地方公務員はすべて非正規にしろよ! 年金はいますぐ廃止!
収入の7割を召し上げ、生き地獄の時代へ突入 -2040年の日本
これから日本は急速な「生産年齢人口の減少」「後期高齢者の増加」の時代を迎える。そうしたなかで一体どういったことが起きるのか? 社会保障給付費の負担増にともなう現役世代の苦しい生活の姿が垣間見えてくる。
これから40年までのビジネスマンの生活を考えていくうえで、大きな影響を及ぼしてくるものは何かというと、やはり年金、医療、介護などの社会保障費の給付が急速に膨らむことにともなう負担の増加である。
80年度にまだ24兆8000億円だった社会保障給付費は、10年度に103兆5000億円と100兆円の大台を突破し、12年度の予算ベースでは109兆5000億円に達した。
「今後は毎年1兆円ずつ増えていく」とアナウンスされ、その財源確保で消費税を14年4月から3%、翌15年10月からは2%引き上げることが予定されている。しかし、社会保障制度に詳しい学習院大学経済学部教授の鈴木亘さんは「焼け石に水だ」と指摘し、その理由を次のように語る。
「毎年1兆円の増加という数字は、あくまでも国の財政負担分だけ。そのほか地方の財政負担分と、国民が保険料として負担している分を合わせると毎年3兆~4兆円ずつ増えていきます。消費税が5%引き上げられることで約13兆5000億円の財源が確保され、それを社会保障給付に充てる予定ですが、社会保障給付費の伸びが急で、数年のうちに財源不足に陥るでしょう」
仮に現在の社会保障の水準を維持したまま、政府が公約に掲げている20年時点でのプライマリー・バランス(基礎的財政収支)の黒字化達成と、その後の維持・継続を行うとしたら、どのくらいの消費税率にする必要があるか、鈴木さんが自らの試算や各シンクタンクの予測値をまとめてみると、25年で20~25%、50年には30~40%という数字に集約されたそうだ。
もし、そうなったとすると、国民所得に占める租税負担と社会保障負担の割合を示した国民負担率も一気に上昇していく。鈴木さんの推計によると11年度に38.8%だった国民負担率は、25年に52.1%となり、50年には71.3%にまで達する。「収入の7割強を税金や社会保険料にとられてしまったら、国民の生活はさながら“生き地獄”のような状況に陥るでしょう」という鈴木さんの話に、あなたは耳を塞いでしまうのだろうか。
年金・医療や雇用の問題に詳しい前出のみずほ総合研究所の堀江さんも「主要先進国の年金の支給開始年齢は、米国が27年までに67歳へ、ドイツが29年までに同じく67歳へ、さらに英国が46年までに68歳への引き上げを決めています。税金や保険料を負担する現役世代の負担増を考えると、日本においても支給開始年齢の引き上げはやむをえないでしょう」という。
こうしたなか、持続可能な社会保障システムを構築しながら、今後30年間、日本経済がどう変わっていくのかを展望したのが大和総研だ。レポートの取りまとめの中心メンバーを務めた鈴木準主席研究員が、改革シナリオの概要について教えてくれた。
「65歳の年金の支給開始年齢の引き上げを20年度に前倒しし、31年度からは69歳支給にする一方で、70歳以上の医療費の自己負担割合を17年度から2割に引き上げます。そして、30年代初頭に消費税が20%になることを前提にシミュレーションしたのですが、それでもプライマリー・バランスの対GDP比はマイナスでした。そこで、マクロ経済スライドの強化を行い、現役世代の手取り収入に対する公的年金の支給水準を政府公約の5割から4割へ引き下げることや、私的年金の整備・活用なども追加した厳しい『超改革シナリオ』を想定しました」
その結果、プライマリー・バランスの対GDP比はようやく30年代に入ってからプラスに転じる見通しとなった。しかし、オーソドックスに予測した「ベースシナリオ」の実質GDPの平均成長率が、10年代=1.5%、20年代=1.5%、30年代=1.0%であったのに対して、超改革シナリオをとった場合には、おのおの0.3%、0.1%、0.1%ずつ押し下げ要因に働くという。