Tomotubby’s Travel Blog

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学習院大学ピラミッド校舎「ウルトラセブン 第29話」

2008-01-14 | 映画・ロケ地訪問
「東京で味わう昭和」その1(目白)は、最近アップが途絶えているロケ地訪問です。

年末に惜しまれて解散したゴールデンファイブ、ヴォーカルのナカムラシノさんのブログで知りました。1960年、さるやんごとなきお方がお生まれになった年に、前川國男設計で学習院大学構内に建てられた中央教室、通称「ピラミッド校舎」、略して「ピラ校」が壊されることを。円錐角錐愛好家の血が騒ぎました。13日はピラ校内部のご開陳に加え、ピラ校がロケ地として登場する1968年「ウルトラセブン」の第29話「ひとりぼっちの地球人」の上映会もあるのです。



で、13日に行ってきました。ピラ校に入ったら館内は既に立ち見状態。学習院卒業生や建築ファンのほか、特撮オタクが多そうです。壇上ではセブン第29話を監督した満田かずほさんが挨拶されていました。「のぎへん」に「斉」で「穧」と書いて「かずほ」と読むそうですが、漢字変換しても出てきません。だからといって演台の招待客の名前が「満田禾斉」なのは如何なものか? 満田氏がセブン撮影時に雪が積もったエピソードなどを話した後でセブン上映。

学習院大学は京南大学という名に変えられてはいるけど(冒頭では満田監督母校の早稲田の時計搭が出てきたりもするけど)、ピラ校は全編繰り返して現れ、この回の主役と言ってもいいくらい存在感がありました。ドラマは、多岐川裕美の元旦那で、Tomotubby も見たことのある鹿児島県霧島犬飼の滝で昨年のゴールデンウィークに自殺していたソガ隊員に、京南大学生の南部冴子さんというフィアンセがいたというおノロケ話から始まります。

驚いたことに、その京南大学が教育機関として初めて科学観測衛星の打ち上げに成功したというのです。一介の私立大学が衛星を打ち上げられるほど財力があるようにも思えませんが、やはり宮内庁から補助金が出ているのかもしれません。そして衛星打ち上げの中心人物である物理学科の丹羽教授は、実は地球侵略のため観測の名目で地球防衛軍のヒミツ情報を収集している宇宙間諜プロテ星人なのでした。なるほど、プロテ星が資金援助をしているのかも。丹羽教授を怪しんだウルトラ警備隊は、大学の潜入捜査のため、フィアンセがいるという単純な理由からソガ隊員を選んで送り込み、ソガ隊員は民間人の冴子さんに協力を求めます。

ソガ隊員は単身で教授に迫り、きさま宇宙人だろう?と問い詰めるあまりに無謀な作戦を決行した結果、逆に金縛り光線を浴びせられ拉致され、宇宙衛星までテレポーテーションされ、おまけに自白強要椅子に縛りつけられてジェンキンスさんとの恥しい過去をぺらぺらと喋らされてしまうのでした。一方、冴子さんは身を挺して丹羽教授の助手である宮様、一ノ宮殿下から教授が宇宙人であるという証言を得るのですが、殿下はかつて日本物理学会や応用物理学会で無視された自分の学説を認め衛星に採用してくれた丹羽教授を尊敬しているのでした。

追い詰められた教授は、地球脱出を前に、自分もいっしょに連れて行って欲しいとせがむ一ノ宮殿下に対して、プロテ星人のヒミツの地球侵略計画を話してこれを拒絶します。ここで満を持してモロボシダン=ウルトラセブンが夜の大学に乗り込み、目玉焼き顔の正体を顕したプロテ星人と、ともに巨大化して闇夜で一騎打ち。初っ端からセブンがよろめいてピラ校に体当たりして、校舎が見事に崩壊してしまうシーンには場内失笑。満田監督も話していましたが、ミニチュアといえど自分の今いる建物がスクリーン上で壊れてしまうのを見るのは奇妙な体験でした。セブンはプロテ星人の幻影に惑わされて終始大苦戦でした。この宇宙人、なかなかの知性派です。


結局、プロテ星人を倒したのは、地球侵略の意思を聴かされ、これを阻止すべく動いた一ノ宮殿下でした。最初、題名の「ひとりぼっちの地球人」とは地球人に化けた教授のことかと思いましたが、殿下のことだったのです。プロテ星人が一人用のテレポーテーション装置に乗ってまさに空間移動しようとしているときに、一ノ宮殿下が装置に飛び移ったため装置は壊れてしまい、殿下のお体はプロテ星人とともに四次元空間に散ってしまったのでした。もしかすると「蠅男の恐怖」のようなことになっているやもしれません。

壮絶な戦いのうちに拉致されたソガ隊員のことを忘れていましたが、セブンは忘れていませんでした。ソガ隊員が乗せられている衛星を回収に来たプロテ星人の円盤から衛星を無事奪回。円盤はウルトラ警備隊が撃墜。こうして一人の宮様の犠牲によって学習院大学に平和が甦り、ソガさんは無事佐渡ガ島に戻ることができたのでした。壊されたピラ校は、最後のシーンで何も無かったかの如くに甦っていました。ここで場内再び失笑。きっと当時の浩宮殿下のご入学に合わせて建て直したに違いありません。聞くところによると冷暖房がないのが、今回ピラ校を壊す理由らしいのですが、同じ設計でもう一度冷暖房完備のものを建て直してもらいたかったです。ぐすん。



上映後に満田監督への質問の時間が取られ、〆は監督の号令のもと参加者一同右腕を突き上げて「シュワッチ」をやりました。でも「シュワッチ」はウルトラセブンじゃなくてウルトラマンの専売特許なのでした。終了後も見学者たちは立ち去ることなく、写真撮影をしたり、監督にサインを求めて列を作っていました。屋外でもピラ校の写真を撮りました。ピラミッドといえども、頂点が入口側に偏心していることが判ります。前川國男はピラ校の周りの校舎(北1号館、南2号館)や大学図書館の設計も行っており、南2号館の屋上には、にょっきり円錐が建っていました。

つづく

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ウルトラセブンに登場の「ピラミッド」、さようなら
2008年1月4日23時32分

学習院大(東京都豊島区)のシンボルで、人気テレビ番組のウルトラセブンにも登場したこともある通称「ピラミッド校舎」が今月、老朽化などに伴って取り壊されることになった。同大は解体を前に12、13の両日に見学会を開き、内部を一般公開する。

「ピラ校」と略称で呼ばれる校舎の正式名称は「中央教室」。一辺の長さ約30メートル、高さ約25メートルの四角錐だ。モダニズム建築の先駆者と称される建築家・前川國男氏の建築設計事務所が設計し、60年に完成した。

68年放送のウルトラセブンの第29話「ひとりぼっちの地球人」では、京南大学という架空の大学の建物として登場。地球侵略をたくらむプロテ星人とウルトラセブンが戦うシーンでは、セブンが過ってピラ校のミニチュアに体当たりし、壊してしまう場面もあった。

内部は約700人を収容できる教室で、映写室も備える。しかし築後47年を経て耐震、防水工事などに多額の費用がかかるうえ、暖房設備もないなど授業に不向きだとして解体が決まった。

3月ごろまでかけて解体し、跡地には地下1階、地上11階建ての「中央教育研究棟」(仮称)を夏にも着工する。法科大学院の教員研究室や演習室、外国語教育研究センターなどが入る予定。ピラ校の外観を受け継ぐ「ピラミッド広場」も設ける計画だ。

見学会は12日が午後0時半~同3時半、13日が午前9時半~午後3時半。事前申し込みは不要。13日午前11時と午後2時には、ウルトラセブン第29話を監督した円谷プロダクション顧問の満田穧(かずほ)さん(70)を招き、第29話の上映会とトークショーをピラ校の内部で行う。入場無料。


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4 コメント

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すばらしきレポート! (TG5 シノ)
2008-01-14 13:31:29
ピラ校いらっしゃったのですね!私は行けなかったのですが、このレポートが拝見できて良かったです!!

私が通っていた頃は、ピラ校ではあまり人気のある授業が行われていなかったのか、いつも閑散としていた印象が。なので冬の寒さが半端じゃなく・・・。

最後に立ち見がでるほどの人が集まるなんて。うわ~ん、やっぱり壊さないで~!!
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寒く無かったです (tomotubby)
2008-01-14 15:58:55
校舎内に七、八百人は入っていたそうで、おかけで寒く無かったです。ダウン着込んで行ったので、暑いくらいでした。集まった人のスペックは別として、最後にこんなに多くの人が集まってイベントができたのも、セブンのおかげでしょう。ソガ隊員が草葉の陰で壊さんでくれ。と泣いているような気がしました。

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ピラミッド校舎 (giants-55)
2008-01-26 15:54:56
書き込み有難う御座いました。(事前承諾無しに、貴記事をリンクしてしまって申し訳在りませんでした^^;。)

初めて訪れた場所なのに、何故か前に来た様な気がする。「デジャビュかな?」と思いつつ調べてみると、実は其処が昔見た特撮番組で使われていた場所だった。そんな経験が過去に2度在ります。セブンに登場したあのピラミッド状の建物が、よもや学習院内に在ったとは・・・全く知りませんでした。取り壊されてしまうというのは残念ですね。

思えば自分が夢中になって特撮物を見ていた幼年期は、最早四半世紀を軽く超えている訳で、ロケ先の建物も“寿命”が尽き始めていてもおかしくないんですよね。嗚呼、昭和は彼方になりにけり・・・。
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giants-55様 (tomotubby)
2008-01-27 02:27:32
リンクフリーなのでいくらでもどうぞ。

「ウルトラセブン」第12話「遊星より愛をこめて」に
世田谷区砧にあった「百窓」という奇妙な建物が
写っていたそうですが、建物は既に取り壊されています。

おまけに第12話の方まで封印されているため、見ることができない現状です。ひし美ゆり子さん曰く、円谷プロの出資者が変わったので第12話の封印が解ける可能性もあるとのことで、「百窓」見たさに期待しています。
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