、食物繊維を多く摂ったり、善玉菌を増やして腸内環境を整えたりすることが大切である。
    b)直腸性(習慣性)便秘:≪便意を我慢するなどによる排便反射の鈍化≫
     長い間、腸内に溜まっている便は、水分が吸収されて硬くなっているので、コチコチの便が排泄される。直腸性便秘の人が、浣腸や便秘薬を使って直腸に強い刺激を与え続けるとますます悪化し、さらにひどくなると、痔で苦しんだり、大腸ガンを引き起こしたりする危険性もある。正しい排便習慣を取り戻すことが大事である。朝食をきちんととり、便意を感じたら、すぐにトイレに行くことを心がける。
    c)痙攣性便秘:≪過敏性大腸炎など自律神経の障害≫
     日頃のストレスや睡眠不足、自律神経のアンバランス、特に副交感神経の過緊張等により、腸が過敏に反応し、痙攣した状態になって便の通りが悪くなることで起こる便秘。便意があってもなかなか出すことができず、出たとしてもごく少量のコロコロとした硬い便という症状が特徴。ストレスの他にも、下剤の乱用によって発症したり、過敏性腸症候群の便秘型としてあらわれたりすることがある。痙攣性便秘の場合は、既にストレスで腸が荒れているため、食物繊維を摂ることは過剰な刺激となり、ますます便秘を悪化させる恐れがある。食物繊維と呼ばれるのはほとんどが不溶性食物繊維だが、水溶性食物繊維もあるので、食物繊維を摂取する場合は、昆布・わかめなどの海藻類やこんにゃくなどを摂取するようにする。そして原因となるストレスを解消するために、まずは過労や睡眠不足を避けて、できるだけリラックスできる方法を探すとよい。
    d)食事性便秘
     繊維の少ない食物を偏って食べていると、腸壁に適当な刺激がなくなって便秘することがある。また、食事の量が極端に少ない場合・水分不足も便秘になる。食物繊維の多い野菜果物を食べることで排便を促す。

3)症候性便秘

4)薬物性便秘

下痢
【症状・説明】
 水分がふつうの便よりもはるかに多く、液状に近い状態(約85%が水分 )になると下痢という。食べ物の消化と吸収は、小腸で行われ、水分は大腸で吸収されるが、その過程で何らかの原因で腸管の運動が以上に高まっているときに下痢が起こる。
 下痢が起こったときは、下痢便に血液が混じってないか(赤痢や腸チフス、腸炎ビブリオ性食中毒)、熱があるか(赤痢、腸炎ビブリオ性食中毒、サルモネラ食中毒など)、腹痛や吐き気があるかを確認することが大切である。こういう場合は緊急手当が必要な病気であることが多いので、すぐに医師の診察を受けるべきである。

 急性下痢…急性下痢は激しいときには1日に10数回も水瀉便が出ることがあり、体の水分が不足し、ときには脳貧血をおこして、便所でたおれてしまうこと もある。また、急性下痢はウイルスの感染性と非感染性に分類される。急性下痢は大腸菌、赤痢菌、腸炎ビブリオ性食中毒、ウイルスなどによっておこる急性の大腸の炎症(感染性下痢)や、食べ過ぎや水・アルコール の飲み過ぎ、寝冷などによる消化不良性(非感染性下痢)が原因となっておこる。

 慢性下痢…1日に1、2回の軟便があるという程度のものもあれば、ちょ っとしたことで下痢を起こすというものもある。また、下痢をしなくても、腹が鳴る、腹がはる、ガスが多い、年中便意を感じるということもある。 その他過敏性大腸炎(下痢と便秘を繰り返す様な症状)がある。慢性下痢は消化吸収障害、腸の慢性炎症、大腸粘膜の過敏、アレルギー性下痢などのたくさん原因がある。これらの原因が重なりあって起こることが多い。

乳糖不耐症(にゅうとうふたいしょう)消化器系統で乳糖の消化酵素(ラクターゼ)が減少して生じる不耐に関する諸症状もある。

【対策】
 下痢の予防には、食べ過ぎや飲み過ぎを避けるなど、日頃の食事に気を付ける事が必要だが、下痢を起してしまったら、早めに治す事が大切である。その時回復の助けとなるのが、抗菌作用や整腸作用のある梅やハチミツ、ニンニクといった身近な食べ物である。
 また、「おなかの調子を整える」働き で知られている『オリゴ糖』は、腸内細菌の善玉菌を増やし、悪玉菌を減らす作用により下痢に効果的といわれている。
 下痢による脱水症状を防ぐために、緑茶やスープなど温かい水分を摂る事も必要である。
 下痢がおさまった後は、半日か1日ほど絶食をして、 消化の良いおも湯やおかゆなどの流動食から始めるようにする。2~3日は、腸内細菌はまだ整っていないので油の強いもの、香辛料の強いもの、アルコールは避けること。