轟クルマ文化研究所

日本のどこかの片田舎、今日も所長の声が響いています。
「馬鹿モン!あれほど雑誌を鵜呑みにするなと言うとるじゃろ!」

三菱 アウトランダーPHEV

2013-03-08 18:40:45 | MITSUBISHI
助手 「アウトランダーのPHEVが出ましたね。」

所長 「また覚えにくい名前じゃな。」

助手 「プラグインハイブリッドEVシステムの略みたいですね。ほかのプラグインハイブリッドよりもEVを前面に出したいってコトなんしょうね。」

所長 「にしても、もうちょっと気の利いた名前にできんかったモンかのぉ。だいたいプラグインハイブリッドって長ったらしい名前もどうかと思うぞ。」

助手 「言えてますね。通常のハイブリッドとは違うモンですし、かと言ってEVとも違いますしね。まぁ言ってみたらハイブリッドとEVとをさらにハイブリッドしたようなモンですから、言いようがないのかもしれませんね。で、プラグで充電できるハイブリッドってコトになったんでしょうね。」

所長 「ま、三菱だけが違う名前をつけても、他が追随してくれんとかえってわかりにくくなってしまうし、難しいトコじゃけどな。」

助手 「ですね。ところでどうです、このクルマ。凄いと思いませんか。」

所長 「じゃな。」

助手 「家で安い電気を使って充電して、街中では完全なEVとして走れて、バッテリーの電力がなくなってきたら、エンジンで発電するシリーズ走行モードになって、高速走行では、エンジンがメインでモーターがアシストするパラレル走行モードに自動で切り替わるそうですよ。」

所長 「見上げたモンじゃな。」

助手 「おまけに大容量の駆動バッテリーから家庭用に電力を供給するコトも可能で、一般家庭の1日分を補えるそうですし、ガソリンが満タンなら発電して10日間ぐらいの供給も可能らしいですよ。」

所長 「災害時には心強いの。電気が使えんだけで現代の生活が成り立たんのが身に染みたトコじゃからの。」

助手 「もっと言えばスマートグリッド構想でしたっけ、夜間の電力をクルマのバッテリーに貯めて、昼間にはクルマから電気を供給するってヤツ。あれを実現すれば、昼間の電気量のピークを抑えるコトができますし、原発も要らなくなるかもしれないでしょ。何よりも夜間料金なら電気代が大幅に安くなりますし、いいコトずくめじゃないですか。」

所長 「各家庭にプラグインハイブリッドかEVが常備されれば、そうなるかもしれんの。じゃがそうなると今のガソリンを使っとる分が全部電気に置き換わるワケじゃし、反対に電力量が足らんようになるんじゃないかのぉ。もっと言えば、みんな夜間に充電するようになれば、当然夜間料金も高くなるわな。」

助手 「あっ、それもそうですね。」

所長 「それにしてもベタ褒めじゃな、まるで三菱の営業マンと話をしとる気分じゃ。」

助手 「だって、ホントに凄いんだからしょうがないでしょ。燃費性能はプリウスのプラグインハイブリッドをしのぎますし、安全装備も自動ブレーキやレーンキープ機能も付きますしね。おまけに車体は三菱お得意のSUVのアウトランダーですし走破性も申し分なし。鬼に金棒どころか、機関銃とスマホを持ってるようなモンでしょ。これで不足ならどんなクルマを持ってきても満足できないんじゃないですかね。」

所長 「ま、確かにそうじゃな。」

助手 「そんなクルマが三菱から出たっていうのが、また嬉しいじゃないですか。」

所長 「そうかぁ、量産EVも三菱のi-MiEVが先鞭をつけたワケじゃし、昔っから得意な分野じゃと思うんじゃが。」

助手 「いや、それはわかりますけど、ここんトコ苦しい状況が続いてた三菱にとっては、救世主に違いないでしょ。」

所長 「うーん、確かにいいクルマじゃと思うんじゃが、そんなに売れるモンかのぉ。」

助手 「えっ。」

所長 「プリウスのプラグインハイブリッドもどれだけ売れてるのか知らんが、そんなに売れとるとは思えんがの。」

助手 「まぁ、プリウスの場合、普通のハイブリッドにプラグを付けたって感じですし、どうしても普通のと価格や性能を比べて元が取れるかどうかって話になるじゃないですか。でも三菱の場合、航続距離に問題のあるEVの弱点を補ったワケでしょ。それでいて価格がEVのリーフと変わりませんし、軽のi-MiEVと内容を比べたらバーゲンプライスもいいとこでしょ。」

所長 「ま、確かに性能を考えると思い切った価格設定じゃと言えるの。じゃがいくら他のクルマと比べて安いといっても、300万以上もするクルマには違いないしの。」

助手 「補助金がありますし、もう少し安くなりますけどね。」

所長 「43万じゃったかの。それでもまだ手が出んの。しかも補助金って今年度の話じゃし、4月以降はどうなるかわからんそうじゃ。大体、補助金ありきの価格では他力本願もいいトコじゃろ。」

助手 「でも、ランニングコストが安いですし、元は取れるんじゃないですか。」

所長 「うーん、そうらしいんじゃが、電気料金って複雑な料金体系をしとるから、ガソリンみたいにリッター当りなんぼって感じの明確な数字が掴みづらいんじゃが。」

助手 「確かにそうですね。三菱によると、自宅で充電すると満充電で大体300円ぐらいって話なんですよ。夜間の安い料金ならさらに下がりますしね。300円ってガソリンなら2リッターしか入りませんよ。」

所長 「確かに安いの。じゃがそれだけじゃないじゃろ。ガソリンも必要なワケじゃし、ガソリンを入れるタイミングと充電するタイミングも違ってくるじゃろうし、何キロ走るのにいくら掛かるって単純に計算できんのじゃないか。じゃから安くなっとっても実感が沸きにくいんじゃないかの。」

助手 「それはそうかもしれませんね。」

所長 「ただEV走行じゃと航続距離が60キロって話じゃし、それだけを考えれば300円で60キロということは、1キロ当り走るのに5円ってコトじゃろ。レギュラーガソリンがリッター150円として燃費が30キロのクルマじゃったら1キロ当り5円になるし、燃費のいいクルマじゃったら、そんなに変わらんのじゃないかのぉ。」

助手 「30キロってJC08モードでは見掛けますけど、実際には無理でしょ。」

所長 「そんなコト言ったらアウトランダーの航続距離も実際には無理なんじゃないか。」

助手 「あっ、そうですね。」

所長 「まぁ、夜間の電気代ならもっと安くなるそうじゃし、ハイブリッドの燃費なんかと合わせると、ガソリンエンジンよりはランニングコストは安くなるんじゃろうけど、それで元が取れるかというと難しいんじゃないかのぉ。」

助手 「そうですか。」

所長 「ま、クルマの値段って、元が取れるとか取れんとかじゃなくって、それだけの金を払う価値があるかどうかじゃろ。そう考えれば、さっきお前が言うとった内容なら十分満足できるクルマじゃと思うぞ。少なくともプレミアム・ブランドかなんか知らんが、名前だけにこのクルマよりも高い金を払うモンがゴマンとおるワケじゃし。」

助手 「そうですよ、そうですよ。外車のクロスオーバーなら平気で500万以上しますしね。」

所長 「じゃが、そういうクルマにはちゃんとそれなりの市場があるんじゃ。それがプラグインハイブリッドになると、まだまだ未知数なワケじゃろ。ま、プリウスにしても初めっから売れたワケじゃないし、この先どんどん良くなって価格もこなれてくるじゃろうから、まだまだこれからじゃろけど。」

助手 「そうですね。」

所長 「ま、三菱はそのときがくるまで、この分野で他のメーカーに追い越されんように頑張るしかないじゃろうな。じゃないとせっかく育てた市場を横取りされかねんからの。」

助手 「言えてますね。」

所長 「あと気になったのが、継ぎ足し充電を繰り返すとバッテリーの性能が落ちてくるそうじゃ。」

助手 「ああ、ホームページにもそう書いてありましたね。残量が半分以下になってから充電すれば長持ちできるみたいですね。でもバッテリーってどれもそうでしょ。携帯なんかもそう書いてありますし。」

所長 「ワシが使うんじゃったら、街中のちょい乗りが中心になるし、出来れば家に帰ったら次に乗るときのために常に満充電にしときたいんじゃがな。使いたいときにバッテリーの残量が少ないのは一番気分が悪いしの。」

助手 「それはそうですね。」

所長 「携帯も家にいるときはコンセントに繋ぎっぱなしじゃしの。それでも2年ぐらいは劣化を感じるコトはないし、仮に落ちてきたとしても携帯のバッテリーなんて安いモンじゃろ。」

助手 「ですね。予備のバッテリーも買ったときに貰ったのがありますけど、結局使わずじまいってコトもありますよね。」

所長 「じゃがクルマの駆動用バッテリーじゃったら、おいそれと買い替えるコトもできんじゃろ。携帯と違って長く使うモンじゃし、気になるところじゃろ。」

助手 「ですね。」

所長 「あともうひとつ。」

助手 「まだあるんですか。」

所長 「悪いか。ガソリンを使い切ってしまうとじゃな、電気だけで動かすコトはできるそうじゃけど、発電ができんようになるから、そう遠くまでは走れんじゃろ。」

助手 「ま、そうでしょうね。とりあえず最寄りのガソリンスタンドを探して給油しないといけないでしょうね。」

所長 「近くにガソリンスタンドが見つからずに、電気もなくなってしまったとするじゃろ。そうするとガソリンを入れても、発進にモーターを使うから、走行不能になってしまうそうじゃ。」

助手 「そうかもしれませんけど、そういう状況ってまず起こらないでしょ。言いがかりもいいトコじゃないですか。」

所長 「まぁそうなんじゃろうけど、気になるモンは仕方がないじゃろうが。ようはシステムが複雑になればなるほど、想定外のコトが起こったときに対処しにくくなるってコトを言いたいんじゃ。複雑になるというコトは故障するリスクも増えるし、修理代も高くつくわな。これだけ複雑な制御をしとるクルマじゃし、コンピュータの不具合ひとつで走れんようになるかもしれんしの。」

助手 「・・・・。」

所長 「修理代と中古車価格を天秤に掛けて、まだまだ使えるクルマが廃車になるケースも出てくるかもしれん。このクルマだけの問題じゃないんじゃがな。」

助手 「そんなに悪いトコを探さなくてもいいんじゃないですか。まだ出たトコなワケですし、もっと暖かい目で見て下さいよ。」

所長 「そりゃスマンかったのぉ。お前があんまり褒めるから、つい言ってみたくなったんじゃ。」


参考資料
三菱アウトランダーPHEV(三菱自動車工業株式会社)
三菱アウトランダー(轟クルマ文化研究所)

Yahoo!グループ 轟クルマ文化研究所

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4 コメント

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Unknown (llll)
2013-03-09 19:20:01
他のブログでEV・HV否定派の方のコメントを読んでいる内に私も車に大量のバッテリーを積むことに慎重派になりました。
自動車用としての能力を消耗した後は固定電池として住宅等に転用すればよいと考えられている様ですが、トヨタほどの企業力をもってしても全回収できるのか少々疑問です。
バッテリーの製造と廃棄に伴う有害物質の排出量もありますし。それを合算してもトヨタが云う『「旧型のガソリン車」よりも、10年10万km走行時の環境負荷が二酸化炭素換算で約43%低い』が本当ならいいのですが。
多くの途上国では既存の鉛バッテリー・乾電池でさえリサイクルシステムが機能していないので、環境問題になっています。途上国で積極的に販売するのは早すぎるかもしれません。
返信する
Unknown (宇垂)
2013-03-11 18:35:58
llllさん

>他のブログでEV・HV否定派の方のコメントを読んでいる内に私も車に大量のバッテリーを積むことに慎重派になりました。
>自動車用としての能力を消耗した後は固定電池として住宅等に転用すればよいと考えられている様ですが、トヨタほどの企業力をもってしても全回収できるのか少々疑問です。
>バッテリーの製造と廃棄に伴う有害物質の排出量もありますし。それを合算してもトヨタが云う『「旧型のガソリン車」よりも、10年10万km走行時の環境負荷が二酸化炭素換算で約43%低い』が本当ならいいのですが。
>多くの途上国では既存の鉛バッテリー・乾電池でさえリサイクルシステムが機能していないので、環境問題になっています。途上国で積極的に販売するのは早すぎるかもしれません。

正直言ってバッテリーの環境負荷については、よくわかりません。
いろんな記事やコメントなんかで見かけるんですが、実際のところどの話がどれだけの信憑性があるのか疑問です。
有害物質の排出もあるんでしょうけど、従来のガソリンエンジンはまったくないのかとか、現在はあったとしても今後どういった対策が取られて、どうなっていくという見通しがあるのか、など。
専門的な立場のヒトが素人にもわかるように書かれた書籍などがあれば、一度読んでみたいところですが。
返信する
Unknown (llll)
2013-05-19 12:01:22
大容量バッテリーを処理する手間が足される上に、処理できる場所が限定的すぎるんですよね。
それにバッテリーやモーターに気を取られて本丸である筈の内燃機関の効率改良がスローペースになっていないか(特にト○タ)少々心配です。
車に大して詳しくもない大手メディアが内燃機関に見切りをつける事を推奨する様な報道を最近やり始めている様な気がします。
返信する
Unknown (宇垂)
2013-05-22 20:21:22
llllさん

>大容量バッテリーを処理する手間が足される上に、処理できる場所が限定的すぎるんですよね。

EV車やHV車が大多数を占めるようになれば、周辺の状況も変わってくるんでしょうけど、過渡期にはそういう問題は結構出てくるでしょうね。

>それにバッテリーやモーターに気を取られて本丸である筈の内燃機関の効率改良がスローペースになっていないか(特にト○タ)少々心配です。

トヨタなんか顕著ですよね。今度出たISもハイブリッド以外はあまり見るべきところがないような・・・。

>車に大して詳しくもない大手メディアが内燃機関に見切りをつける事を推奨する様な報道を最近やり始めている様な気がします。

政治的、経済界的ななんらかのチカラが働いているのかも。
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