前回の「オクトパス・マシン」の続き...
毎晩テレビで「世界の車窓から」を視ています。鉄道に乗って世界各地を回るという主旨の番組ですが、ここのところずっとイタリアの鉄道が取り上げられていまして、イタリアを旅行する場合はいつも鉄道を利用している私にとっては興味津々です。先週まではシチリア島を特集していました。シチリア島はイタリア本土と陸続きでないため、本土からやって来た列車はレッジョ・ディ・カラブリアの港で短く切り離されて線路の付いた大型フェリーに乗せられ、対岸のメッシーナへ運ばれるのです。番組ではこのフェリー積み込みの場面が映されていました。メッシーナに着いた列車はタオルミーナに停車してから、ヨーロッパ最大規模の活火山エトナ山を車窓に眺めながらシチリア第二の都市カターニャに向かいます。
何年か前にマルタを旅行した際に、ミラノからマルタへの直行便に空席が無くてシチリア・カターニャ経由、それも夜に着くため当地で一泊せざるを得なくなりました。どうせならもう少し予定を延ばしてかねてより憧れていたグラン・ブルー、タオルミーナにも行ってみよう!ということになり、ホテルリスト片手にタオルミーナに電話をかけまくりました。ところが、ホテルの部屋は悉く予約がいっぱい。困り果てていたら、カターニャで泊まったホテルのおじさんから、ここにかけてごらん。きっと空いているから。と教えてもらった「Mediterranean」という名のホテルに電話してみたところ、ずばり的中、奇跡的に空室が見つかりました。それも最上階の眺めのいい部屋ということでした。そうして「世界の車窓から」とは逆に、カターニャ中央駅から列車に乗ってタオルミーナに出かけたのでした。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/49/76/37672ada9fa3369572bf4bf384f0e559.jpg)
タオルミーナでの楽しい思い出話については改めて書くとして、上の写真はタオルミーナで買ったシチリアの木彫りのおみやげです。「トリナクリア」または「トリスケル」、日本語では「三脚巴紋」といって、シチリア州の旗の中央にも描かれているシチリアの紋章で、島を旅するとよく見かけます。古代、シチリア島がギリシア植民地だった時代、この三角形の島は「トリナクリア島」つまり「三つの岬の島」と呼ばれていました。三つの岬とは、上述のメッシーナ、シラクーサ近くのパキーノ、島の西端のマルサーラになります。島の形を擬人化した紋章は、中央に太陽神(もしくはメドゥーサ)があり、顔からは三方に裸の足が突き出て、膝を曲げて左の方向に走っています。なんか変てこですが、憎めない。同じイタリア発の未来派 Giacomo Balla は案外「トリナクリア」をヒントにして、あの「鎖に繋がれた犬のダイナミズム」を描いたのかもしれない。これ新説。
で、「オクトパス・マシン」なんですが、どこかしら「トリナクリア」と似ていませんか。さしずめ「オクトスケル」「八脚巴」というところかな。
余談ですが、この紋章とよく似たものが、シチリアから遠く離れたマン島でも使われています。マン島はグレートブリテンとアイルランドの間のアイリッシュ海の中央に位置する小島でオートバイレースで有名。こちらの紋章は「トリスケリオン」と呼ばれ、シチリアのものと違うのは、中央に顔はなく、足は鎧がつけられ、踵には滑車まであることです。(つづく)
毎晩テレビで「世界の車窓から」を視ています。鉄道に乗って世界各地を回るという主旨の番組ですが、ここのところずっとイタリアの鉄道が取り上げられていまして、イタリアを旅行する場合はいつも鉄道を利用している私にとっては興味津々です。先週まではシチリア島を特集していました。シチリア島はイタリア本土と陸続きでないため、本土からやって来た列車はレッジョ・ディ・カラブリアの港で短く切り離されて線路の付いた大型フェリーに乗せられ、対岸のメッシーナへ運ばれるのです。番組ではこのフェリー積み込みの場面が映されていました。メッシーナに着いた列車はタオルミーナに停車してから、ヨーロッパ最大規模の活火山エトナ山を車窓に眺めながらシチリア第二の都市カターニャに向かいます。
何年か前にマルタを旅行した際に、ミラノからマルタへの直行便に空席が無くてシチリア・カターニャ経由、それも夜に着くため当地で一泊せざるを得なくなりました。どうせならもう少し予定を延ばしてかねてより憧れていたグラン・ブルー、タオルミーナにも行ってみよう!ということになり、ホテルリスト片手にタオルミーナに電話をかけまくりました。ところが、ホテルの部屋は悉く予約がいっぱい。困り果てていたら、カターニャで泊まったホテルのおじさんから、ここにかけてごらん。きっと空いているから。と教えてもらった「Mediterranean」という名のホテルに電話してみたところ、ずばり的中、奇跡的に空室が見つかりました。それも最上階の眺めのいい部屋ということでした。そうして「世界の車窓から」とは逆に、カターニャ中央駅から列車に乗ってタオルミーナに出かけたのでした。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/49/76/37672ada9fa3369572bf4bf384f0e559.jpg)
タオルミーナでの楽しい思い出話については改めて書くとして、上の写真はタオルミーナで買ったシチリアの木彫りのおみやげです。「トリナクリア」または「トリスケル」、日本語では「三脚巴紋」といって、シチリア州の旗の中央にも描かれているシチリアの紋章で、島を旅するとよく見かけます。古代、シチリア島がギリシア植民地だった時代、この三角形の島は「トリナクリア島」つまり「三つの岬の島」と呼ばれていました。三つの岬とは、上述のメッシーナ、シラクーサ近くのパキーノ、島の西端のマルサーラになります。島の形を擬人化した紋章は、中央に太陽神(もしくはメドゥーサ)があり、顔からは三方に裸の足が突き出て、膝を曲げて左の方向に走っています。なんか変てこですが、憎めない。同じイタリア発の未来派 Giacomo Balla は案外「トリナクリア」をヒントにして、あの「鎖に繋がれた犬のダイナミズム」を描いたのかもしれない。これ新説。
で、「オクトパス・マシン」なんですが、どこかしら「トリナクリア」と似ていませんか。さしずめ「オクトスケル」「八脚巴」というところかな。
余談ですが、この紋章とよく似たものが、シチリアから遠く離れたマン島でも使われています。マン島はグレートブリテンとアイルランドの間のアイリッシュ海の中央に位置する小島でオートバイレースで有名。こちらの紋章は「トリスケリオン」と呼ばれ、シチリアのものと違うのは、中央に顔はなく、足は鎧がつけられ、踵には滑車まであることです。(つづく)