ここまでほぼ一年、マティスの描いた「金魚」を中心に、脱線しながらも「旅」を続けてきました。当初8点しかない。と思いこんでいた油絵のうち、以下の5点は既に紹介しました。参考までに題名の前にマティスが絵を描いた順番を①、②、③と示しました。
②「金魚と彫刻」 1912年 ニューヨーク近代美術館
④「金魚」 1912年 プーシキン美術館
⑤「テラスのゾラ」 1912年 プーシキン美術館
⑥「アラブのカフェ」 1913年 エルミタージュ美術館
⑧「金魚とパレット」 1914~1915年 ニューヨーク近代美術館
あとの3枚が、どんな絵か?
というと、まず1912年に描かれた②のニューヨーク近代美術館所蔵作品と同時期に、パリ郊外のイシー・レ・ムリノーのアトリエで描かれた同じモチーフの絵が二枚。三枚のうち最初に描かれたのが、コペンハーゲンにあるもので、この絵はポンピドゥーセンターにおける大回顧展に出展されていたので図録をパチリ。コペンハーゲン国立美術館というと、「
緑の筋のあるマティス夫人の肖像」を所有していることで有名です。
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①「金魚」 1912年 コペンハーゲン国立美術館
二枚目に描かれたのが、②のニューヨーク近代美術館のもので、三枚目がバーンズ財団所有。この絵は「バーンズ・コレクション展」で日本にも来ています。コレクションゆえに画集ではあまりお目にかかれないのが残念ですが、マティス最重要作の一点だと思います。
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③「金魚のいる室内」 1912年 バーンズ・コレクション
そして、⑧のニューヨーク近代美術館のもう一枚と同時期に、サン・ミッシェル河岸のアトリエに移った後に描かれた、パリ・ポンピドゥーセンター所蔵の一点。2年前日本で開催された「マティス展」にも出展されていました。こんなに沢山描かれた「金魚」の中で唯一フランスに留まった作品でもあります。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/62/ee/d5988b2f17d5cffb84e3f31bb7037ced.jpg)
⑦「金魚鉢のある室内」 1914年 ポンピドゥーセンター
これらのほかに、ニース時代に描かれた同じ構図の2点、さらにメトロポリタン美術館所蔵の絵が見つかり、計11点になりました。
⑨「水槽の前の女」 1921年 バーンズ・コレクション
⑪「水槽の前の女」 1921~23年 The Art Institute of Chicago
⑩「金魚鉢」 1921~22年 メトロポリタン美術館
つづく