夢音(ゆのん)~風のおるごーる~ atelier JUNON

~想いをかたちにするために~
天然木を使った、オルゴール作家

不思議な耳を持つ妖精

2022-09-15 19:45:48 | つれづれ
不思議な耳を持つ妖精がいて

少女のところにやってきました。

少女はある悩みが原因で

1時間に一度目を覚ましておりました。

その心配事を誰にも言えずに

少女は黙って日々の仕事をしておりました。

木の上から黙って見ていた妖精は

毎日少女の心の声を聞いていたのでした。

妖精は笑いながら近づいてきて

少女に言いました。

「案ずることはない。」

彼女の心の中を全て見通したように妖精はいろんな事を対処してくれたのでありました。

少女はちょっとこらえていた様々なことを

キュッと心を引き締めて毎日過ごしてましたが

彼の言葉を聞いて

ふっと楽になり、涙が止まらなくなったのでありました。


彼女のこれまでの人生の中で

このように心を読み

答えを導いてくれる妖精に出会ったのは初めてのことでした。




彼女は妖精が去ったあと

空に向かい言いました。

誠実なる魂が近づかれた。

私もどうかいつか同じようにどこかで困った方がおられたときに

あの妖精を見習って

その方の心の声を読むことができますように。

そうしてその方の重荷を

少しでも軽くすることができるような何らかのことが

私にもできますように❗



彼女の想いは

未来に向かい開かれてゆくのでありました。

これまで怖がって身動きしなかった心さえ

動くことが、できるようになったのですから。


少女は言いました。

「本当の幸せとは、何もかも恵まれることじゃない。置かれた所で精一杯のことを黙々としてゆくことなんだわ。そうしてそのことで、どこかのどなたかの心に何らかの安息を、お与えできるなら。」

彼女は脱いでしまっていたボロボロの靴を

繕って

それをしっかりと結わえ履きました。

そうして前を向いて

笑顔で歩き始めました。

そのことは彼女にとって

とてもとても誇らしいことでした。

心に宝石のような輝きを宿したから。

そしてそれは

どんなに盗もうとしても盗むことができない

尊い心の宝石でありました。




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