郊外電車
2012-03-08 | 詩
土曜日の朝
OFFモードの人たち
日向ぼっこの電車の中
ガヤガヤしている
平和そうな1日
春が近付いてくる
世界は開こうとしている
モゾモゾと
土を背中で押し上げて
自由意志
2012-02-01 | 詩
自由意志はある
神様に与えられた
この広い宇宙の 世界の中で
自由に
動き回っていいんだよと
伝えられている
DNAの中に
細胞の
ひとつひとつの中に
インプットされたmodelの中で
動くようにと
その人生の中で
自由に
手のひらの水分が
太陽を受けて
虹色に光ってた
それを見ながら
あぁ わたしも一緒だったと
そう思った
夕陽に染まる風景を
羨ましいと思ってた
わたしは人間だから
あんな風には染まらない
あんなに 赤くなってはいない
だけどそのとき 手のひらは
「一緒だよ」と 言っていた
異物ではなく
自然の一部だと
ラジオから流れてくる君の声が
あまりに魅力的で
僕は一瞬にして その世界に
引き込まれていたんだ
一目惚れという言葉があるなら
それは 一耳惚れだった
そのやわらかな声が
心の奥まで しみ込んで
ただ逢いたくて
逢いたくて
月明かりの中
くり返し歩いた
どこへ行けばいいの?
この道の果てに
その答えはあるの?
その愛しい声を探して僕は
あてのない散歩を続ける
焦がれる胸を抱えて
君は
2008-12-20 | 詩
もう君は
土に還りたいとか
人間じゃないものになりたいとか
思わないの?
楽しそうに笑う君や
前を向いて進む君を見て
うれしくて
あふれるような気持ちになるけど
ふと
自然の静寂の中で
その鎮まった姿に
憧れたりするから
僕は
電車の中
窓の外を眺めて
涙をこらえきれずに
踏ん張って
立っているんだ
ねえ君は
もう思わないのかい?
なぜ自分が
自分なのかとか
どこへ向かって
どこへたどり着くのかとか
誰かとこの手を
つなげるのだろうかとか
もう君は
今の君は
軽い音の羅列
流行の音楽
それらしい言葉と
もっともらしいフレーズで
最先端を気取って
時代を乗っ取るつもりで
もう僕はウンザリだ
売れるとか売れないとか
本当はどうでもいい
一人の心に響いて
一生離れないくらいの
光を放つのなら
あなたの声と共に生きる
あなたをここで見ている
満ちる時も欠ける時も
尖った時も笑った時も
本当の声がいつか
真っすぐ空に刺さる時
一人の心に響いた
その声が夜空に広がって
光を届けるのなら
あなたの声と共に生きる
あなたをずっと見ている
満ちる時も欠ける時も
尖った時も笑った時も
この日が来ることを
どこかで知ってたから
ずっと
聞こえないフリをしていた
ずっと
君が言う サヨナラの挨拶に
向き合えなかった
終わりを告げる言葉
君には 怖くて言えなかった
声にしてしまうと
本当に
すべてが消えてしまいそうで
ありがとう
そして さようなら
その時が 来たよ
反比例
2008-04-02 | 詩
眠れない夜の
読書灯
揺られるバスに
文字はゆがんで
白い紙に書かれる言葉は
膨張した
君への想い
頭のてっぺんから つま先まで
君の街から 遠のくバスと
君で埋め尽くされる
細胞の記憶
夜が明けるまで バスに揺られて
静かに強く 君への思想に浸る
忘却
2008-04-01 | 詩
あの時 見つめた瞳も
いつか記憶は薄れて
あなたを忘れるのだとしたら
あなたを失うくらいなら
いっそ あの日のぬくもりも
この手に触れた 体温も
はじめから
なかったことにして
君の後ろ姿が
闇の中に消えてゆく
夢ならもう一度
巻き戻して 戻ってよ
僕の心の君の部分が
いつか色あせるのなら
もう君を忘れようと
もう君を
追い出してしまおうと
追いかけたガラス玉
目の前でこわれた
僕は泣きながら立っていた
こんな夢はもう
見たくない
あの時 わたしを見つめた
あなたの瞳は
宇宙に浮かぶ
星のようだった
あなたは何も言わずに
ただじっと
わたしは言葉を選べずに
胸いっぱいに立っていた
遠い記憶の裏側の
もやもや白い幻想の中で
化学反応
2008-01-29 | 詩
体内の化学反応 微動しながら広がる
いつか体中を巡って 手先は痺れてくる
この手を握ってくれないか
震えている この手を
つかまえていてくれないか
ほんの少しでいいから
鼓動は速まったり 止まりそうになったり
大忙しでついていけない
誰か押さえていてくれないか
本来の姿を 取り戻すまで