今日は、
心斎橋Sixの中平卓馬「キリカエ」と
ニコンサロン大阪の
「大阪―写真家によって生きられた街」
を見に行く。
「キリカエ」は、写真そのものより、会場に掲げられた
「先制の一撃」という文章に目が留まった。
1977年、記憶喪失になる直前に書かれたものだが、
読んだときの衝撃・高揚感、今でも何ら変わらぬ核心をついた内容、
それにあの頃の未熟で夢見がちな自分のことも思い出して
懐かしさと嬉しさで胸が一杯になった。
写真について迷うことがあっても、ここへ戻って来れば
また再スタートできる。…独特の確信に満ちた論調に
いつも励まされてきたのだった。
さて、大阪の写真といえば、個人的には
北井一夫氏の「新世界物語」と、山田脩二氏の「梅田界隈」
が印象に残っている。
「新世界物語」は日本カメラに連載されたものが、のちに
写真集として出版されたが、「梅田界隈」はアサヒカメラの
1976年11月号に18ページにわたって掲載されたものの、
その後の「日本村 1966-1979」や「日本旅 1961-2010」には
ほとんど収録されていない。
そんな訳で、近年百貨店改装などで梅田付近の風景が
大きく変わりつつあるこの時期、自分なりに
21世紀の「梅田界隈」を撮ろうと
今年からちょこちょこ撮影を始めてみた。
山田脩二氏が撮った頃は、マルビルだけが出来ていて、
大阪第一~第四ビル建設のための再開発が始まった時で
今とは街の様子もかなり違う。
当時のような人間臭さは薄れ、ピカピカ白々の都市になりつつある
梅田の真っ只中で、未だ試行錯誤でさまよっている状態だが、
来年くらいまではなんとか撮り続けてみたいと思っている。
ところで、となりのニコンサロン bis で
写真展「去来の街」をされていた
松本行弘という人は、父の大学での同級生だそうだ。
その若々しい作風にはちょっと驚いた。
まだまだ老けこんでいる場合ではございませぬ……。