助手 「ランクルの250どう思います。」
所長 「ああ、格好いいんじゃないか。」
助手 「確かにカッコいいんですけど、ちょっとあからさま過ぎませんか。」
所長 「うーん・・・、確かにそうなんじゃが、それがいいのか悪いのか判断を決めかねとるんじゃが。」
助手 「消費者が欲しいのってようするに四角くって頑丈そうで如何にもクロカンって感じの外観で、中はそこそこ豪華で快適、回りのヒトからはいいのに乗ってるって思われるって感じじゃないですか。」
所長 「偏見が酷いの。」
助手 「ちょっと言い過ぎましたけど、ランクルに求められてるのってそういうクルマだと思うんですよ。」
所長 「ランクルと言っても300系や70系じゃとまた違うんじゃろうけど、そういうクルマを求めとるお客は正直多いんじゃろうな。」
助手 「でしょ。ジムニーやベンツのGクラスなんかもそうですけど、四角いボディに昔ながらの丸目ライトってやっぱり人気が高いじゃないですか。」
所長 「じゃな。」
助手 「ただこれまでのトヨタだったらそういうクルマに人気があるのがわかってるのに、そういうのって意地でも出さないって感じがあったと思うんですよ。」
所長 「トヨタに限らず自動車メーカーってそういうところがあるの。」
助手 「レトロなデザインのモデルって日産のパイクカーとか軽のレトロ・テイストのモノとかこれまでもいろいろありましたけど、なんか企画モノって感じになるじゃないですか。」
所長 「じゃがBMWのニューミニとかフィアット500とか、あとアメ車のマスタングとかちゃんと大真面目につくったモンもあるじゃろ。」
助手 「そうなんですよね。海外のメーカーの方がそういうコトに柔軟というか無頓着というか案外おおらかな印象ですね。」
所長 「かもしれんの。」
助手 「で、最近のトヨタは昔とは違って売れる方向に躊躇なく舵をきってくるじゃないですか。今度のランクルもこれでもかって感じに見えるんですよね。」
所長 「まぁ、そんな感じじゃな。じゃがそれで何がダメなんじゃ。」
助手 「いや、ダメじゃないんですけど、この先何年も売るコトを考えると飽きられやすいとか、次のモデルチェンジはどうするのかとか、いろいろあるじゃないですか。」
所長 「ワシも前はそういう風に思っとったんじゃけど、実際のトコどうなんじゃろうな。ジムニーが今のモデルになってもう6年も経つそうじゃけど飽きられとるようにはまったく思えんし、BMWのミニなんてもう20年、4世代目になるんじゃが、人気が衰えるコトはなさそうじゃろ。レトロなデザインのランクルを出したとして悪いコトなんて何も起こらんのじゃないかのぉ。」
助手 「言われてみれば、そうかもしれませんね。昔と比べるとモデルレンジ自体が長くなってるのに全然長く感じないっていうのもありますよね。」
所長 「それはお前の感覚が鈍っとるせいじゃろ。」
助手 「そんなコトないですよ。例えば百恵ちゃんやピンクレディーの活動期間って今考えると恐ろしく短いじゃないですか。おニャン子クラブにしてもほんの2、3年とかですよ。」
所長 「それでも当時は結構長く感じたんじゃがな。」
助手 「でしょ。AKBなんて来年で20年ですよ。乃木坂でさえ10年過ぎてますしね。SMAP以降アイドル全体の活動期間が長くなってますし、仮面ライダーにしても第1期はストロンガーまでたったの5年でしたしね。当時気が遠くなるほど長く続いた気がしたモンですよ。」
所長 「マンガやテレビ番組も昔に比べると長く続いとるのが増えたのは間違いないの。」
助手 「でしょ。携帯電話やインターネットが年々進化しているせいで、時代の移り変わりがどんどん早くなってるような気がしてますけど、実際には昭和の頃の方が大きく変わってましたよ。」
所長 「三菱のデボネアが22年でシーラカンス扱いじゃったけど、22年前といったら2002年じゃろ。2002年発売のクルマじゃと3代目のマーチや2代目キューブ、イストにモビリオ、アルファード辺りかの。さすがにそのまま売っとるのはないんじゃが、どれも普通に見掛けるし間違っても生きた化石には見えんの。」
助手 「でしょ。だからランクルがレトロな外観で10年経ってもちっとも古くは見えないと思うんですよ。」
所長 「かもしれんの。じゃがワシは今回のランクルはそんなお気軽な話には思えんのじゃ。」
助手 「どういうコトですか。」
所長 「最近のトヨタのやり方を見とると、もっとなんて言うか危機感みたいなモノを感じとるのがひしひしと伝わってくるんじゃ。」
助手 「危機感ですか。」
所長 「そうじゃ。今って自動車業界は過渡期というか、戦国時代さながらの覇権争いの真っ最中じゃろ。この先10年、20年で世界の大手メーカーの顔ぶれは大きく変わっていくというのはお前でも想像できるじゃろ。」
助手 「・・・ですね。」
所長 「10年後、20年後にトヨタが今の位置にいるためにはあらゆる手を尽くさんとイカンじゃろ。その一つとして今はできるだけ世界中でシェアを伸ばす必要を感じとるんじゃないかのぉ。次世代技術の開発なんかは誰でも考えとるんじゃろうけど、いざ売ろうとすると販売店舗網の拡充や修理やパーツなんかのサービス体制、あとは商品に対する信用なんかも重要になってくると思うんじゃ。」
助手 「・・・・。」
所長 「それって新興メーカーに対して既存のメーカーが一番優位に立てる武器なんじゃないかのぉ。そのためには次のモデルチェンジがどうのとか、そんな悠長なコトを言っとる場合じゃないと考えとるんじゃないかのぉ。」
助手 「・・・・。」
所長 「極端な話、10年後の世界のトップメーカー10社がすべて入れ替わっとったとしてもトヨタだけはそこに残り続ける、そのためには今何をせんとイカンのか、そういう風に考えて行動しとるように感じるんじゃ。あくまでワシの想像じゃけどな。」
助手 「・・・なんか話が大きくなってきましたね。」
所長 「最近のトヨタ車のモデルチェンジを見とって感じるのが『先のコトより今どうやって売るか』結局それが先につながる唯一の手段と見とるような気がするんじゃ。そのためにはお客に伝わり易いクルマって重要な項目なんじゃないかのぉ。プリウスにしてもシエンタやアルファードにしても今度のランクルの250にしても、これまであった難解なところやデザイナーの独りよがりのようなモノが鳴りを潜めて、素直に『いい』と思えるクルマにしとるように思うんじゃ。そこには後で沁みてくるような良さとか深みのようなモンは必要ないという割り切りさえ感じるんじゃ。」
助手 「言われてみるとそんな気もしてきますね。」
所長 「あくまでそういう風に感じるってだけじゃけどな。」
助手 「あとランクルの250の位置づけについてどう思います。」
所長 「ようは新しいプラドじゃろ。復活した70系がマニア向けのヘビーデューティー、高級路線のフラッグシップが300系。今度の250が普及版って感じなんじゃろうな。」
助手 「普及版というにはかなり高価で545万円からとランクル300とほぼ同価格帯ですけどね。」
所長 「今、車の価格がどんどん上がっとるからの。300もこれからグッと上がるんじゃろう。それを見越しての価格じゃと思うぞ。」
助手 「そうでしょうけど、普及版としては如何なモンでしょうね。」
所長 「ランクルシリーズをトヨタのレンジローバーみたいにしたいんじゃろうな。」
助手 「それはレクサス版があるんじゃないですか。」
所長 「レクサスとはお客が求めとるモンが違うんじゃろ。レクサスにお客が求めとるのは高級なブランドの品質や質感を備えたSUVなんじゃ。対してランクルに求めとるのはSUVの専売ブランドによるこれを選べば間違いないという信頼性や安心感なんじゃ。中身は一緒でもお客の求めとるモンが違うんじゃ。」
助手 「それはわかりますけど。」
所長 「SUV流行りでトヨタの中でもライズ、ヤリスクロス、カローラクロス、RAV4、ハリアーとどんどん車種が増えとるじゃろ。」
助手 「海外向けのモデルを含めるともっと多いですね。」
所長 「そういうモノと一線を画した本物志向のブランドとして確立させたいんじゃろうな。」
助手 「そう言えばミニ・ランクルが出るって噂もありますよね。」
所長 「名前やイメージだけなのか、ラダーフレームなんかの機構を継承するのかで評価が分かれそうじゃがな。」
助手 「そりゃ本物志向のブランドとして確立させるのなら内容も本物でないとダメなんじゃないですか。」
所長 「今のトヨタならモノコックのボディを流用してても納得させられるだけのデザインを用意するような気がするんじゃがな。」
参考資料
トヨタ・ランドクルーザー250(トヨタ自動車株式会社)
トヨタ・ランドクルーザープラド(轟クルマ文化研究所)
トヨタ FJクルーザー(轟クルマ文化研究所)
所長 「ああ、格好いいんじゃないか。」
助手 「確かにカッコいいんですけど、ちょっとあからさま過ぎませんか。」
所長 「うーん・・・、確かにそうなんじゃが、それがいいのか悪いのか判断を決めかねとるんじゃが。」
助手 「消費者が欲しいのってようするに四角くって頑丈そうで如何にもクロカンって感じの外観で、中はそこそこ豪華で快適、回りのヒトからはいいのに乗ってるって思われるって感じじゃないですか。」
所長 「偏見が酷いの。」
助手 「ちょっと言い過ぎましたけど、ランクルに求められてるのってそういうクルマだと思うんですよ。」
所長 「ランクルと言っても300系や70系じゃとまた違うんじゃろうけど、そういうクルマを求めとるお客は正直多いんじゃろうな。」
助手 「でしょ。ジムニーやベンツのGクラスなんかもそうですけど、四角いボディに昔ながらの丸目ライトってやっぱり人気が高いじゃないですか。」
所長 「じゃな。」
助手 「ただこれまでのトヨタだったらそういうクルマに人気があるのがわかってるのに、そういうのって意地でも出さないって感じがあったと思うんですよ。」
所長 「トヨタに限らず自動車メーカーってそういうところがあるの。」
助手 「レトロなデザインのモデルって日産のパイクカーとか軽のレトロ・テイストのモノとかこれまでもいろいろありましたけど、なんか企画モノって感じになるじゃないですか。」
所長 「じゃがBMWのニューミニとかフィアット500とか、あとアメ車のマスタングとかちゃんと大真面目につくったモンもあるじゃろ。」
助手 「そうなんですよね。海外のメーカーの方がそういうコトに柔軟というか無頓着というか案外おおらかな印象ですね。」
所長 「かもしれんの。」
助手 「で、最近のトヨタは昔とは違って売れる方向に躊躇なく舵をきってくるじゃないですか。今度のランクルもこれでもかって感じに見えるんですよね。」
所長 「まぁ、そんな感じじゃな。じゃがそれで何がダメなんじゃ。」
助手 「いや、ダメじゃないんですけど、この先何年も売るコトを考えると飽きられやすいとか、次のモデルチェンジはどうするのかとか、いろいろあるじゃないですか。」
所長 「ワシも前はそういう風に思っとったんじゃけど、実際のトコどうなんじゃろうな。ジムニーが今のモデルになってもう6年も経つそうじゃけど飽きられとるようにはまったく思えんし、BMWのミニなんてもう20年、4世代目になるんじゃが、人気が衰えるコトはなさそうじゃろ。レトロなデザインのランクルを出したとして悪いコトなんて何も起こらんのじゃないかのぉ。」
助手 「言われてみれば、そうかもしれませんね。昔と比べるとモデルレンジ自体が長くなってるのに全然長く感じないっていうのもありますよね。」
所長 「それはお前の感覚が鈍っとるせいじゃろ。」
助手 「そんなコトないですよ。例えば百恵ちゃんやピンクレディーの活動期間って今考えると恐ろしく短いじゃないですか。おニャン子クラブにしてもほんの2、3年とかですよ。」
所長 「それでも当時は結構長く感じたんじゃがな。」
助手 「でしょ。AKBなんて来年で20年ですよ。乃木坂でさえ10年過ぎてますしね。SMAP以降アイドル全体の活動期間が長くなってますし、仮面ライダーにしても第1期はストロンガーまでたったの5年でしたしね。当時気が遠くなるほど長く続いた気がしたモンですよ。」
所長 「マンガやテレビ番組も昔に比べると長く続いとるのが増えたのは間違いないの。」
助手 「でしょ。携帯電話やインターネットが年々進化しているせいで、時代の移り変わりがどんどん早くなってるような気がしてますけど、実際には昭和の頃の方が大きく変わってましたよ。」
所長 「三菱のデボネアが22年でシーラカンス扱いじゃったけど、22年前といったら2002年じゃろ。2002年発売のクルマじゃと3代目のマーチや2代目キューブ、イストにモビリオ、アルファード辺りかの。さすがにそのまま売っとるのはないんじゃが、どれも普通に見掛けるし間違っても生きた化石には見えんの。」
助手 「でしょ。だからランクルがレトロな外観で10年経ってもちっとも古くは見えないと思うんですよ。」
所長 「かもしれんの。じゃがワシは今回のランクルはそんなお気軽な話には思えんのじゃ。」
助手 「どういうコトですか。」
所長 「最近のトヨタのやり方を見とると、もっとなんて言うか危機感みたいなモノを感じとるのがひしひしと伝わってくるんじゃ。」
助手 「危機感ですか。」
所長 「そうじゃ。今って自動車業界は過渡期というか、戦国時代さながらの覇権争いの真っ最中じゃろ。この先10年、20年で世界の大手メーカーの顔ぶれは大きく変わっていくというのはお前でも想像できるじゃろ。」
助手 「・・・ですね。」
所長 「10年後、20年後にトヨタが今の位置にいるためにはあらゆる手を尽くさんとイカンじゃろ。その一つとして今はできるだけ世界中でシェアを伸ばす必要を感じとるんじゃないかのぉ。次世代技術の開発なんかは誰でも考えとるんじゃろうけど、いざ売ろうとすると販売店舗網の拡充や修理やパーツなんかのサービス体制、あとは商品に対する信用なんかも重要になってくると思うんじゃ。」
助手 「・・・・。」
所長 「それって新興メーカーに対して既存のメーカーが一番優位に立てる武器なんじゃないかのぉ。そのためには次のモデルチェンジがどうのとか、そんな悠長なコトを言っとる場合じゃないと考えとるんじゃないかのぉ。」
助手 「・・・・。」
所長 「極端な話、10年後の世界のトップメーカー10社がすべて入れ替わっとったとしてもトヨタだけはそこに残り続ける、そのためには今何をせんとイカンのか、そういう風に考えて行動しとるように感じるんじゃ。あくまでワシの想像じゃけどな。」
助手 「・・・なんか話が大きくなってきましたね。」
所長 「最近のトヨタ車のモデルチェンジを見とって感じるのが『先のコトより今どうやって売るか』結局それが先につながる唯一の手段と見とるような気がするんじゃ。そのためにはお客に伝わり易いクルマって重要な項目なんじゃないかのぉ。プリウスにしてもシエンタやアルファードにしても今度のランクルの250にしても、これまであった難解なところやデザイナーの独りよがりのようなモノが鳴りを潜めて、素直に『いい』と思えるクルマにしとるように思うんじゃ。そこには後で沁みてくるような良さとか深みのようなモンは必要ないという割り切りさえ感じるんじゃ。」
助手 「言われてみるとそんな気もしてきますね。」
所長 「あくまでそういう風に感じるってだけじゃけどな。」
助手 「あとランクルの250の位置づけについてどう思います。」
所長 「ようは新しいプラドじゃろ。復活した70系がマニア向けのヘビーデューティー、高級路線のフラッグシップが300系。今度の250が普及版って感じなんじゃろうな。」
助手 「普及版というにはかなり高価で545万円からとランクル300とほぼ同価格帯ですけどね。」
所長 「今、車の価格がどんどん上がっとるからの。300もこれからグッと上がるんじゃろう。それを見越しての価格じゃと思うぞ。」
助手 「そうでしょうけど、普及版としては如何なモンでしょうね。」
所長 「ランクルシリーズをトヨタのレンジローバーみたいにしたいんじゃろうな。」
助手 「それはレクサス版があるんじゃないですか。」
所長 「レクサスとはお客が求めとるモンが違うんじゃろ。レクサスにお客が求めとるのは高級なブランドの品質や質感を備えたSUVなんじゃ。対してランクルに求めとるのはSUVの専売ブランドによるこれを選べば間違いないという信頼性や安心感なんじゃ。中身は一緒でもお客の求めとるモンが違うんじゃ。」
助手 「それはわかりますけど。」
所長 「SUV流行りでトヨタの中でもライズ、ヤリスクロス、カローラクロス、RAV4、ハリアーとどんどん車種が増えとるじゃろ。」
助手 「海外向けのモデルを含めるともっと多いですね。」
所長 「そういうモノと一線を画した本物志向のブランドとして確立させたいんじゃろうな。」
助手 「そう言えばミニ・ランクルが出るって噂もありますよね。」
所長 「名前やイメージだけなのか、ラダーフレームなんかの機構を継承するのかで評価が分かれそうじゃがな。」
助手 「そりゃ本物志向のブランドとして確立させるのなら内容も本物でないとダメなんじゃないですか。」
所長 「今のトヨタならモノコックのボディを流用してても納得させられるだけのデザインを用意するような気がするんじゃがな。」
参考資料
トヨタ・ランドクルーザー250(トヨタ自動車株式会社)
トヨタ・ランドクルーザープラド(轟クルマ文化研究所)
トヨタ FJクルーザー(轟クルマ文化研究所)
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