昨年傾き発覚の横浜西区 住友不動産のマンション、建て替え方針も合意進まず
「パークスクエア三ツ沢公園」(住友不動産、熊谷組)
横浜駅を見下ろす高台に立つ横浜市西区のマンション。抜群の利便性と眺望の良さが売りだったこのマンションでも昨年、施工ミスによる傾きが発覚した。それから1年4カ月。傾いた棟の住民の転居は完了したが、建て替えはいまだに決まっていない。補償問題の解決も見通せず、長期化の様相を呈している。
「なぜ、われわれのマンションは全棟建て替えではないのか」。西区のマンションに住む50代男性は不満をぶちまける。
このマンションは住友不動産が平成15年に販売。その後、住民が手すりのずれを発見したが、施工会社は「地震による影響」と説明していた。ずれはさらに広がり、管理組合が25年に同社に調査を申し入れ、同社が第三者による調査を行った結果、全5棟のマンションのうち、くいが強固な地盤に達していない施工ミスで1棟が傾き、その他の3棟でも未達のくいがあることが判明した。
事業主の住友不動産(東京)は傾いた棟のみの建て替え方針を提示したが、「(他の3棟は)基本的に補修で対応する」といい、住民間に不公平感が広がっている。
傾いた棟については、住友不動産が移転費用を全額負担し、すでに全世帯に当たる約60戸の転居が完了。建て替えを待つばかりだが、進捗(しんちょく)していない。
区分所有法では、建て替えには全棟の区分所有者と議決権の5分の4以上の同意が必要。傾いている1棟の住民は建て替えに前向きだが、他棟の住民からは「1棟建て替えを先行すれば、他棟の対応は後回しにされてしまう」と異論が噴出しているという。
横浜市都筑区のマンション傾斜問題では、事業主が全棟建て替えを提案。「1棟建て替え」を中心にした住友不動産の提案に「見劣りする」との見方も広がっているが、別の50代男性会社員は「補修で安全性が確保できるならそれでも良い」と話すなど、意見集約に向けたハードルは高い。
平成17年に発覚した耐震偽装事件では、約10件のマンションが建て替え対象となったが、全ての建て替えに6年ほどを要しており、横浜市のマンションの建て替えに向けた住民合意の形成でも難航が予想される。
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