デジタルとアナログ、両方のカメラで夕日が沈むのを撮り続けた。
どれぐらいの時間が経っただろうか、ゆうに100カットぐらいは撮ったはずだが
やがて太陽は石狩湾へと沈んでいった。
天気が回復しつつあるせいか、砂浜にはいつの間にか
何人もの人が出て、波打ち際ではしゃぐ若者あり、
砂遊びに興じる子供あり、バーベキューの準備をする大人もあり、
内地のような蒸し暑さはないけれど、夏の休日の平和で穏やかな夕暮れが
そこにはあった。
30分くらいの時間だっただろうか、夕日と夕暮れの風景に立ち会えた事に
僕は誰ともなしに感謝した。
無理やりの旅行で、写真展という第一の目的はまだ果たしていなかったが
はるばるやって来た甲斐があったと思った。
ささやかな幸福感につつまれながら、次第に茜色が夕闇へと変化していく海岸を後にし、
「犬の記憶 終章」にならって決め事にしてあった、「番屋の湯」へ
もと来た道を戻っていく事にした。