轟クルマ文化研究所

日本のどこかの片田舎、今日も所長の声が響いています。
「馬鹿モン!あれほど雑誌を鵜呑みにするなと言うとるじゃろ!」

BMW 5シリーズ

2010-04-16 18:40:01 | BMW & MINI
所長 「BMWの5シリーズが新しくなったのぉ。」

助手 「みたいですね。去年の暮れに発表でしたし、日本導入まで半年ないというのは早いですね。」

所長 「じゃな。それだけ日本市場を重要視しとるということなんじゃろうな。ま、世界中を視野に入れて開発しとるから、以前に比べて輸出先への対応が素早く出来るようになっとるんじゃろうけど。」

助手 「そうでしょうね。グローバル化と言えば聞こえがいいですけど、どこの国のメーカーでどこの国でつくってるか、っていうのもあんまり意味がなくなってきてるのかもしれませんね。」

所長 「ん、まぁ、そう言う見方も出来るの。どんどん性能やデザインも似通ってきとるし、選ぶ基準はブランドと価格だけに限りなく近づいとるのかもしれんの。」

助手 「今度の5シリーズもキドニーグリルやマークが無ければ、どこのクルマかわかりませんよね。」

所長 「うーん、自己主張のきつかった先代と比べれば、無個性に映るかもしれんの。じゃがこの手のデザインって元々BMWから発信したモンじゃし、ジャガーのXFやシトロエンのC5を見てBMWっぽいと感じるわけじゃから、BMWに個性がないんじゃなくって、他のクルマがBMWに似てきたせいじゃろ。」

助手 「それはそうかもしれませんね。でも今度の5シリーズって、保守的過ぎると言うか、影が薄い気がしませんか。」

所長 「うーん、どうなんじゃろうな。革新的なデザインで登場した先代は格好が悪いとさんざんけなされとったし、やり過ぎた部分を押さえれば影が薄いと言われると、やっとれんじゃろ。」

助手 「確かにそうですね。」

所長 「ワシは今度のが先代と比べて保守的で手堅くいったわけでもないと思うんじゃがの。ただ表現方法が少し変わっただけで、どっちもBMWのスポーティーでエレガントなイメージに沿っとると思うんじゃ。」

助手 「そう言えばエクステリア・デザイナーのインタビュー記事を見たんですけど、BMWではキャラクター・ワークショップと言うのを取り入れていて、デザインを始める前にテーマを決めるらしいんですよ。で、今回の5シリーズの場合、『エレガンス』、『ナチュラル・スポーティネス』、『バランス』、『モダニティ』の4つのテーマに沿ってデザインをしたそうです。」

所長 「ふーん、そうか。」

助手 「で、20人のデザイナーがそれぞれテーマに沿ってアイデア・スケッチを出して、それを元に議論を繰り返し修正して、5人の案がクレイモデルに進むそうです。」

所長 「ふむ。」

助手 「ここでも長い時間を掛けて熟成させて、最終的に一つの案に絞り込むんだそうです。日本のメーカーと違うのは最初のアイデア・スケッチを出したデザイナーが最後まで自分の案を担当するんですよ。だから誰々のデザインって言うのが明確になるんですよね。これが日本だと最初からチームで進めますよね。日米欧のそれぞれのデザインセンターが一案ずつ出し合って、その中で2案に絞って、最終的に1案にするというのが多いじゃないですか。中には最初の案を出したのと違うデザインセンターが担当したり、A案とB案の折衷案みたいなのになったりすることもありますよね。」

所長 「ま、お国柄の違いなんじゃろうな。日本はサラリーマン的じゃし、向こうはプロ野球選手って感じかのぉ。」

助手 「そんな感じですよね。この話を聞いてると日本に個性的なデザインや、ハッとするほど美しいクルマが生まれてこないのも無理はないですね。」

所長 「ワシは日本のやり方がダメじゃとも思わんがの。」

助手 「どうしてですか。」

所長 「向こうのやり方じゃとひとりの優秀なデザイナーの才能に頼ることになるじゃろ。じゃからすぐに他所に引き抜かれたりするし、そうすると慌てて違うトコから引き抜いたりの繰り返しになるじゃろ。」

助手 「そうですね。」

所長 「トップもコロコロ代わるしのぉ。そうなるとデザインも根本から変わってしまうこともあるしの。フォルクスワーゲンの顔が変わったのなんかいい例じゃろ。」

助手 「そうですね。ワルター・デ・シルヴァがチーフに就いて、ワッペングリルを完全否定ですよね。」

所長 「じゃが日本のように組織的な動きをしとるとメンバーが多少入れ替わっても大きくは変わらんから、ブランドイメージを継続しやすいと思うんじゃ。もちろん力量の優れたモンがおったら、いいデザインも出てくるじゃろうし。」

助手 「ですかね。」

所長 「むしろいいデザインが出てこないのは、デザイナー云々より評価するモンに問題があるんじゃないかのぉ。」

助手 「そうかもしれませんね。」

所長 「特に今までなかったようなモンを採用するのは会社の力量の問題じゃろ。儲かっとるときは多少の冒険も許されるんじゃが、今のように苦しいときはどうしても手堅くいこうとするモンじゃろ。」

助手 「それはそうでしょうね。」

所長 「今度の5シリーズも手堅いデザインじゃけど、ワシはいいと思うぞ。どっから見ても隙がないって感じじゃろ。」

助手 「所長、好きですよね、こういうの。」

所長 「これが他のメーカーのクルマじゃったら退屈に見えるのかもしれんが、BMWじゃったら言うことないわ。こういうエレガントな佇まいで疾走するのが5シリーズの本質じゃと思うしの。」

助手 「言えてますね。」


参考資料
BMW 5シリーズ(ビー・エム・ダブリュー株式会社)
BMW 5シリーズ・グランツーリスモ(轟クルマ文化研究所)
BMW 7シリーズ(轟クルマ文化研究所)
BMW 3シリーズ(轟クルマ文化研究所)

Yahoo!グループ 轟クルマ文化研究所

コメント (2)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« フォルクスワーゲン・ゴルフ ... | トップ | スバル・ルクラ »
最新の画像もっと見る

2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (まさ)
2010-04-16 21:41:27
ジャガーXFはBMWよりレクサスのGSに似てるような気がします。(特にリアサイドウインドウ)
Re:Unknown (宇垂)
2010-04-17 14:37:51
言われてみれば、

リアサイドウィンドウから猫背気味のリアピラー辺りは、GSっぽいですね。

あらためて見てみたら、あんまりBMWっぽくないですね。
イメージでは、随分とドイツ車っぽくなったと思ってたんですけど。

コメントを投稿

BMW & MINI」カテゴリの最新記事