房総沖「スロースリップ」観測は大地震の前兆か
南米チリで発生したマグニチュード(M)8・2の巨大地震。日本にまで津波が到達するすさまじさだったが、その日本でも見逃せない現象が起きている。房総半島沖の海底で今年1月、地下プレートの境界がゆっくりとずれ動く「スロースリップ」と呼ばれる地殻変動が観測されたのだ。専門家は、地震の発生間隔とスロースリップとの関連を分析した結果、房総半島沖で1年以内にM6・5前後の地震が起きる可能性が高いと指摘。東日本大震災の直前にスロースリップが観測されたとの報告もあり、巨大地震の前兆現象としても注目されている。
「ゆっくり地震」とも呼ばれるスロースリップ。プレート境界や地下の断層が、通常の地震よりもはるかに遅い速度で長い時間をかけてずれ動く現象で、周辺でひずみがたまることから、地震が起こりやすくなるとされている。
房総半島沖で確認されたのは、今年1月2日ごろから10日にかけて。南北方向に最大15センチの滑りが観測された。通常この地域の海底は北西方向に動いているが、力を蓄積させたプレート境界面がすべって、反対方向の南東に動いたとみられている。
阪神淡路大震災(1995年)を契機に全国にGPSが設置され、存在が初めて確認されたスロースリップ現象。地震との関連を研究している東海大学海洋研究所教授で、地震予知研究センター長の長尾年恭氏はこう話す。
「房総半島沖ではスロースリップ現象が繰り返されていて、GPS実用化前のものも含めると、(1)71年5月(2)77年6月(3)83年4月(4)90年12月(5)96年5月(6)2002年10月(7)07年8月(8)11年10月(9)14年1月と起きている」
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