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「この店、入りにくかったでしょう。よくおいで下さいました」「旅館や病院に間違えられるんですよ」「店主が他の店みたいに派手にするのを嫌がるもので...」
扉の向こうで迎えてくれたのは、年配の二人のおばさんでした。旅館のようなお勘定台の前には町医者にあるような待合スペースがありますが、待つ客はおらず、すぐに部屋に案内してもらいました。
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部屋の配置を解説しましょう。建物玄関の左側に入口のドアがあり、その左の窓の後ろが待合スペースで、その奥がお勘定台と広々としたスタッフ・オンリーのスペースがあります。玄関正面のちょうど後ろ側には二階に上がる木の階段があるのでした。通された部屋は、階段を挟んで、お勘定台の反対側に当たる、建物正面から見ると左側の窓際の場所にある、少し薄暗い一室でした。
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今は床が張ってありますが、昔ここは畳の部屋だったのでしょう。部屋には立派な床の間があり、大きな円卓が三卓ありました。予想に反して (失礼) そのうち二つの卓で先客が食事中でした。どちらも二人連れで「麺類・炒飯」の類を食べていたようで、今まさに食事を終えようとしていました。
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おばさんがお茶とメニューを持ってきてくれました。お茶はお茶瓶に入った日本茶でした。メニューに出ている一品料理はかなりの数があるのですが、どれもこれも大人数を想定したもののようで、いちばん分量の少ないものでも、一皿で二、三千円はざらなのでした。玄関の壁に架かっていた「麺類・炒飯もございます」の札の真の意味が判ったような気がしました。
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一品料理は諦めざるを得ず、かといって「麺類・炒飯」だけで済ませるのも嫌だったので、「食べ切れなかったら持ち帰れるよう包んであげるから」と言うおばさんの薦めに従い、思い切って「コース料理(2名様分より承ります)」に挑戦することにしました。一番安い 4,000円 (税・サ抜き) のコースのメニューがどんなだったかというと...
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1 「冷署x盆」前菜 盛り合わせ
2 「粟米湯」コーンスープ
3 「肉多士、銀包鶏」挽肉トースト揚げ、鶏肉銀紙包み揚げ
4 「乾焼蝦仁」芝海老チリソース
5 「炒鶏丁」鶏肉と野菜の炒め
6 「宮保茄子」茄子の揚物 唐辛子炒め
7 「古老肉」スブタ
8 「白飯・障纃リ、點心・水果」白飯・新香、デザート・フルーツ
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どれもこれもいたってオーソドックスな、少し甘めの、お子様でもOKな、くせのない味でした。ここでは、三世代の大家族が店に訪れて、大皿の一品料理をたくさん注文して食べるのが適しているような気がしました。横浜中華街というより、どこかの地方都市で食べる高級北京料理という感じかな。
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ワタクシ、この中で食べたことのない味は、6の「宮保茄子」くらいでした。一見、大学芋にも見えますが、揚げた茄子を唐辛子やニンニクなどと甘辛く炒めたもので、これが美味しくて気に入ってしまいました。
おばさん曰く「置いておくとシナーとするから、これだけは持ち帰らないで、早い目に全部食べてしまったほうがいい」とのことで、しっかり完食しました。
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これだけ全部食べて 4,000円(税・サ抜き)というのは、ある意味お得なのかもしれないです。気になってはいるけれど、「安楽園」の店先で何度となく入店を躊躇してきた方、あなたには、扉を「叩けよ。さらば開かれん」と新約聖書の言葉を献じることにしましょう。